●企業誘致の補助金への疑問

以下は日経。私のコメントあり。
・姫路市、松下に100億円助成――液晶パネル新工場、雇用など波及期待
 松下電器産業などが兵庫県姫路市に薄型テレビ用の液晶パネル工場新設を正式発表したのを受け、姫路市は15日、6年間で約100億円の奨励金を助成すると発表した。雇用など波及効果を期待し、市レベルの企業助成額としては異例の大きな規模だ。ただ、誘致のための補助金競争は過熱気味。自治体の財政難のなか助成制度のあり方を問う声も出ている。新工場は今年8月に着工し、2010年1月に稼働予定で投資額3000億円。市は市内で100人の新規雇用を見込む。石見利勝・姫路市長は同日の会見で「地元企業にもビジネスチャンスが広がり、継続的な雇用拡大につながる」と述べた。市は工場立地促進条例を改正する方針。同条例は投資額500億円以上の大規模事業者を対象に、「工場設置奨励金」という固定資産税相当額の交付措置のほか、「事業所奨励金」という事業所税相当額の交付措置を盛り込んでいる。市は条例改正で、交付期間をそれぞれ3年から6年に延長。限度額1億円、期間3年間の雇用奨励金も2億円、6年に拡大する。条例改正により、新工場完成後、6年間で工場設置奨励金92億円、事業所奨励金6億円、雇用奨励金2億円の総額100億円の奨励金を交付する見込み。関連部品メーカーが多い液晶事業、次世代の有機EL事業の波及効果を期待して多大な投資に踏み切る。尾上寿男・姫路商工会議所会頭も「地元企業に情報提供、相談業務を行い、地元経済を底上げしたい」と市の施策を後押しする。

 しかし、一般会計2000億円規模の姫路市にとって、総額100億円の助成金を1工場に投入することは費用対効果という点で大きなカケとなる。橋下徹知事が「財政非常事態宣言」を発した大阪府でも、シャープが堺市で建設中の液晶パネル新工場に、先端産業補助金として上限の150億円を交付する。新工場の敷地内に立地するガラス大手の米コーニングなど関連メーカー3社にも計180億円の補助金を交付する方針。高額な補助金に頼った企業誘致策が広がっている。

 こうした状況に対し、経営コンサルタントの経験を持つ上山信一・慶応義塾大学教授は「企業は補助金をあまり必要としていないにもかかわらず、首長や自治体が助成制度の効果で誘致できたのだと自分の手柄を強調するケースが多くある」と警鐘を鳴らす。企業はインフラ整備や労働力、地価などを総合判断して進出先を決める。「自治体の補助金や首長の熱意だけを決め手に経営判断はしない」(上山教授)というわけだ。

 だが、ほかに企業誘致の決め手がない自治体にとって、補助金が企業立地を促す1つの要素になっていることは事実。課題は、投じた額に対してどのくらいの経済波及効果があるかを自治体が示すことができるかだ。今回、姫路市と一体になって松下の誘致に取り組んだ兵庫県も、税収増などの具体的な額を示さなかった。どの自治体も厳しい財政事情は同じ。いたずらに見せかけのための補助金上積み競争に走ることなく、数字の裏付けがある波及効果を示しながら補助金を投入していくことが必要になっている。

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登録日:2008年 02月 16日 11:47:58

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プロフィール
上山信一
(男)
http://www.pm-forum.org/ueyama/
慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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