●機銃掃射の弾痕の校舎
以下は朝日。
北野高校(大阪市淀川区):機銃掃射の弾痕とされる校舎壁面の傷
大阪市淀川区の府立北野高校。敷地の西端に、高さ約13メートル、幅約10メートル、厚さ約70センチ、れんが造りの巨大な「壁」が直立している。上部を中心に二十数カ所の欠けたような跡が見て取れる。隣接して「殉難乃碑」と刻まれた碑がある。市中心部に近い同校は、太平洋戦争中、何度も空襲を受けた。3階建て校舎の西側壁面は米軍機による機銃掃射の弾痕とされる傷が残った。校舎が改築で取り壊される際、壁面だけが保存された。卒業生で同窓会長をしている弁護士、山本次郎さん(75)は、振り返る。「空襲で同級生を失った。周りは焼け野原。それでも、私たちは必死に学校を守っていた」大きな壁は、戦争の厳しさを無言で示す碑のようにも見える。
1945年6月、山本さんは旧制北野中(現・北野高)の2年生で13歳。戦況悪化で授業は停止され、同校は地区の防衛本部となっていた。上級生は工場や要塞(ようさい)造りに動員。2年生6学級は、輪番で学校に泊まり込み、運動場でつくっていた農作物の警備や校舎を守る「防衛勤務」をしていた。同月15日午前8時。山本さんたち夜勤明けと、次の当番の生徒計約40人が、次の当番に引き継ぎをしていた時、空襲警報が鳴り響いた。分散して防空壕(ごう)や校舎内へ逃げた。やがて焼夷(しょうい)弾と爆弾の雨。2時間以上の空襲が終わると、避難した生徒が玄関に集まった。「生きとったか」「おお」。生存の実感をかみしめた。そこへ、同級生が担架で運ばれた。血まみれで骨が出た足が見えた。ともに夜勤をしていた友人だった。その目は、間もなく閉じた。点呼を取ると、もう一人いない。運動場の中にあった防空壕の中に入った教師が「担架を持ってこい」と命じた。別の友人の遺体が運び出された。戦後、山本さんら有志が、慰霊碑を作ろうと呼びかけた。86年6月15日、学校で亡くなった2人の名前を刻んだ碑を建立した。91年、弾痕とされる傷がある校舎の建て替えが決まると、壁を残そうと、卒業生や教職員らが運動を開始。翌年、保存が決まった。山本さんは時折、母校を訪れる。ガラス張りの漸進なデザインの新校舎。「壁」と碑の隣にある体育館からは、バスケットボールのドリブルの音が聞こえる。優しい目で後輩の姿を見ながら思う。「13歳で石になってしまった2人。この碑を見た高校生たちが、自分の学校であった事実を知り、自分たちが持っている『自由のわけ』を考えてもらいたい」間もなく戦後62年の終戦の日を迎える。激しい戦禍は学校にも及び、子どもたちをいや応なく巻き込んだ。その瞳に映った記憶は、次の世代に受け継がれているのだろうか。府内の学校に残る戦争の痕跡を訪ねた。
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登録日:2007年 08月 15日 10:48:20
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- プロフィール
- 上山信一
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- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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