●経済合理性と民意

以下は日経。「元気な大阪、官民で知恵を――「平松新市長」に経済界は様子見
2007/12/17
 大阪市長選に初当選した元民放アナウンサーの平松邦夫氏が19日、就任する。現職の関淳一氏を応援した経済界は新市長との距離感をつかめていない。市政改革を推進してきた関氏を退けた「民意」をはかりかねている。「関市長の落選は残念。なじんだ人の方がやりやすい」。関西経済連合会の下妻博会長は率直にこう語った。職員の厚遇問題、ヤミ退職金、カラ残業などが相次ぎ発覚した大阪市。関氏は出直し選挙で再選された後、職員の削減などに取り組んできた。経済界は市政改革の監視役となり、行政のスリム化や大阪市営地下鉄の民営化、民間への業務委託を促すなど「官から民へ」の流れを決定づけようとしてきた。平松氏も関氏が推進してきた市政改革を継続する構えだが、微妙にスタンスが異なる。「急激な官から民への流れの中で、安全性や信頼性が損なわれ、過度なコスト重視の結果、民間事業者が劣悪な条件で受託する場合も生じてきた。高度医療など市民の生命と安全・安心を支えるセーフティーネットの役割は効率的経営の努力を尽くしながらも公的な責任で確保するべきだ」。平松氏は選挙前、民間活力の活用などについて尋ねた関西経済同友会の公開質問状にこう回答した。経済界が旗を振ってきた市営地下鉄の民営化にも反対している。

 助役出身の関氏と民間出身の平松氏の対決という構図だけで選挙結果を評価するのは難しい。大阪商工会議所の小池俊二副会頭は「関市長による市政改革の中身が市民に十分に伝わらなかった。大阪では厳しい生活環境に置かれている人が多く、“市民目線”を唱える平松氏に現状の打開を期待したのかもしれない」と分析する。関氏と同様に経済界が支援を決めていた太田房江大阪府知事も「市民目線」とはかけ離れた言動が目立ち、出馬断念に追い込まれた。「民意」はどこにあるのか。大阪では原料費高騰などの影響を受けた中小・零細企業の倒産が急増し、「好況」を実感できないとの声が広がっている。「行政のスリム化や財政再建はもちろん大切だが、大阪を元気にするような夢のある施策も打ち出してほしい」というのが多くの市民の願いではなかろうか。平松氏は立候補を表明したとき、大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)に市役所の本庁機能を移し、現在の本庁舎には美術館を入居させる「夢」を語った。選挙戦を通じて実感した「市政と市民との距離」を縮めようと「ガラス張りの市政の実現」を強調している。個々の構想の是非はさておき、過去の延長線上にはない発想こそが大阪を浮上させる原動力となる。下妻関経連会長は早速、平松氏と会談し、市政改革の継続などを求めた。「こちらの意見によく耳を傾けてくれたが、どんな施策を打ち出すのか、まだよくわからない」と模様眺めだ。大阪をどうすれば元気にできるのか。市長選のしこりを乗り越え、官と民が知恵を出し合わなければ、大阪再生への「次の一手」は見つからない。
(編集委員 前田裕之)

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登録日:2007年 12月 25日 06:22:43

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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