●大阪市の改革を評価する(By 民間委員@市政改革推進会議)
以下は10月16日の市政改革会議で公表された「民間委員によるこれまでの市政改革の評価」の総論部分の写しである(市役所によってすでに情報公開済みの文書)。
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市政改革本部の発足から2年半が経過した。また「市政改革マニフェスト(案)」の公表からほぼ2年が経過した。そこで当会議の委員の視点からこれまでの市政改革を評価したい。客観的かつ網羅的な評価を行うためには別途、実証調査を行う必要がある。その作業は別途、行うこととし、今回はそれに向けた課題の整理を兼ねて、各委員の感想と意見をとりまとめた。
1.これまでの成果
・最大の成果はおそらく労使関係および一部の同和団体との関係の正常化ではないか。かつては庁内に「もの言えば唇寒し」といった空気が強かった。だが最近では職員がどんどん意見を言うようになった。市役所が明るくなった。
・2つめの成果は情報公開の進展である。大阪市役所はこれまで「市民に情報を隠している」と批判され、現に職員厚遇問題でそれが露呈した。しかし最近では不祥事など都合の悪い情報もどんどん公開し、むしろそれをばねに是正・改善を図るという姿勢が市長や改革本部、総務局、財政局など管理部門を中心に構築されてきた。
・3つめの成果は、改革マニフェストによる市役所全体の目標管理とそれによる市長中心のガバナンス体制の構築である。例えば改革マニフェストの目標に財政再建の目標が連動し財政規律が確立されてきた。公債残高の減少は顕著な成果である。また市政改革マニフェストと連動する局長マニフェスト、区長マニフェストを作ったことで目標管理意識がだんだん組織全体に浸透し始めている。
・以上のような改革の姿勢と成果は、市民やプレスさらには全国の経済団体や研究者からも相当に評価され始めた。例えばこれまでに経団連、経産省研究所、経済同友会、東京財団、時事通信などから東京での講演の依頼や調査団の派遣があった。専門機関の格付けや情報公開・IT化の進捗など各種ランキングの実績数値も如実に向上した。
・総じてこれまでの改革はかなりの成果をあげてきたといえる。
・しかし出発点のレベルはあまりにも低かった。これだけの改革を経てもなお大阪市は深刻な財政危機にある。そして他都市をはるかに凌駕する過剰コスト、過剰人員を抱える。大阪市の人口一人当たりの行政コストは50万円強であり政令市中最も高く、さいたま市の2倍にものぼる。また職員数は人口千人あたり12人強であり、福岡市の2倍以上である。そして職員の大半の意識もまだ変革途上にある。
・市政改革は山にたとえれば三合目の位置にある。市政改革は不祥事の「是正」を終え、「身の丈改革」に目処をつけた段階にすぎない。次の「本質改革」についてはその道筋探しが始まった段階に過ぎない。
2. 今後の課題
・過剰人員・過剰行政の現実と財政破綻のリスクを前に残された道は限られる。従来型の予算や人員の削減だけでは問題は解決しない。今後は一部事業の廃止・民営化(地下鉄事業など)、売却、あるいは独立行政法人化(美術館・博物館など)等の外科的措置が必要である。また大阪府等との事業統合も考えるべきである(水道、大学など)。同時に遊休資産の売却や有効活用(駐車場事業など)が不可欠である。
・ところが庁内のみならず市民の一部には「3年もやれば改革は十分」「もはや、みそぎは終わった」「削減ばかりで夢がない」といった意見がある。こうした気分は改革の逆戻りを誘発しかねず、これとの対峙が今後の大きな課題である。
・これまでの改革は「是正」「身の丈改革」であり誰の目にもその必要性は明らかだった。また不祥事の報道、市民からの批判、外部委員の監視や助言があり、それらを梃子に庁内の反対や既得権益勢力の抵抗を乗り越えることができた。しかし今後の改革は、経営形態の変更(民営化、独立行政法人化、府市連携などをはじめその手法が政策や事業遂行の基本的枠組みの変更にかかわるものが多い。この2年半で各局レベルでの経費節減や過剰人員の見直しは進んだ。しかし抜本改革となると各局の抵抗は強い。例えば経営形態の変更についてみても前向きに検討しようという局はほとんど見当たらない。
3.改革推進体制の強化が必要
・以上の課題に対しどういう姿勢で臨むべきか。まず第一にこれまでの本部体制を凌駕する更なる改革推進体制の強化が急務である。
・また改革本部職員のスキルはこの2年でかなり高くなった。だが民営化や経営形態の見直しなどの領域になると知識不足は否めない。今後とも経営や法律等の外部の専門人材の活用が不可欠である。
・さらに今後は民営化の際の市役所の出資比率の判断など市民にとって理解しにくいテーマが増える。単なる情報公開の域を超え、市民に対してわかりやすい方法で改革の動きを説明する場や手法が必要となる。
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登録日:2007年 10月 18日 23:45:49
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- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- http://www.pm-forum.org/ueyama/
- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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