●パキスタンと世界

 早いものでもう21世紀になってはや8年目。子犬は成犬になり、子供たちは青年になった。日本は平和で豊かこの上ない。しかしのんきな日本も世界の流れとは無縁でおれない。
 この8年を振り返れば日本経済はかつてよりも力強い。けれども財政赤字は積み増しされる一方だ。企業の稼ぎは海外の投資家がどんどんもっていく。現代の資本主義は修正という節度を忘れ、世界中でかつての日本のようなバブルが起きている。よせばいいのに一泊10万円近くもする超高級ホテルが世界中にできていく。貧富の差の象徴ではないか。おかげで途上国にはアルカイダが増殖し、先進国では現世利益だけをばらまく大衆政党の衆愚政治がはびこる。
 世界は混迷を深めるばかりでパキスタンの暗殺事件がそれを象徴する。ことによるとあと数年のうちに本格的な核テロ攻撃が英米に対して行われてもおかしくない。20世紀に入り、宗教が消え、イデオロギーが消え、そして国家も揺らぎつつある。揺らいだ個人が金に使われ、みせかけの豊かさが家族と社会の不幸を増幅していく。そして環境問題。悲観主義はやめるべきだ。数々の明るい希望もある。だが世界を読み解く座標軸が見えない。

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登録日:2008年 01月 02日 11:01:27

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プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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