●大阪府の裏金問題:府は大阪市に学ぶべし

 大阪府の裏金問題。連日のように、新事実が発表される。「忘れていた」「昔のことだから担当が替わってわからない」という言い訳は通用しない。「昔のこと。現在の職員とは関係ない。今はやってない」という言い訳もおかしい。公金横領=犯罪だ。また、過去の犯罪よりも現在の調査・自浄能力のなさのほうがもっと深刻だ。どうやら府庁は組織のガバナンスがきいていない。
 全職員への記名調査や聞き取り調査をすべきだ。各課に自主申告しろといってもきちんと出てこない。各組織の代表や担当者に聞くだけではなく「個々人」にも聞くべきだ。「あなたはいつかどこかで裏金を使ったことがありますか」「噂、伝聞でもいいから情報をお寄せください」といった全職員向けヒアリングをする。「新事実があとで出たら厳罰処分する。いま申告したら実名入りでの公表はしない」と言い渡した上で、きちんと全職員に調査すべきだ。退職者にもきく。
 くしくもいまから約2年前、大阪市もヤミ年金・カラ残業問題で似た状況にあった。内部の調査委員会の限界が露呈し大平助役が委員長として登場。内部の委員は総退陣し、私を含む外部委員3人と太平さんで調査をやり直した。作業は難航した。だが職員は「この際、外部委員にどんどん指摘してもらったほうが根っこから変われる」と理解する。3ヶ月経た頃には「何でも出してしまおう」という開き直り、悟りの境地に達した。
 支えは関市長の決意。「命がけで改革する」という率先垂範の姿が職員の心を打つ。外部委員の僕らも休日返上で深夜まで作業する。その後1年5ヶ月にわたり、徹底的な根こそぎ調査をやった。そして今日の全国版の朝日新聞。大阪市はついに内部統制の優等生、とほめられるまでになった・・素朴にうれしい。わが子の成長をみる思いだ。
 大阪府も見習って欲しい。腐った組織体質の改革には数年はかかる。だが徹底的に取り組めば2年で逆戻りできないところまでいける。知事以下、徹底的に心を入れ替え、信頼回復に向けてがんばって欲しい。
 数ヶ月掛けた根こそぎ調査が必要な状態だ。いい加減な内部調査やおざなりの外部評価結果なら出すべきではない。もうひとつ大事なことは外郭団体。不正は出先でも外郭団体でも起きている。調査範囲を広く取るべきだ。
以下は日経12月22日と23日
大阪府裏金返還、3部署が過少申告──政策企画部企画室など、一部返し収拾図る
 10部署・機関で見つかった大阪府の裏金問題で、政策企画部企画室や教育委員会地域教育振興課など3部署は1998年に返還を指示された際、過少申告によって残額の一部だけを返し、事態の収拾を図った疑いの強いことが22日分かった。公衆衛生研究所などは「使い切った」との虚偽説明で全額の返還逃れを図っており、府は「当時のチェック態勢にも問題があった」としている。関係者によると、裏金問題が発覚した当時、企画室は94―97年度に約2500万円余の裏金を捻出(ねんしゅつ)したとの報告書を提出した。しかし、98年の指示の際、「残額はこれだけ」として326万円しか返還しなかったとされる。地域教育振興課も同様の過少申告で38万円だけを返還した。府立精神医療センターも「残高は53万円」と偽り、約480万円の裏金を隠したという。原資の一部は管理職に交際費として毎月1万―2万円支給されていた「役職報償費」だった。
ーー
【2006年12月23日】 大阪府、止まらぬ裏金発覚──モラルの低さ浮き彫り
 大阪府の裏金問題で、環境農林水産部の流通対策室でも新たに裏金210万円が返還されていないことが22日、分かった。商工労働部など複数の部署でも数百万円の存在が判明。府は25日、新たに判明した裏金について、府議会に報告する方針だが、次々と発覚する新たな裏金の存在に府職員の公金を扱うモラルの低さが改めて浮き彫りになった。府によると、流通対策室の裏金は係長級以上でつくる幹部会が預金通帳を保管。1998年3月から10月までの間、計210万円が振り込まれ、11月に同額が1度に引き出されていた。その後の現金の行方は不明となっている。97年の全庁調査で、同室は裏金を1029万円と報告し、府の返還指示に基づいて残額として30万円を返還。しかし今回の210万円については報告せず、ひそかにプールし続けていたとみられる。同室は裏金の存在を認めたうえで「私的流用を含めた使途や金の出所など詳細は調査中」としている

カテゴリー[ 大阪府の改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2006年 12月 22日 19:29:56

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

プロフィール
上山信一
(男)
http://www.pm-forum.org/ueyama/
慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
検索