●市長と市議会の英断(大阪市)
以下は朝日新聞。
チェックオフ制度のおかしさは3年前の職員アンケートで多数の職員が指摘していた。半強制的な天引き制度は労使関係の正常化をはかる上でぜひ見直すべきと私も主張した。だが当時は廃止の手段が思い浮かばなかった。今回は政治の力を痛感した、脱帽である。
平松市長はたいへんバランスのとれた賢明な判断をされた。さすが市民派市長である。条例改正を提案した自民、公明、そしてあえて反論しない民主も立派である。党利党略や政治的思惑ばかりが喧伝されるがもともと組合費を天引きするという制度がおかしい。源泉徴収ですら納税者意識を阻害すると批判される時代だ。自分の給与は自分で使い道を決めるべきだ。今回の措置は単なる正常化でしかなく、遅きに失したとすらいえるのではないか。
ちなみに制度の見直しは労組が自らのあり方を見直すよい機会になるだろう。抜本的な経営改革は市役所だけでなく労組にも必要なのではないか?
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平松市長、苦渋の決断 チェックオフ09年度廃止を表明 2008年04月01日
大阪市の平松邦夫市長は1日記者会見し、市職員の労働組合費を給与から天引きするチェックオフ制度を廃止する条例改正案を可決した市議会に対し、再議を求めない考えを正式に表明した。自民、公明両党が多数を占める議会との関係を重視した市長の判断で、制度は09年度から廃止されることが確定した。制度廃止は団結権侵害との指摘もあり、昨年の市長選で平松市長を支援した市労働組合連合会(市労連)は反発を強めている。
「市民生活に直結しない問題であり、再議権を行使することで、ほかの重要課題の推進に混乱をまねくことは私の望むところではない」。平松市長は記者会見で再議を求めない理由をこう説明した。 条例改正案は3月28日、市議会の多数野党の自民、公明両党の賛成多数で可決。地方自治法の規定では、市長の再議要請で条例改正案を再度可決するためには出席議員の3分の2の賛成が必要だ。 自公だけでは届かないため、民主党や市労連の支援を受ける平松市長がチェックオフ制度を維持することは可能だった。だが、ここで再議にかければ「自公と全面対決になる」(市幹部)。平松市長は円滑な議会運営を優先したというわけだ。
少数与党の民主党にとっても難しい選択だった。市労連は4年前に大阪市を揺るがした一連の職員厚遇問題や、勤務時間中に組合活動をする「ヤミ専従」などの元凶と名指しされた経緯もあるからだ。 「最悪のシナリオは市長不信任で辞職に追い込まれ、再選挙で『労組の肩を持った市長と民主』のレッテルを張られることだ。平松市長は苦しい選挙を戦ってやっと誕生させた。そこまではしたくない」(民主党市議)という判断も働いた。 平松市長は1日、周囲に苦しい胸の内を明かした。「やっとの思いで新年度予算を通した。ここでけつまずくわけにはいかない」 実際、平松市長の議会運営は厳しい局面が続いている。3月市議会では自公の反対にあい、3人目の副市長人事を議会に諮ることを断念したばかり。ある自民市議は「再議に持ち込んでいたら、5月議会で副市長候補にだれを持ってきても通さなかった」。 別の自民ベテラン市議も「実際に再議にかければ、3分の2の賛成を取るのは難しかったと思う。結果的にチェックオフ制度廃止は、平松市長が野党に歩み寄るかどうかを試す『踏み絵』の形になった」と満足げだ。
一方、再議権を行使するよう要請していた市労連は、平松市長の決定について「組合費が天引きでなくなると負担感が倍増する。未払いや脱退する組合員が増え、組織が弱体化する」(幹部)と困惑を隠さない。昨年11月の市長選では平松市長を支援しただけに、「残り3年半の任期で自公と仲良くやろうという考えが勝ったのなら、政治家として失格だ」(幹部)と不信感も強めている。 市労連は9割超の組織率を誇り、加入職員は約3万4350人。チェックオフ制度は加入職員の95%程度が利用しているとみられる。06年度は計約21億2800万円を集めた。このうち、条例改正の影響を受けるのは市職員労働組合(市職)加盟の1万3500人で、市労連の約3分の1にあたる。今年2月だけで、市職が集めた組合費は計約6500万円だった。
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登録日:2008年 04月 02日 11:41:19
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- プロフィール
- 上山信一
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- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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