●書評「小泉官邸の真実 飯島勲前秘書官が語る」(アスコム)
田原総一朗氏の責任編集「オフレコ!別冊」という標題の雑誌。こういう本はふだんは買わない。僕は永田町や政界の動向にはあまり興味がない。政界の動きはスポーツのような現場中継がない。企業情報のように市場や株価もない。政治記者のバイアスまみれの憶測情報に時間を費やすのは無意味だからだ。
だがすでに役割を終えた政治家の話は別。サッチャー回顧録は特に面白かった。この本もすでに終わった話を当事者との対談で書いているから買う。しかも国の経営者である総理の補佐役という珍しい仕事の回顧録だ。プロとしての政治家秘書、首相秘書の役割がよくわかった。田原氏との対談形式で本音がテレビ的ににじみ出て読み物としても軽快でお勧め。一番驚いたのは飯島氏が実は週刊誌を含めたマスコミとの接触を一手に引き受け、情報操作していたというのはまったくの嘘だったというくだり。首相番記者への対応は4人の首相事務秘書官にゆだね自分は出なかったという。政策秘書と事務秘書官の情報にずれが出たら記事になる。事務秘書官を守るためには沈黙を決めたという。小泉内閣の本旨は情報公開にあったという。そのためにこそ情報はひとつだけ正しいものを出す。プロの流儀のひとつだと思った。それにしても「飯島秘書官がマスコミを操作している」という情報自体がマスコミが作り出した虚像だった・・。もしこの証言が本当にそうだとすれば「官邸が正しい情報公開をするとマスコミは情報操作をされたと感じる」ことになる。これからのプレスは大変だ。会見内容を伝えるだけだと政府のインターネット広報に負ける。透明性が高まると憶測記事の価値がなくなる。おのずと調査報道に移行しなければならない。だがOJTでは限界がある。若い記者を鍛える場を別途用意しなければならない。
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登録日:2007年 02月 17日 17:35:22
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- プロフィール
- 上山信一
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- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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