●ミュージアムの経営改革(その1)

全国各地で公立の美術館、博物館、動物園などの見直しが始まっている。例えば民間企業への管理運営委託(島根県立美術館、長崎歴史文化博物館)、廃止(東京都近代文学博物館)あるいは民間の企業や財団が資金と人材を提供(寄付)し、行政は土地だけを提供する例(三鷹の森ジブリ美術館)などである。このほかにも直営施設を財団運営に切り変えたり、複数の文化施設あるいはそれらの運営をする財団の統廃合などが進む。経営形態は従前のままでも館長などを民間からヘッドハンティングしたりや業務のいっそうの民間委託化(受付など)はかなり一般化しつつある。
 広い意味での「官から民へ」あるいは行政解体が進行しつつある。変化はまだら模様で、毎年どんどん進化をとげる施設もある一方で10年前と変わらない施設もある。だが全体として公立文化施設の経営は大きく変わりつつある。
 変化のきっかけは5つほどある。第一には設置者である自治体の財政危機だ。第二には指定管理者制度の導入である。そして第三には国立の美術館、博物館、大学等の文化施設の独立行政法人化とそれをきっかけとした経営改革の影響がある。第四には行政評価の導入である。行政評価には2つのタイプがある。1つは設置者である自治体自身が自らの事務や事業を評価する中で文化施設への資金提供の意義などを見直す動きである。もう一つは文化施設が自ら使命、目標などを再確認し、毎年の達成目標を定め、その実現の度合いを自己評価するものである(徳島県立博物館、静岡県立美術館、兵庫県立人と自然の博物館など)。
 そして第五には市民参画の動きがある。形態はさまざまだ。ボランティアや友の会活動による運営支援、寄付、あるいは理事会への参画までいろいろある。
 いずれにしても役所が資金も人材も丸抱えで文化施設を運営するという時代は終わりつつある。

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登録日:2007年 05月 17日 01:52:57

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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