●滋賀県新幹線新駅問題:朝日新聞へのコメント

以下は朝日新聞特集記事「直言、新幹線新駅問題」(下):上山信一・慶大教授
より引用。
「地権者の個別救済必要(上山信一・慶大教授)」
 新幹線の新駅をつくるかどうかは、原発や米軍基地の問題とは性格が違う。駅はあった方がいいが、問題は費用対効果。その意味で政治的には大きな問題ではない。だが、建設を止めるまでのプロセスで、滋賀県民はすばらしい無形のリターン(見返り)を得た。県民は選挙という民主主義の装置で、着工済みの公共事業を止めるという民意を明らかにし、知事を選び、県議会改革にまで発展させた。一票で民意を反映させることを学び、自信を得た。それは公共投資から、教育・福祉などソフト路線への政策転換を象徴する動きと言える。琵琶湖の環境保全運動で培った民度の高さがうかがえる。県と栗東市は10月末まで、新駅を止めるか、つくるかで対立し、地権者対策などの後処理問題に入れなかった。地元が新駅を求める気持ちはよくわかる。しかし、中止が決まった今、市も県も潔く後処理問題にあたるべきだ。県と市は制度上は別組織だが、住民は親会社と子会社的な位置づけにあると見ている。現に市が後処理問題を解決できなければ、県が支援せざるを得なくなる。仮に市が財政破綻(はたん)すれば、夕張市と北海道庁の関係と同様、県が尻ぬぐいをすることになる。財政問題も並行して話し合い、時間をかけて解決していけばいいと思う。
 ただ、土地区画整理事業の地権者対策は別の次元の問題だ。役所同士の議論とは別の軸で早く解決しないと気の毒だ。区画整理の土地に、物理的に別の箱モノを建てるという発想は非常に良くない。融資や債務保証などで個別救済する手法を考えるべきだ。そのためには、固定資産税や相続税、商売の変更など、住民がどんなことで実際に困っているのかを整理しなければならない。この区画整理事業は新幹線駅が前提だったとはいえ、元々大規模過ぎた。一部の地権者に対しては、「もうけ損なっただけではないか」という批判があるのも事実だ。個々の地権者は本当にどこで困っているのか。市と県はそれを見極めないといけない。民間企業なら地権者ごとに担当者を決めて実態把握から始める。肝要なのは地権者との対話と思いやりの心だろう。(談)(11月13日朝日新聞)

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登録日:2007年 11月 14日 19:51:20

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プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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