●知事よ、大阪の“劣化”と戦え

以下はサンケイ。
この先生に私も激しく同意!
【古典個展】立命館大教授・加地伸行 知事よ、大阪の“劣化”と戦え  2008.5.25
 えらいことですなあ。料理の残りもんの使い回し。

 さすがは船場吉兆。ふつうの者には真似ができん。もったいない精神からとのことと、使い回しに小理屈をつける女将(おかみ)は大したもんだ。料理の理論化で、文化功労者となった初代はどのように思うだろうか。あの女将と、「もったいない」を連呼して当選した嘉田由紀子滋賀県知事との「もったいない対談」をだれか企画してはいかが。使い回しはどこの店もしているのではあるまいか。あるうどん屋、おいしい店なのだが、サービスに薄く切ったかまぼこを一片(ひときれ)載せる。けれども、見るからに添加物こてこての真っ赤な色つき。そんなもの、危ないから残していたが、そうか、この次は、残すけれども使い回しができんように、噛(か)み切っておこう。でも、それって、もったいないような、そうでないような…。

 こういう馬鹿馬鹿しい事件が起きたのは、大阪の劣化の一つ。メディアは、吉兆を老舗(しにせ)と報道するが、真の老舗とは、例えば金剛組。六世紀の四天王寺建立(こんりゅう)以来、連綿(れんめん)と続いて現在も大阪市で活動している寺大工・建築業者。この金剛組のことを知っている大阪人は少ない。

 そうした劣化の一つとして、こういう体験があった。

 あるパーティー。円卓を囲んで私の隣席に大阪府幹部職員のA氏。なかなかの人物で、話がはずみ、談、教育問題に至り、私はこう言った。「高校生に漢文の面白さを伝えたいし、教員のために模範授業をしてもいい」と。A氏は「それはいいですね」と共感し、一人置いた隣席にいた府教育長B氏に「加地先生が高校で漢文の模範授業をしてもいいと言っておられます。どうですか」と言った。すると、B教育長は、なんとこう答えたのである。「それなら講師登録してください」と。A氏も私も唖然(あぜん)とした。

 分かっていないとはこのこと。私は府立高校非常勤講師を志望しているのではない。特別講義、大阪の教育への協力という社会貢献なのである。この教育長はもう退職しているが、橋下徹大阪府知事の改革に対して「荒っぽい案」と批判していた。相い変わらず分かっていない。

 橋下知事は、なにもかも切り捨てて大阪を破壊しようとしているのではない。聖域を置かず、すべて見直し、〈さしあたり不要不急のもの〉を洗い出し、可能な予算を組もうとしているのである。見上げたものだ。全国広しといえども、水脹(みずぶく)れとなった地方公共団体予算に徹底した切りこみを行おうとするのは彼がはじめてではないか。

 橋下知事は〈公〉を第一としている。大阪の劣化とは、公や歴史の誇りを持たず、〈私〉に偏るところにある。いわば、橋下知事を頂点とする改革派は公を前面に、抵抗派は私を前面に出しての全面対決という構図か。

 橋下知事よ、がんばれ。「やってみなはれ」。抵抗して文句を言っている人たちは、有り体に言えば、予算を削られる、つまりは自分たちが貧しくなるということが納得できないと言っているのである。そういうのは、昔からあるので気にするな。『論語』憲問篇はこう言っている。「貧(まず)しくして〔しかしそれに耐(た)えて〕怨(うら)みなきは〔なかなか〕難(かた)し」と。(かじ のぶゆき)

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登録日:2008年 05月 25日 05:02:31

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プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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