●改革とは、権力闘争である(その1)

「これから大阪市はどうなるのでしょうか」という問いかけをよくいただく。それは誰にもわからない。だが、05年2月から-07年10月まで2年半に及んだ大阪市の市政改革は、以下のような原則に従って行われた。
 一言で言うと、もはやもとに戻れない仕組みがビルトインしてある。トップや幹部が改革派だろうが、守旧派だろうがあまり気にすることはない。外部委員がいてもいなくても変わらない。埋め込まれたシステムと個別プログラムが確実に仕事をする。
 システムとプログラムが、着実に組織の体質を変えていく。それに誰かが抵抗したらどうなるか。システムは自ら組織をメルトダウンさせ、組織とともに自爆する。今の大阪市役所をかつての姿に復元することは不可能である。そのように改造されている。2年半もあったのだ。大阪市役所は、改革の持続装置を自らはずすことはできない。大阪府庁では、アムロが率いるガンダムが大活躍だが、大阪市役所にはT-800型ターミネーターが随所にいるのだ。
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 筆者は官民さまざまな組織の改革に軍師として関わってきた。そこから得た教訓は「改革の本質は権力闘争であり、内実は革命である」ということである。改革では前例を打破し、既得権益を剥がし、仕事や事業のパラダイムを変える。この作業には数年を要する。だが最初の離陸過程での“仕込み”がその成否を決める。“仕込み”とは第1に守旧派の権力基盤の破壊、第2に課題の発掘と情報公開、第3に外からの評価の獲得である。
■制度改革で守旧派の権力基盤を破壊する
 当初、改革者は弱小で守旧派は強大である。改革者は権力を得たらすぐに守旧派の権力基盤の破壊を図る。自治体改革の場合は、制度改革をやる。例えば(1)情報公開条例の内容強化、(2)補助金審査プロセスの公開、(3)各種団体との交渉のオープン化、(4)行政オンブズマンと公益通報制度、(5)議員の口利き禁止条例の制定、(6)首長の多選禁止条例の制定、(7)各種支援制度のサンセット化(終了期限を定めておくこと)などである。
 これらの制度は行政の透明性を高め権力の腐敗を防ぐ。誰にも反論できない制度なので導入しやすい。制度化しておけば守旧派が再び権力を得ても逆戻りさせにくい。例えば情報公開制度が強化〔上の(1)~(3)〕されると守旧派、つまり既得権益勢力は新たな権益が得られない。こうしておいてさらに過去の不正を炙り出す。特に(4)の行政オンブズマンと公益通報制度が強力だ。職員や市民が行政の窓口を通さず直接に外部の専門家に不正事例を通報する。誰が不正を通報したか特定できない制度にしておけば威力を発揮する。筆者が今春まで市政改革推進会議の委員長として関与した大阪市役所の改革でもこの制度をいち早く導入した。
《参考》公益通報制度について(大阪市)
http://www.city.osaka.jp/soumu/compliance/tuuhou/
(つづく)

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登録日:2008年 09月 02日 18:51:29

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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