●隠れた名著の書評:「定刻発車」」(三戸祐子)
「定刻発車」(三戸祐子)。この本は鉄道が機械・設備と人の連携で運営される巨大かつ複雑なシステムであることを教える。その運営と維持には、組織能力、歴史・文化、気候・地形、さらに国民性などあらゆるに様々な要素が絡む。鉄道に興味のない人にもお勧め。 ちなみに鉄道とオペラ・歌舞伎と自動車産業は似ている。オペラ・歌舞伎は芸術のなかでも総合芸術。歌、楽器、ストーリー、舞台装置、衣装などを総動員するからだ。オペラや歌舞伎ができない国には鉄道は運営できないだろう。自動車産業もそうだ。材料から加工、デザインまですべてが必要。自動車が作れて歌舞伎ができてオペラもやって、新幹線を定刻発車させるわが国の技術はアポロを月に送る技術とは別の意味で人類最先端である。
この本はその本質を語るという意味で優れた文明論だ。筆者は女性。男は私も含めて鉄道に恋をしやすい(鉄ちゃん)。その危うい分野における女性の冷徹な洞察眼である。英語翻訳すれば日本文明の本質をアングロサクソン諸国に広めるのにも一役買うはずだ。
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登録日:2007年 07月 15日 08:01:16
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- 上山信一
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- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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