●大阪府の裏金問題:大阪市に学ぶべし(その2)

 大阪府の裏金問題。現行の調査委員会は2月上旬に解散してもよいのではないか。その上で別途、知事直結の府政刷新委員会を作り府政全般の総点検に手をつけたらどうか。裏金問題の安易な幕引きは許されない。だがこれ以上時間をかけても泥沼状態が続く。むしろ裏金隠蔽に象徴される組織体質の刷新と抜本的な行政改革に着手すべきだ。
 裏金問題への府庁の対応はこれまでのところ最悪だ。終結宣言をするたびに新たな裏金が発覚する。調査委員会のメンバー選定にも不手際があった。しかし10年前の裏金の話を議会とプレスが執拗にあげつらうのもいかがなものか。疑惑の対象といわれる調査委員も有能な人物ではある。いまさらの解任は非効率だ。この問題、もはや政争の具になりつつある。いったん終結させるべきだ。
 本当の問題は「たかが裏金」「たかが昔の話」という関係者の意識の甘さだろう。だからいまだに隠す部署がでるし調査も進まない。組織全体の保守性と隠蔽体質が問題なのだ。
 ここで参考になるのが大阪市の「福利厚生制度等改革委員会」だ。あの委員会は単に福利厚生にとどまらず大阪市の体質を根っこから変える意気込みで取り組んだ。大阪市の調査委員会は2年前の2月に大平助役をトップに私など外部委員が参加して調査を開始。新年度予算案に間に合わせるため1ヵ月半でとりあえずの報告を出した。だが、短期間の調査では不正行為の原因の解明や再発防止策までは出せない。そこで「全貌の解明には早くて半年、1年以上かかる」という診立てを関市長に伝えた。すると市長いわく「安易な幕引きはしない」「いくら時間がかかかってもいいから徹底的に調べて欲しい。小さな現象の後に大きな問題がある。市役所を根っこから変えるチャンスは今しかない、徹底的に調べて欲しい」。
 関市長の気迫と熱意に押され、私はその後2年にわたり毎週大阪に通う。腰を据えて調査すると互助組合、健保組合、入札問題、労使関係、情報公開など芋づる式に問題がでてきた。途中で守旧派議員が猛反発。改革つぶしと外部委員の排除の動きに出る。某保守政党の幹事長が自ら議場で根拠なき誹謗中傷や改革本部の批判をする。職員に対する嫌がらせや妨害工作もあったが屈せず何でも情報公開し続ける。
 やがて職員も率先して問題を表に出し始める。 委員会も過去のことは執拗にあげつらわない。むしろ今後の策を考えようと訴えた。結果的に市長への正式報告は延べ7回、7冊の分厚い報告書になった。泥沼の底らしきものが見えるまでに約半年、実際に掃除を終えるのに1年半以上かかった。
 大阪府も同じだろう。裏金問題の背後にはもっと深刻な体質問題が横たわる。それをこの際、発掘したらよい。安易な幕引きをすると数年後に同じ問題が繰り返される。「ピンチはチャンス」と捉え、裏金問題を生み出す腐った土壌、体質の是正に取り組むべきだ。なお、以下は読売参考まで。
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大阪府裏金問題の外部調査委、来月上旬に提言、解散
 大阪府の裏金問題を検証している外部調査委員会(委員長=石井一正・関西大大学院教授)は26日、最終となる5回目の会合を開き、再発防止策などの骨子を固めた。2月上旬に府に提言し解散するが、25日も新たな裏金が発覚するなど問題は底なしの様相を呈しており、府議会から「解散は拙速」と批判が出ている。会合では▽府の調査手法の是非▽1997年の全庁調査で裏金が一掃できなかった原因▽再発防止策――について協議した。記者会見した石井委員長は「職員に(都合の悪いことを)隠ぺいする気質があった」と指摘。議論終了について「問題点はほぼ出尽くし、意見もまとまった。府に早急に改善に取り組んでもらうことに意味がある」と述べた。これに対し、自民党府議の一人は「早く問題に幕を下ろしたい、という府の意向が透けて見える。府民の信頼回復のためにも、外部委による検証は継続すべき」と話す。府は12日、21部署で計5670万円の裏金が見つかったとする調査結果を公表したが、その後も北部、南部の両家畜保健衛生所で組織的裏金作りが発覚した。(1月27日 読売新聞)

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登録日:2007年 01月 28日 14:10:10

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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