●地域再生戦略を問い直す(2/5)

先日の1.の続きです。
2. 「地方」とはどこか?
(1)中心―周縁説
 「地方」は相対的な概念です。東京人は東京以外が地方だと思っています。しかし、大阪など大都市に住んでいる人はそう思っていない。欧米から見ると極東や日本は辺境。そして北京からみても東京は東の辺境都市です。関西人はわが国の中心は歴史上ずっと京都であり、東京など新興ニュータウンにしか過ぎないと本気で思っている。だいたいこのまえの戦争(もちろん応仁の乱のことですが(笑))・・のあと関東がだんだん騒がしくなってちょっと前に天皇陛下もお出かけになった。それでまだ関東におられる。関西人は「よくもまああんながさつな文化不毛の土地に長くおられるな」と心配しながら京都へのお帰りを待っているわけです(笑)。
 さてその東京に比べると大阪は田舎。大阪よりも福岡は田舎で熊本はもっと田舎。そして水俣はもっと田舎。要は地方というのは相対的な概念でしかない。したがって、地方地方と抽象的に言ってもしょうがなくて、現実には地域を特定して、地図の上でここをどうするという議論をする必要があります。
  (2)「地域経営」の現実的単位
地方の議論をする場合、地域経営の単位を考える必要がある。これは、皆さんが事業部の範囲とか、支店の範囲はどこなのかとか、ふだん議論される話しと同じです。経営目的を達成するために経営の単位はどういう範囲がいいのか。現在の制度は都道府県と市町村という二層構造になっています。しかしこれが必ずしも現実的でない。それで道州制、市町村合併が話題になる。
(1)ブロック:①周縁(沖縄 北海道)、②3大都市圏、③道州
 私は地域経営の単位はブロックとエリアの2層に分ける。ブロックというのは道州に近いものですが、道州のように同列ではなく、その性格から3種類ぐらいに分かれます。
 第1は3大都市圏。経済的には自立もできるし、国を支える力も持っている。空気や水は最悪ですが。
 第2は今話題の道州制の地区。しかし、東北、北陸、中国、四国という単位の経済自立はなかなか難しいと思います。NTTやJRのエリアはなかなか合理的にできていて、私は道州制は、本当は東日本、中日本、西日本、九州ぐらいの単位が現実的ではないかと思っています。もちろん政治的にはたぶん10ぐらいの単位になる。
 一旦きっと10になる。しかし財政的に成り立たず、20から30年後に4か5に集約されるにのではないか。
 3つめは沖縄、北海道。あくまで相対的な意味ですが経済自立していく力が強くない周縁地域。しかし日本という巨大国家はこれらがあって成り立つ。全体を支え、防衛上でも重要です。やや荒っぽいたとえですがアメリカにとってのアラスカ、グアム、ハワイと同じかもしれない。大国にはどこの国にもこういう周縁地区が必ずある。沖縄、北海道出身の方がおられたらたいへん失礼な言い方をして申し訳ありませんが経済に着目した地域経営論ではなく政治・軍事の意味も考えるべきです。その地域の固有の価値の論よりも日本全体の都合で議論してしまっているのでその点からも異論があるでしょうがご容赦いただきたい。これらの地域は国際的、全国的な意義を考えて、経済的には中央が支えていく。将来はともかく今まではそういうタイプのエリアだと思います。

(2)エリア:人口数万~50万くらいの生活圏域、通勤通学圏
 
二層目の単位はエリアです。これは専門家が既に研究し尽した分野ですが、人口100万以上の都市は大き過ぎて経営困難です。人口1,2万でも厳しい。地形にもよるが30万とか50万といったエリアが効率がよい。湘南、北摂といった単位です。こういうことを地方再生というときの基本的な単位として頭に入れておいていただいて、再生とは何かという議論に移りたいと思います。(つづく)

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登録日:2008年 07月 01日 21:11:14

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プロフィール
上山信一
(男)
http://www.pm-forum.org/ueyama/
慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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