●書評「私的ブランド論ールイ・ヴィトンと出会って」(日経新聞社)

 この本はかなりお勧め。読みやすい。そしてあたかも壁に埋められたヴィトンのアンティーク・トランクのようにビジネスの真髄が随所に顔を出す。
 筆者は僕よりちょうど20歳年上。経営コンサルタントの大先輩。筆者はたまたまクライアントだったヴィトンに請われ40歳で日本のトップに。物流(ディストリビューション)は商社・問屋を介さずにパリ本社と百貨店が直にやり、サービス・ブランド管理は日本支社が分担というシステムと一貫したサービス体制を構築。その後の日本での隆盛を築く。
 もとより商品は一流、ブランド哲学も予想通りだがこの本の真価は同社の価格戦略哲学にある。製品コスト+一定利率の利益を常に維持する。そして「ブランド品は値下げをしたらだめ」という取引先の忠告にもかかわらず国内価格の値下げ(円高効果の消費者還元)をしていく。78年の価格はパリの2.8倍、それが今は1.4倍。これができたのも当時、問屋を使わない在庫を持たない流通システムを採用していたからだ。ヴィトンは決して安くはないが実用品で長持ちする。それでいて斬新なデザインにも挑戦する。それが日本女性の4割強に浸透しつつも安定したブランドイメージを維持する秘訣だろう。

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登録日:2006年 12月 25日 00:33:57

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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