★★中田宏氏の政治哲学★★

〇もうすぐ横浜市長選挙。以下朝日新聞のインタビューに答えた記事です。

検証中田流 (5)国に対する2つの顔  2006年03月09日(朝日新聞)

 市長執務室の中田宏市長の机。経営学から新潟県中越地震、映画のガイドブックなど、様々な分野の本が山積みになっている=横浜市中区の横浜市役所で
 すべての国民に11けたの番号を振り、氏名や住所といった個人情報をコンピューターで結んで、総務省の外郭団体が一括管理する。そうした住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が本格的に動き出してから3年半になる。
 だが、横浜市はいまも反旗を翻したままだ。
 「本人確認情報非通知申出書」
 横浜市に引っ越し、区役所で転入手続きをすると、窓口の職員から、そう書かれた1枚の用紙を渡される。臨時措置として、希望者だけを住基ネットに接続する選択制を採っているからだ。住民のほぼ4分の1に当たる約83万人が接続を拒んでいる。
 中田宏氏が市長就任から4カ月後の02年8月、早速、全国的に注目を集めた独自の取り組みだった
■    ■
 簡単なことではない。
  かつて、逗子市の池子の森への米軍住宅建設問題で、政府に反発した逗子市の当時の富野暉一郎市長は「補助金や負担金を切られた意識はないが、国有地の払い下げを拒まれた」と振り返る。
  14年前の話になるが、国が都市農地の宅地供給化を進めようと法改正したのを受け、藤沢市が市独自の農家救済策を導入しようとしたことがある。だが、当時の自治省は「国策に反する」と、地方交付税の削減もちらつかせて市を牽制(けん・せい)し、結局、実現はしなかった。
 国と地方自治体という歴然とした上下の力関係のなかで、中田市長が住基ネット問題で選択したのは、市全体でネットワークから離脱するという強硬策ではなく、参加・不参加は個人の意思に委ねるという緩やかな妙策だった。
  「横浜から日本を変える」
 中田氏が4年前の市長選のときから、繰り返しているメッセージだ。中田氏と親交のある慶応大学大学院教授で、自治体経営を専門とする上山信一さんは、こう解説する。
  「長野県の田中康夫知事も東京都の石原慎太郎知事も国政にがんがん口出しし、『地方から国を変える』と言う。言葉は同じだが、中田市長の場合は国政と市政を線引きし、地方自治を通じて国を変えようとしている強い意志がある」
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 「横浜市民の安全性確保について、市長はもっと積極的に発言すべきではないか」
 昨年11月の横浜市議会の委員会で、市長は自民党の市議から、こんな批判を浴びた。
 横須賀基地に原子力空母が08年に配備される問題を、2日前の記者会見で質問され、こう答えたからだ。
 「(空母配備は)私が決定権者ではなく、良い悪いという話ではない。なにを配備しろという話は、国が責任を持たなければいけないこと。そこに口を挟むつもりはない。現時点で安全性に配慮をと申し上げるのは先回りし過ぎだ」

 隣の横須賀市に降ってわいた話ではあるが、横浜市も金沢区などは横須賀基地から約6キロと近い。ある自民党市議は「市民の安全を守るのが務めである市長の言葉として驚いた」。横須賀市の蒲谷亮一市長も「国の問題だと割り切っているみたいだ」と、朝日新聞の取材に語った。
 自民党内から批判が出たことを重く見たためか、中田市長はその約2週間後、防衛庁に額賀長官を別の課題で訪ねた際、原子力空母問題にも触れ、「不安に思っている横浜市民もいる」と懸念を伝えた。
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反旗と静観――国を相手にしての二つの別の顔。
再び、慶大大学院教授の上山さん。
「かつての横浜市長の飛鳥田さんは米軍の戦車を道路で止める反戦活動までし、当時を知る人は『中田さんは日和っている』と思うかもしれない。でも、冷戦は終わり、市民の中で米軍問題はさほどでない、と中田市長は判断しているのだと思う。実にならないことはやらない、というのが彼の政治哲学だ」

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登録日:2006年 03月 23日 00:22:47

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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