●地域、行政、大学が連携・・京都のまんがミュージアム
以下は日経。
明治初期に京都の市民は自らの力で小学校を作った。その伝統は学区住民に受け継がれ、学校統合跡の活用でも遺憾なく発揮された。モデルは「京都国際マンガミュージアム」だ。閉校の龍池小(上京第25番組小学校)を改修して一昨年秋開館した。市と京都精華大学の共同事業だが、住民の協力が不可欠だった。同館でこんなやり取りがあった。
マンガ産業の振興などをテーマに内閣府主催の「大臣と語る」国民対話が開かれた先月29日。会議後担当の岸田文雄・大臣と門川大作・京都市長が懇談した。この時話題になったのが市民の作った小学校。「京都にはお上に依存しない気風が伝統的にある。館の芝生整備にと龍池学区から1000万円の寄付が寄せられた」と市長。同席した上田修三・同館事務局長(52)が「館の施設には幾つか学区専用の部屋もあり、この校長室は共有で使っています」と説明、これを聞いて大臣は目を丸くした。
●入館35万人突破
図書館(蔵書30万冊)と博物館(調査・研究機能)を一緒にしたマンガの総合施設は全国に例がなく、入館者はこの日、開館1年7カ月で35万人を突破した。館内の廊下や芝生の運動場に世代を超え入館者がのんびりマンガを読む風景が広がる。上田さんは「歴史を刻む学校には心を癒やす不思議な磁力がある。重厚な学校空間でマンガを気楽に楽しめる雰囲気が外国人にも好評で、それが人気の秘密」と言い切る。
「(1)建物の整備は地元と市、大学の3者協議とし(2)伝統を守り(3)完成後も学区で必要な施設は従来通り使用する――など条件を出し共に汗をかいた。効率や経済原則を優先していたら今の館はなかった」。谷岡英治・龍池学区自治連合会長(74)は明快に語る。民間企業の出身で精華大に籍を置く上田さんと学区代表の谷岡さんは開館前の地元折衝時代からの付き合い。具体化に向け協議は300回を超えたという。
もとは中央図書館構想があって曲折後、今の館の設置構想が浮上する。谷岡さんらは教育に心血を注いだ先輩を常に念頭に学校再生策を考え行動した。出発点はマンガ図書館だが、「地域の熱意に当時の河合隼雄・文化庁長官らが応援団になってくれ、計画規模も膨らみ、内外に誇る施設ができた」と谷岡さん。
学校施設は戦前の国民学校令(1941年)まで学区所有だったという。だから「自分たちの学校」意識が強く、閉校(95年)後も地域活動の中心で、どんな変化が起こっても「学校愛は不変」との自負がうかがえた。
・「教育都市の象徴」
「マンガは世界に誇る日本文化。最先端を担う場にと、館は民・学・公の汗の結晶で誕生した。こうした地域力、文化力、人間力が体感できる環境こそ学校で学べない学びが可能」。教育長時代に館の設置を決めた門川市長は教育都市京都のシンボルにと胸を張る。館の運営はマンガ学部で知られる精華大が受け持つ。大学とネットワークし、開館以来マンガの歴史や外国の作品を紹介する企画展など多彩な事業が数多く具体化され、海外との交流も活発だ。
こうしたなかで、館と市教委の連携作戦が目を引く。経営者の生きざまを伝記マンガにした「京都モノづくり列伝」は本格教材シリーズの第1弾だ。教育マンガへの道を開くもので、谷岡さんらが登場する「龍池小学校史」や近く発刊予定の「京都学校物語」も学校文化を学ぶモデル作品になっている。「問題はマンガの本質を社会的にどう理解してもらうか。マンガは総合芸術で、社会の事象を見極め、総合する基礎的な学力を磨く格好の教材になる。学校授業への展開は教科書づくりと併せ館の大きな課題」と、マンガ家の吉富康夫・精華大副学長は指摘する。(編集委員 佐藤徳夫)
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登録日:2008年 07月 08日 09:00:44
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- プロフィール
- 上山信一
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- http://www.pm-forum.org/ueyama/
- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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