●水戸黄門が日本をだめにする

「水戸黄門」。サザエさん、ドラえもんと並んで今も人気を保つ日本を代表するドラマだ。人気の秘密は印籠。あれが出てくるとスカッとする人が多い。
だが日本の政治行政と民主主義の限界をこれほど象徴するドラマもないのではないか。
 わが国の政治行政における問題解決策は古来、極めて安易なワンパターン、つまりトップに英雄を投入し末端を人事処分する(代官の切腹)というものだ。「現場の代官は不正をしている」「だが副将軍様がいつかちゃんと処罰してくださる・・」というのは小泉人気のもとで郵政族や道路公団が打ちのめされるのを見て溜飲を下げる心理と変わらない。
 「印籠がでてくる」というのは衆議院解散に相当する。その後のちゃんばら劇に大衆も参加(選挙を通じて)できるのだから楽しいはずだ。そしてその場限りの悪者いじめに満足し行政改革の本質を見失う姿は今日も変わらない。
 ところでそもそも黄門様が行くところ各地で毎週、問題発生というのは江戸幕府の統治が末期的ということを物語る。根治を図らず、もぐらたたきで済ませているところがいかにも日本国。そういえば最近、安倍総理も知事の連続逮捕劇を見て「地方はしっかりしろ」と他人事のような批評をしている。果たしてあれでいいのか。地方は国の統治機構の一部のはずだ。市民も市民だ。だまされても裏切られても国家権力に自浄作用を期待する。平成の水戸黄門は待っていても現れな
い。自ら動くしかないのだ。

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登録日:2006年 12月 17日 12:26:22

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プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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