●全国メディアが大阪市改革に注目

以下は時事通信社が全国自治体に配信するi-jumpの10月22日号の巻頭記事。今回は私が同社の求めに応じて大阪市改革の現状を全国の自治体、マスコミ関係者に報告した。大阪市改革の今後には全国メディアが関心を示している。最近はキー局テレビが企画化しつつある。
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「がけっぷちの大阪市改革-全国からの監視を 慶應義塾大教授・上山信一

 全国に悪名をはせた大阪市の職員厚遇問題からほぼ3年がたつ。大阪市はその後、関淳一市長のもとで大改革に取り組んできた。労組や一部の同和団体との関係の正常化、5年間の新規採用凍結、職員数の削減、政令市では最大規模の予算削減など施策は大胆で、かつ成果は大きい。情報公開度の全国ランクも急上昇、政令市最下位から第3位にまで上がった。公債残高は戦後初めて減り始め、海外格付け機関からは東京、横浜並みの格付けを得るまでになった。職員の表情も見違えるように明るくなった。だがこれからの道のりは容易ではない。今回は正念場を迎える大阪市改革の現状を報告したい。

 ◇これまでの改革-情報公開と外部人材の活用で成功

 これまでの改革は「正常化」に過ぎない。やみ年金・退職金、やみ専従などは是正して当たり前、改革の名にすら値しない。人口当たり横浜市の2倍もの職員数の削減や予算圧縮も当然の措置でしかない。だが大阪市はこの程度のことすら自力ではできなかった。大阪市は純血主義で有名だ。今でも中央省庁の出向者を受け入れない。だが関市長は05年4月に筆者を含む外部人材を「改革本部」のメンバーに迎え入れた。弁護士出身の大平光代助役(弁護士)のもとに財界人、弁護士、会計士、コンサルタントや筆者など外部の専門家が結集した。徹底的なヒアリングを経て民間経営手法の導入を指導した。各部局の組織的抵抗は「何でも情報公開」の方針で打破した。市のホームページには他都市や民間と比べた過剰コストや非効率の実態が掲載された。
 作業は2年で一段落する。今年4月以後は民間人の外部委員からなる「市政改革推進会議(委員長は筆者)」で進捗(しんちょく)チェックをしてきた。この会議では市の組織があいまいにしがちな重要課題(地下鉄民営化、事業外注化、人材戦略など)を繰り返し取り上げた。市民やマスコミに公開された会議の席上で市幹部に説明を求め助言をした。特に改革後退の兆しがある課題は優先的に取り上げた。この会議が最近では市政改革のペースメーカーとなっている。ともあれこの約3年間、民間の外部人材の参画で関市長の改革が進んできた。

 一方、議会改革はどうか。大阪市議会は当初、労組と並ぶ大阪市問題の元凶と指摘された。労使関係は正常化したが議会改革はなかなか進まない。情報公開、政務調査費問題など当たり前の是正すら始まらない。第三セクターの破綻(はたん)処理などでは市民の負担を減らすための改革案すら否決する。市議会には市政改革特別委員会が設置されている。だが議題は直近の市政改革推進会議で討議された議題をなぞって審議するだけだ。自ら新たな課題は発掘しようとしない。一部の与党議員はボランティアの外部委員を議場で名指しで批判し市民の失笑を買う有様(ありさま)だ。このままでは議会は自らの改革どころか市政改革の足かせになったまま市民の信頼を決定的に失うだろう。

 ◇外部委員との関係は体質改善のバロメーター

 大阪市はこれまでの改革に際し、2人の外部から登用した識者と対立し、いずれも不幸な形で決別してきた。まず本間正明氏(当時大阪大学教授)である。三顧の礼をもって改革案を諮問する会議の座長に迎えた。それにもかかわらず本人不在の市長記者会見の場で一方的に解任宣告した。真相は不明だが外部からの幹部登用をめぐる意見の不一致が原因と報道された。次が大平助役である。2年前の市長の辞任、再選挙出馬の際に突然辞任。原因は守旧派議員との確執と伝えられた。
 さて、2度あることは3度あるのか。ともあれこうしたことを含めた大阪市のモンロー主義体質は簡単には変わらない。大阪市の改革には少なくとも向こう4、5年間は外部からの監視が不可欠である。庁内・議会の守旧派勢力はいろいろな理由をつけてそれを排除しようとする。だが外からの監視がなくなれば改革はすぐに逆戻りする。全国の皆さんは大阪市役所、市議会と市政改革推進会議の関係を大阪市改革のバロメーターととらえ、外から叱咤(しった)激励していただきたい。(07年10月22日)

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登録日:2007年 10月 24日 00:46:11

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プロフィール
上山信一
(男)
http://www.pm-forum.org/ueyama/
慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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