●民間諮問委員会=水戸黄門?
以下の規制改革会議の動きについてのニュース(朝日)、詳細は記事だけでは不明だが民主政治の本質に照らせばいろいろな疑問が湧く。緑資源機構の悪事を是正するのは当然だろう。だが、それを誰がどうやるかで政治の質が決まる。今の状況はまるで江戸時代と変わらない・・。
・水戸黄門(規制改革会議、あるいは民間人)が幕府の代官(独立行政法人)の悪事をみつけて成敗する。
・それを見て大衆(マスコミを含む)は溜飲を下げる
・根本的な再発防止策(独立行政法人の評価制度、国会や検査院の機能の見直しなど)は講じられない
・数年後、ほかで(よそで)同じ問題が発生
・またもぐらたたき(大衆受けする会議体による人民裁判)でごまかす
という構図だ。
そもそもなぜ悪事が発生するのか、なぜ幕府(政府)はそれを自ら取り締まれないのか?悪事が発生したから事業を縮小するというものでもないだろう。悪事と事業の必要性は別問題だ。私には本件は、規制改革会議の成果というよりも(成果なのは間違いないが)、むしろ政権の統治能力の限界の象徴に見える。魔女狩りやら水戸黄門やら人民裁判といったキーワードすら頭に浮かんでしまうが考えすぎか?そうならいいが・・。いくつかの問題提起をしたい。
1、そもそも「規制改革会議」がなぜ独立行政法人の事業内容や規模について答申するのか?「規制」とは何も関係ない。なし崩し的な領域拡大ではないか(拡大手続きをとったいう言い訳は知っているが、国民にはわかりにくい)?あるいは「行革会議」と名前を変えるべきだ。「民間主導」の人気を逆手に取ったお手軽の人民裁判所になっていないか?
2、この種の見直しはそもそも国会、さらに農水省の独立行政法人評価委員会、さらに総務省の独立行政法人政策評価委員会がやるべきだ。事件がおきたならそちらにチェックさせる。それが本来の官邸、総理の采配ではないか?
3、規制改革会議は非常勤の民間委員からできている。果たして調査能力があるのか?事務局がじっくり時間をかけて調べたのならいい。だがあまりにタイムリーにこういう提案が出てくると安易な魔女狩りではないかという懸念が残る。
4、この会議、いったいいつまでやるのか。選挙で選ばれていない民間委員の委員会の権限、設置期限は長くても3,4年に限るべきだ。もう10年以上もやっているが成果は芳しくない。もぐらたたきの域を超えない。あるいは常設機関にするなら権限や委員選考基準をきちんと定めて国民にも説明する。そうしないなら権限を限定すべきだろう。10年もやる改革はおかしい。
5、この種の会議の存在や活躍は近視眼的に見れば歓迎だし大衆受けもする。やらないよりは、やったほうがもちろんましだ。しかしこうした報道に接するといかにもわが国のガバナンスは機能していないと感じる。国会は、与党は何をしているのだろう?大衆受けを狙った水戸黄門任せや人民裁判になっていないか?この種の会議にもぐらたたきをさせるだけでは本当の改革にはならない。
ーーー
緑資源機構事業、大幅縮小を要求 規制改革会議1次答申
政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が30日にまとめる第1次答申で、入札談合事件で理事らが逮捕された農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の事業の大幅縮小を盛り込むことが明らかになった。林道整備や農用地整備は新規事業を取りやめ、現在進めている工事の終了時に「事業の廃止を決定すべきだ」と要求。今年度中に結論を出し、速やかに実施する方針を明記する。 答申では、緑資源機構が森林造成にかかわることが「民間による規模拡大や創意工夫の発揮に向けた意欲をそぎ、林業経営の成長と自立を阻む」と指摘。また入札談合事件が起きた林道整備については「職員に対する法令順守の徹底、内部管理態勢の強化を図るべきだ」としている。着工中の事業についても見直し・縮小を求めている。 答申内容は政府の規制改革推進3カ年計画に盛り込んだうえで、来月中にも閣議決定する。
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登録日:2007年 05月 30日 07:46:08
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- 上山信一
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- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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