●府庁移転とベイエリア開発

以下は朝日
 大阪府の橋下徹知事は5日、大阪市の平松邦夫市長を訪ね、同市の第三セクターが所有する 「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC、同市住之江区)に府庁を移転させる案を正式に表明した。 市側からは歓迎する声があがったが、売買価格や立地などの課題は多く、議会の反発も予想される。橋下知事は「WTCのあるベイエリアを関西州の州都に見据えて動き出したい」と申し出た。平松市長は 「実現すればありがたいが、乗り越えなければいけないハードルは多い」と報道陣に語った。府は庁舎整備の全体構想の素案を9月府議会に示すことになっている。橋下知事は(1)老朽化した本館の耐震化 (2)新庁舎建設――に続く第3の案としてWTC移転を示す考えだ。
地上55階建てのWTCは95年に大阪・南港の人工島に完成したがテナントが集まらず、 04年に金融機関が債権の一部放棄などに応じ、 借金の返済が滞った場合は同市が残る債務の損失補償をすることなどで特定調停が成立した。その後も経営は改善せず、平松市長は今年7月に再建断念を表明した。7月の入居率は79.3%と低迷。 年内に処理策の結論を出す方針だが、市がビルを購入するか、破産などの法的処理をするか、選択の幅は広くない。 WTCの処理を担当する市幹部は「アラブの王様が来てくれたと思ったら、お面の下は橋下さんだった」と表情を緩ませる。 府庁本館は1926年完成。06年の調査で耐震強度不足がわかり、隣接地に新庁舎を建設する試案を作成。ただ、 最大で800億円を超す新庁舎整備費に「府民の理解を得られない」との意見が府議会などから噴出。昨年5月、 新庁舎を先送りして本館の耐震補強工事を選んだ経緯がある。
 府幹部は移転案が「最も安価な案になる可能性がある」と指摘する。 本館の耐震補強には合計152億円の事業費がかかる。そのうえ府の施設が手狭なため、 民間ビル8棟に一部の部局を入居させ、年約6億4千万円(06年度)の賃料を支払っている。 WTCの評価額は約162億円だ。新庁舎建設に難色を示してきた自民党府議団も「大阪再生の目玉として面白い」(浅田均幹事長)。 府特別顧問の上山信一・慶応大教授は「過剰な設備を府と市で共有すれば大阪が強くなる」と話す。ただ、反発もある。与党会派の公明党府議団の光沢忍幹事長は「今までの検討は何だったのか。 議会軽視も甚だしい」と不満をあらわにする。
 「問題があるとしたら、むしろ大阪市の方」と話すのは市幹部。 金融機関に対するWTCの債務509億円の返済が滞った場合は市が損失補償をすることになっており、 「売却代の残りは市が負担しなければいけない」。別の幹部も 「安く売ったら市民が損失補償をその分多くかぶらなければならない」と慎重な姿勢を示している。

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登録日:2008年 08月 06日 08:55:16

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プロフィール
上山信一
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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