●くたばれ「意識改革」運動! update 6/21

 改革屋20年の経験から言えば、「意識改革」を議論している会社にはだめな企業が多い。抽象的に想定した「社員の意識」を何か組織的運動で変えようという発想自体がまったくのアナクロニズム。意識改革を叫ぶ経営者の意識こそ変えるべきだ。人の意識など「たかが会社」のために変わらない。「早く家に帰ってゆっくりしたい」「転職してステップアップしたい」というのが社員のホントの「意識」である。  さて、そういう意識は新しい行動、成功体験そして感動で変わる。そして組織全体を改革のサイクルにのせるには人々の「行動変革のエントリーポイント」を見つける。ふつうの企業の場合、ヒット商品の成功や大幅なコストダウンなど。
 だが電力・銀行などの規制業種や役所などの官僚組織ではエントリーポイントを見つけにくい。そういう場合は身近なところ、一見さまつに見える工夫から行動変革を迫る。
 例えばある市役所の変革は名札から始まった。官僚組織の特徴は匿名性にある。個人としての責任は問われない。ところが写真つきの名札を胸につけることになった。すると「写真は笑顔のほうがよいか」といった議論が生まれる。名札をつけ始めると市長に「山田さんはとても親切だった」「田中さんは感じが悪い」といった投書がくるようになる。名前を挙げられた人は喜んだり、ドキッとする。名札をつけてお客さんの前に出た瞬間に、意識が少し変わる。きわめてささやかな行動変革だが、毎日のことだ。「なぜ改革が必要なのか」を考えさせるきっかけになった。
 民営化直後のJR西日本の改革は、大阪駅で「おはようございます」と声をかける運動から始まった。役員以下の幹部や駅長が改札口に並び、駅員に対してひたすら「おはようございます」と声をかける姿を見せた。やがてお客の顔も見ずに無言で切符を切っていた駅員がお客の顔を見ながら「おはようございます」といい始める。お客さんからも返事と笑顔が返ってくる。リーダーが自ら前例を破ってみせた。それで現場が変わり顧客志向へと社員の意識が変わっていった。

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登録日:2006年 06月 21日 07:56:33

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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