●カナダの改革に学ぶ

 大阪はじめ地方の改革から日本を変えようという動きがでてきている。先例は各地にある。特にカナダ。カナダとアメリカは似て非なる国である。典型的には、医療制度など社会福祉。北欧ほどではないが弱者にやさしい社会である。それでいて財政状態も悪くない。日本人はとかく「アメリカ」を手本にするがもっとカナダに目を向けてもいいだろう。
 数年前、カナダ国営放送がアンケートで「カナダの最も偉大な人物」を調査した。トップは 「カナダの医療の父」として知られるサスカッチワン州のトミー・ダグラス。
 スコットランド移民の子であるトミー・ダグラスは十才の時、骨の病気のため入院。医者に払うお金の無かった両親は、命取りになる前に脚を切断してしまうのが唯一の手段だと言われた。だが、ある外科医が無料で手術をしようと申し出てくれた。条件は学生達がその手術に立ち会うことである。この外科医は彼の脚と命を救った。この経験が「万人に医療を」というダグラスの夢のインスピレーションとなった。
 1935年国会議員に選ばれ、政治家としての第一歩を踏み出す。9年後サスカッチワン州CCFの党首となり、北米初の社会主義政権を率いる首相(サスカッチワン州)となり、最初の任期に100もの法案を通過させた。舗装道路、下水道設置、農民の権力等々。続く18年余の間に自動車保険、労働改革、そして長い間の彼の夢であった「万人に医療」を導きいれた。社会福祉、万人への医療、老齢年金、母親手当 等々は、ひと時は急進的なアイデアと見なされたが、今ではサスカッチワン州だけでなくカナダ全土で受け入れられている。
人々が寄せる橋下知事への期待は、こうした世界の歴史、日本の未来への思いにもつながっている。

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登録日:2008年 08月 31日 19:58:56

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プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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