●改革屋のフロンティア

 先週から内閣府の「社会保険オンラインシステム最適化評価ワーキンググループ」が発足。私もメンバーになった。年金記録問題、社保庁の組織変更はひと山越えた。だがあとひとつ大きな課題が残っている。ITの更新と投資である。ITのバージョンアップの計画は昔からあった。その後の事件発覚で軌道修正はされてきた。だが、本当に今の社保庁の投資計画で良いのか。その事前評価が我々の仕事だ。
 投資額も維持費も巨額である。そのうえ開発スケジュールに余裕がない。巨大システムの本質課題をいかに的確に見抜くか。専門家のチームワークが問われる仕事だ。
 最近、私が関わる公的機関の改革は事件・事故に由来するものが多い。典型が「大阪市役所(変革推進会議委員長)」の改革。最近は「JR西日本(変革推進会議委員)」と「国連某機関(査察委員)」の改革で忙しい。そして先週から社会保険庁が加わった。いずれも世論の厳しい批判を受けた組織だ。スタッフにお会いすると本当に組織を変えたいという思いが伝わってくる。トップの決意の強さにも心をうたれる。だが、巨大組織のDNAや行動様式は急には変わらない。組織の内実を変える作業には硬軟両様の仕掛けと根気が必要になる。「たかが外部の委員に何ができるか」と言われつつ、黙って急所に楔を打っていく。針灸と同じで打つ場所によって歓迎されたり、嫌がられたりする。だが絶対に妥協しない。打つべき場所には全部打つ。するとやがて組織は元気を取り戻し、自律学習の好循環に入っていく。その頃、私はよそでせっせと楔を打っている。これがプロの改革屋の仕事の流儀、そして美学である。

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登録日:2007年 12月 10日 00:02:47

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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