カテゴリー [改革術]

相撲協会は解散、国技としてはもう廃止すべき

八百長メール問題は吉兆、雪印、不二家と同じで消費者を裏切る商品の品質偽証行為である。もし八百長が事実なら政府は相撲協会の財団法人の地位を剥奪すべきである。宮内庁は天皇杯を出せないし企業スポンサーも全部撤退すべきである(もし出したら出すほうのコンプライアンスが問われるはず)。公共の電波、NHKも当然、こんな八百長興行なんか放送できないはずだ。そもそもNHKはなぜプロレスではなく相撲を放送するのか、もはや理由が立たないだろう。

相撲協会は企業なら絶対に即時廃業である。

相撲協会も各部屋もいったん自ら解散すべきである。そして一流の経営者のもとで覚悟を決めた力士だけが参加して任意団体として再構築するべきだ。

10年後、あるいはもっと先、自浄能力が実証されたら公益団体の認定とNHK中継の再開をすべきである。
ーーーーーーーーーーーーーーー
以下は報知。日本相撲協会が財団法人の資格を剥奪される可能性が2日、浮上した。監督官庁の文部科学省が、今後の状況次第では同資格の見直しも辞さない構えを見せた。協会は公益財団法人制度改革に伴い、13年11月までに公益財団法人への移行を目指しているが、それどころか協会の存続すら危機に陥った。監督官庁の文科省の態度は厳しいものだった。この日、同省の芦立訓(さとし)競技スポーツ課長は「相撲協会の存立にかかわる問題」と八百長問題を糾弾した。

 相撲協会は公益法人制度改革に伴い、税制面で優遇される公益財団法人へ13年11月までに移行することを目指している。現在は公益財団法人認定に向け、不祥事からの脱却を図っている途上にあるが、それどころの話ではなくなってきた。芦立課長は、八百長に関与した力士らが広がりを見せるなどした場合「最悪(財団法人)設立(許可)を取り消す場合もある」と明言。現行の財団法人の資格さえも剥奪される恐れも出てきた。

 さらに同課長は「協会は相撲そのものの興行が公益性があると言っているようだが、10人を超える人たちがやっているとしたら問題。じゃあ株式会社でやったらどうか、という話になる」と厳しい口調で話した。鈴木寛・文科副大臣も「事実とすればゆゆしき問題。協会が事実関係を調査し、厳正な対応をしなければならない」と語った。

 財団法人の資格が剥奪されれば、税制面の優遇を受けられなくなるだけでなく「国技」の地位を失うことと同然。そうなれば、天皇賜杯がなくなる恐れもある。同課長は「調査は外部の人がやることになるだろうが、内部の人がどうやっていくかが重要だ」と協会内部で自浄能力を発揮することが重要であると強調した。

 仮に今回、財団法人の資格を剥奪されなくても、公益財団法人認定に向け大きな傷となった。放駒理事長(元大関・魁傑)は公益財団法人認可の申請を自主的に辞退するかの問いに「今のところは一緒には考えていない。まずはこの問題を早く片付けること」と言葉を濁した。だが、協会へ改革案などを提言する「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」のある委員は「大きな影響が出る」と危惧する。国技は前代未聞の危機を迎えた。

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2011年 02月 03日 09:44:55

所得格差よりも世代格差に注目すべし

NYタイムズに「若者を大事にしない日本」の記事が出た。日本では若者の45%が非正規雇用者で中高年の既得権益維持の犠牲になっているという指摘。まったくそのとおり。
http://www.nytimes.com/2011/01/28/world/asia/28generation.html?hp=&adxnnl=1&adxnnlx=1296216030-iUzWVw+L10Opb09y08cD9Q
経団連会長の就活問題へのコメントも「若者を苦しめて申し訳ない」という謝罪の意識が皆無で驚いた。産業界も政治も根っこからずれている。若者よ、老人支配打破に立ち上がれ!

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2011年 01月 28日 21:58:24

●自治体改革を持続させる条件とは?(3)

4.マニフェストと行政評価

 課題を白日のもとに晒したら次はいよいよ改革である。大事なことは課題の整理を職制別にやるということだ。課題の発掘は住民、有権者の立場からやるほうがよい。だが課題の解決は役所の縦割り部局別に取り組む。課題の解決策はできるだけ上(首長)や外部(各種委員など)から無理やり指示しない。すでに課題は情報公開されている。それの放置はすでに部局長たちは減点対象と心得ている。従って何が重点課題で、いつまでのそれをどうやって解決するかを自ら提案してもらうのがよい。部局長の提案は順次、幹部会や外部評価委員があつまる席で批評する。踏み込んだ提案は誉め、腰が引けているのは批判する。こうすると部局長の間に競争意識が芽生え、自ら率先して次第に高い目標設定をするようになる。あとは簡単である。ひたすら誉める。そして見事にやりきったら論功行賞を与え、やらなかったら制裁する。つまり信証必罰である。

 基本はこれでよい。このプロセスは首長―改革スタッフ-各部局長を貫く行政評価のサイクルである。つまりここで掲げた目標の達成に向けてプラン(Plan)-ドゥー(Do)-シー(See)のサイクルが回っていく。

なおここで決めた目標は首長が住民に対して約束したマニフェストにも連動していなければならない。さもなければ目標には大義がない。現場の第一線の職員は日々、住民に対峙する。そこで改革を貫徹しようとすれば「前例」「慣習」「既得権益」を否定することになる。その際に、選挙で首長が掲げたマニフェストに沿った改革が行われ、それに沿って制度ややり方が変わったという説明ができればスムーズだ。この意味において改革とは、住民―首長をつなぐマニフェストと首長―部局長―現場をつなぐ管理統制の体系の連結を図ることと言い換えることができる。企業の場合、この作業は財務会計を管理会計に変換する作業を意味する。社長は来期の業績を株主に約束する。財務会計上のその数値は社内の各部門の目標、つまり管理会計に翻訳される。両者のリンクを図るのが経営企画スタッフの仕事であり、改革の成否や持続性はそこの采配によって左右される。

5.外部からの評価の獲得

 南米某国でクーデターが起こる。勝てば官軍、負ければ賊軍の世界だ。各国が情勢を見守る。やがて中国とフランスが新政府を承認する。米国や日本が後を負う。これで政権は安定する――。改革の評価もこれと同じことだ。ある自治体が改革に乗り出す。よそに前例のないことを首長が言いだす。テレビは応援モードだが有識者は慎重だ。あくまで様子見である。何しろ鳴り物入りで始まった自治体の改革のほとんどが失敗に終わってきた。原因は様々だ。議会と不用意に対立してエネルギーを使い果たした例、性急過ぎて職員がついていけなかった例、あるいは首長のスキャンダルや落選など。ともかく自治体の改革は尻つぼみになる例が多い。それを知っている有識者や中央省庁、政治家はなかなか高い評価を与えない。他の自治体も当初は冷淡だ。国への規制緩和の働きかけなど内心は同意していても賛意を示す場合は少ない。あくまで横並び、大勢順応が自治体経営の共通特性なのだ。

 だが、横並び、前例踏襲というのは面白いものでどこかの自治体で一つ風穴が開き、それが世論の支持を得ると一気に力を得る。例えば一世を風靡した三重県庁の事務事業評価がそうだ。95年に北川知事(当時)が始めた当初は「行政はビジネスではない」「数字を使った評価は不可能」といった冷ややかな反応が大勢を占めた。だが朝日新聞が断続的に紹介し、成果が喧伝され始めると雪崩を打ったように全国に普及した。やがて三重県津市には全国から視察団が押し寄せるようになる。
この例からわかるように改革を持続させるコツの一つは地元だけでなく全国から評価を得ることである。地元ではみんな眉唾で見ている。だが全国紙やテレビで誉められ視察団がやってくるようになると守旧派といわれた人たちまでが「あれは実は僕が提案した」と言い始める。

従って改革を成功させるためには早くから実績をアピールする教宣活動を行うべきだ。例えば権威付けのために地元代表だけでなく全国レベルで高い評価を得ている有識者を各種委員にする。すると著名人の間に「○○県の改革はすごい」といった評価が口コミで流れる。あるいは学会や各種イベントのゲストに呼んでもらえる。地元でも広報誌などで首長と著名人の対談を企画する。現在進行中の改革がいかに全国レベルで見てすごいものかを外から誉めてもらうのである。

首長同士の連携も大事だ。「改革派首長」が集まる勉強会に参加することも大切だ。おのずと出張が増えるのでこうした努力はややもすれば首長のスタンドプレー、あるいは選挙対策と批判されることが多い。だがよその地域で自治体改革を説明することで首長は学習をする。また東京に行って大きな会合で「うちはいついつまでに絶対○○をやりきる」と宣言してくることの効果は大きい。仮に首長が交代してもいったん全国に発信した方針は半ば既定方針になる。選挙の争点にでもして殲滅しない限り、簡単には覆せなくない。以上述べたことは、実は自治体改革は全国を相手にする情報戦だということを意味する。自治体同士は直接は競争しない。だが、「XX県のほうが○○県よりも先進的」「なぜ隣県でできることがわが県では無理なのか」といった問題提起には自治体は敏感である。自治体は予想以上に競争を意識している。いわば擬似的な「善政競争」を展開している。その中で高い評価を得る、オピニオンリーダーになることは政権を安定させ、改革を安定させる効果がある。

まとめ

以上に述べてきたことはあくまで私が見聞してきたことの範囲を超えない。もっと視野を広げれば実は「民度」や「住民自治の伝統」あるいは江戸時代にもさかのぼる「藩のDNA」の覚醒といった領域も本稿で触れるべきテーマだったのかもしれない。改革は風土という土壌の上に咲く花である。花の咲き方、咲かせ方にはたぶんに風土というものが影響する。世界、特にアジアの動き敏感なのが九州。指導者に従って秩序正しく動いていくのが東日本。議論百出できいていて面白いがちっとも進まないのが関西である。ステレオタイプの風土論で割り切るのはよくないがその土地にあった改革のスタイルというものがある。例えば港町や旧天領には改革をよそ者に任せてみようという度量がある。しかし住民には当事者意識が薄く、政治にはやや冷淡で無責任である。こうした特長にも目配りしながら改革の花は丹念に育てていく。

こうしてみれば改革という仕事はなかなかに奥が深い。改革を持続させる条件とは案外に毎年、朝顔を続けざまに咲かせる工夫のようなものなのかもしれない。

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2010年 07月 17日 08:24:51

●自治体改革を持続させる条件とは?(2)

2.旧体制の維持体制の破壊

 これは例えば次のような作戦の遂行である。

①情報公開条例の内容強化、②行政オンブズマンの設置、③公益通報制度、④議員の口利き禁止条例、⑤各種補助金の審査プロセスの公開、⑥首長の任期8年制、⑦各種支援措置のサンセット化、⑧各種団体との交渉のオープン化。

改革派首長は就任直後にこれらの方針をさっさと打ち出し世論の支持を得て一気に制度化してしまう。基本的に行政の透明性を高め、権力の腐敗を防ぐための制度であり誰も表立って反対はできない。これらの制度は改革の推進装置になる。それと同時に仮に守旧派が権力を得ても昔のやり方には戻れなくする効果がある。例えば情報公開の強化(①⑤⑧)はそれ自体が表立って争点になると誰も反対できない。しかし制度化されてしまうと水面下の交渉などができなくなる。もっとわかりやすいのが政治権力の自己規制である(④⑥)。議員であれ首長であれ誰かが「よそではやっている。うちでもやろう」と言い出せば他の政治家はなかなか否定しにくい。腐敗、不正の抑止力という意味でパワフルなのは、職員や市民が行政の窓口を通さず直接外部の専門家に不正を問題提起できる行政オンブズマンの制度である。独裁国家の恐怖政治を支える仕組みは隣近所の密告制度だが理屈はあれと同じである。誰が不正を通報したか一切わからない仕組みを作り上げれば、既得権益勢力が復活する余地はなくなる。

たまたま筆者が関与した大阪市役所の改革では初期の段階で大平助役(当時)とこの制度の構築に心血を注いだ。外部委員会のトップには長年、大阪市役所と対峙されてきた辻公男弁護士にお願いした。「天敵」といわれる方をお招きし、徹底的に大掃除をお願いした。他の政令市を大幅に上回る数の通報が相次いだ。「自浄作用」の維持装置として行政オンブズマンは必須である。

3.課題の発掘と全面情報公開

 改革派は現状をみてこれまでの予算の使い方や仕事のやり方を否定する。だが行政機関の仕事は複雑多岐にわたる。また課題が認識されても是正までには予算編成だの条例改正だの時間がかかる。個別に問題を指摘して是正を命じていてもらちがあかない。システマチックに課題を発掘し、問題提起し、しかもしれを風化させないためには体系的な分析と説得力のある評価報告書が必要である。包括外部監査が実はこの仕組みなのだが全分野をチェックするわけではない上、形式的なチェックになりがちである。そこで必要になるのが事業戦略のたな卸しである。

例えば大阪市役所の関改革(05-08年)の場合は主要事業67のすべてについて「経営分析」を行った。公営バスや水道など各事業の現状(予算、組織など)、費用と効果、他都市や民間との比較、過去からの推移などを全部整理し、課題も抽出し、報告書に書き込んだ。膨大な分析資料を作成し、出来たものから順次、情報公開していった。こうなると守旧派は現状肯定ができなくなる。具体的な数値で「福岡市の半分の生産性、市民の満足度も低い」といった指摘が公文書に記載される。するとこれはもう無視できない。市長が変わろうと、議会の抵抗があろうと「課題は課題」というところから議論は出発せざるをえなくなる。

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2010年 07月 17日 08:23:22

●自治体改革を持続させる条件とは?(1)

 多くの自治体が「改革」に取り組む。なかでも白熱した首長選挙や不祥事をきっかけに鳴り物入りで始まる改革は勢いがある。前例のないこと、不可能と思われたことが実現することも多い。だが改革には失敗もある。最初は調子がよくても持久戦で抵抗勢力との戦いに敗れる場合も多い。おまけに改革派首長は実は落選することが多い。抵抗勢力が結集して首を取りに来るのである。

1.改革とは戦いである

 改革とは権力闘争である。この厳然たる事実を無視した改革は単なる減量経営か現場改善活動であり、改革の名に値しない。既得権益を剥がし、前例のないことに挑み、そして仕事や事業のパラダイムを変える。これが改革である。改革派は当初は少数派である。敵地に乗り込むパラシュート部隊のようなものでまごまごしていると一人ずつ射殺され、全滅する。

 いきなり物騒なたとえを持ち出したが筆者は今まで大企業、自治体を含む非営利機関のそれぞれ約20件の改革に関わってきた。軍司、参謀としてである。その感想を一言で言えば、大組織の改革はゲリラ戦に実によく似ている。もちろん改革派のトップの元でやることが多いので「ゲリラ」そのものではない。だが動き方は従来の正規軍ではない。ゲリラ的に行動しなければならない。

 以下では各地の自治体におけるゲリラ戦から得たノウハウを述べるが改革を持続させる要諦は大きく4つに分かれる。第一は旧体制の維持装置の破壊、第2は課題の発掘と全面情報公開、第3は外からの権威の確立、第4は権力ベースの構築である。
(つづく)

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2010年 07月 17日 08:17:31

●愛が地球を救う時代の到来?――自由・平等・博愛の意味

 「愛は地球を救う」というのはご存知、某民放テレビのチャリティー番組の名前で
ある。当初は大げさなネーミングだといわれたが30年以上も続いてすっかり定着
した。その間、現実の地球は環境問題や各地の紛争のせいでますます疲弊しつつある。
 「近代資本主義は終焉期に入った。これからは大混乱の時代になる」「再び『中
世』のような暗黒時代になる」という見方もある。経済や社会が不安定になると人々
は相互不信に陥る。いよいよ愛が地球を救うしかない時代なのかもしれない。実はミ
ヒャエル・エンデ、ジャック・アタリなど世界の哲学者たちがそう予言している。
20世紀には「資本主義」と「社会主義」が世界を支配した。だが21世紀には「博愛主
義」が必要なのだ、と。今回は博愛主義について考えたい。
■「自由」は資本主義、「平等」は社会主義を生んだ
 「博愛」は「自由」「平等」とセットでフランス革命、近代社会の基本理念として
語られる。すなわち、人が人らしく生きる上で重要なのは表現の自由、精神の自由
だ。同時に人間同士は平等でなければならない。だが究極の自由は平等と矛盾するの
でどこかで相互の節制、自己抑制が必要だ。それが博愛主義である。個人の自由のた
めに他人の自由を犠牲にしない。同時に平等のために誰かの自由を犠牲にしないとい
う哲学である。
 「自由・平等・博愛」を経済にあてはめるとどうなるか。「自由主義」は「資本主
義」を「平等主義」は「社会主義」を、そして「博愛主義」は「社会奉仕主義」を生
む。
 20世紀の歴史は自由主義と平等主義のせめぎあいとして理解すると分かりやすい。
個人の自由の追求は物欲追及に至る。人は科学技術の発展と共に森林を開拓し、食糧
増産し余剰を取引する。そこから資本主義が生まれ、世界を席巻する。金融が発達
し、貧富の差が極度に拡大すると機会の平等や結果の平等を求めて社会主義が生まれ
た。社会主義国家が脅威となると資本主義国家も福祉国家に変化した(修正資本主
義)。一方で社会主義国家も生産性が上がらず、国家崩壊(ソ連・東欧)、もしくは
修正社会主義に変化した(中国)。同時に福祉国家は新自由主義によって再修正さ
れ、修正資本主義は当初の資本主義へのゆり戻しが起きつつある(サッチャー、レー
ガン、中曽根改革や各種民営化など)。
■資本主義をどう制御するか
 さて、問題は資本主義の行方である。自由主義から生まれた資本主義だが、当初は
節制が利いていた。近代資本主義はプロテスタンティズムの精神から生まれたからで
ある(マックス・ウエーバー)。かつては修道院のなかで聖職者だけが実践していた
「祈りかつ働く」ことが市民の宗教的実践となった。宗教的動機が勤勉を生み、利潤
を増やした。
 当初は利潤は結果でしかなかった。だが社会制度が資本主義を前提とするようにな
ると利潤追求が自己目的化するようになる。こうした資本主義の危険性を見抜き、歯
止めを掛けようとしたのがマルクスとレーニンだった。だが平等主義哲学に裏打ちさ
れた国家による資本主義の制御は巨大な官僚主義を生み、個人の精神の自由の抑圧と
生産性の低下という副作用を生み、失敗した。これはつい20年ほど前のことだ。
 最近の資本主義はどうか。地球規模では環境問題を生み出し、地球を攻撃し始め
た。また国家が制御していたはずの市場がグローバル化したことを契機に資本主義は
ついに国家を攻撃しはじめた。アイスランドやハンガリーなど中堅国家の破綻がその
先駆けである。かくして資本主義は高度技術(グローバルな通信運輸技術、IT技術)
と結合し、人為的に制御不能な存在となりつつある。
■そこで博愛主義
 問題は資本主義の制御である。社会主義の失敗から国家が資本主義や市場経済を律
するのは無理だとわかった。官僚主義が自由主義を蝕み、生産性を著しく下げる。結
局、社会主義は自由なき平等を生み出すだけだった。さりとて自由だけに委ねると経
済格差が極大化し、平等が損なわれる。年収数十億円の社長がいる一方でその会社を
解雇された失業者が路頭に迷う社会は異常だ。必要なのは自律と節制だ。社長は年収数十億円を放棄し、数億円で我慢する。同時に労働者は法外な賃上げ要求やサボタージュをしない。お互いを人間同士と尊重し、信じ合うこれが博愛主義である。
 だが、どうやってこれを実現するのか。答えは単純ではない(たぶん子供たちは別
だが)。しかし希望の片鱗はある。若者たちである。筆者が教える慶應大学でも他の
大学でも社会企業家を目指す若者が増えている。政府でもNPOでもなく、ビジネスを
通じて社会貢献をしたいという彼らの行動哲学はまさに「博愛主義」である。
 私たちの世代は学生時代に「平等主義=社会主義」の洗礼を受け、就職後は「自由主
義=資本主義」の世界に生きてきた。だが最近の若者はそうではない。国家や政府、
企業とビジネスのパワーと限界を見極めつつ、人が人を魂のレベルで動かせるとナイ
ーブに信じて行動している。それがどこまで通用するかはわからない。だが、かつて
マルクス主義もそういわれながらも世界を大きく動かした。毛沢東、ホーチミンは当
時においてやはり偉大だったし、実際に「民族解放」を成し遂げた。今、ブームの社
会企業家たちもひょっとするとそうした存在かもしれない。実は彼らこそが21世紀の
博愛主義の伝道者なのかもしれない。

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 12月 10日 13:09:43

●シンポジウム:行政経営における広報の役割(8月29日)

日本広報学会の以下の公開シンポジウムにでます。
第11回公開シンポジウム「行政経営における広報の役割」開催
当学会では、昨年より「行政コミュニケーション研究会」を立ち上げ、自治体広報担当者、企業広報経験者や大学の研究者らと共同で行政の広報部門へのアンケート、ならびにヒアリング調査を実施してきました。本年度はさらに学会指定研究として「行政コミュニケーション事例研究」も加わり、より行政広報の研究が深められることになりました。この関心の高まりの背景には、企業がCSR(社会的責任)を重視する中、行政と連携する動きが出てきたこと、一方、行政においては、市場化テスト、自治体間競争、効率的経営や地域との協働といった視点から、NPOや企業の持つノウハウ活用の必要性が出てきたことが挙げられます。
本シンポジウムでは、大阪府等の行政改革に携わっている上山信一氏による基調講演、自治体アンケートおよびヒヤリング結果報告、並びにパネル・ディスカッションを通して、「行政経営における広報の役割」について議論を展開していきます。

【日時】2008年8月29日(金)13:30~17:00(受付開始13:00)
【会場】都道府県会館 4階402号室(TEL 03-5212-9000)
(千代田区平河町2-6-3 TEL 03-5212-9000 東京メトロ有楽町線・半蔵門線「永田町」駅
5番出口より徒歩1分 http://www.tkai.jp/info/index.html)
【プログラム】
13:30~13:35 開会挨拶 日本広報学会 理事長 境 忠宏
13:35~14:30 基調講演
「行政経営改革における広報の役割」
慶應義塾大学 総合政策学部 教授 上山 信一 氏
14:30~14:40 休憩
14:40~15:10 自治体アンケート・ヒアリング結果報告
「行政広報の現状と今後の課題」
「行政コミュニケーション研究会」主査 河合 孝仁 氏
15:10~15:20 休憩
15:20~16:50 パネル・ディスカッション
「行政広報における戦略のあり方と協働広報の可能性」
パネリスト:
佐賀県 最高情報統括監(CIO) 川島 宏一 氏
日経ガバメントテクノロジー 編集長 黒田 隆明 氏
㈱博報堂 ソーシャルビジネス推進室(前新潟県広報監) 高島 哲夫 氏
コーディネーター:
東海大学文学部 広報メディア学科 准教授 河井 孝仁 氏
17:00 閉会
【参加費・申し込みについて】
参加費および資料代として: 3,000円
※当日受付にてお支払いください。
申し込み方法:
参加希望の方は、参加申込書(お持ちでない方は、事務局までe-メールでご請求下さい)に必要事項をご記入の上、日本広報学会事務局までファクシミリ、郵送、またはe-メールにてお申込みください。
申し込み締切:8月18日(月)
※ただし、会場の都合により、先着140名様で締め切らせていただきます。

なお、申込後キャンセルされる場合は、必ず前日までに事務局へご連絡願います。無断でご欠席の場合は、後日会費を請求させていただきます。
<本件に関する問合せ・ご連絡先>
日本広報学会 事務局(常任理事・事務局長 山田 達雄) 〒101-0064 東京都千代田区猿楽町2-2-7第二浦野ビル402 TEL.03-5283-1104
FAX.03-5283-1123 e-mail:jsccsty@gamma.ocn.ne.jp ホームページ http://www.jsccs.jp/

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 08月 15日 17:04:01

●新著「行政の解体と再生ーニッポンの公共を再構築する」(東洋経済)を刊行

画像

新著「行政の解体と再生ーニッポンの公共を再構築する」(東洋経済)を出しました。 桧森隆一氏との共著でアマゾンできょうから発売です。ぜひ、お買い求めください。この本はわたしがこれまで出してきた行政改革のシリーズ本の続編です。すなわち「行政評価の時代」→「行政経営の時代」→「政策連携の時代」の次の本です。連携の次は解体、そしてその次は再生です。これで一周しましたので時代シリーズは完結です。なお、本書では太田時代の大阪府の改革、関時代の大阪市の改革、横浜・静岡・川崎などの文化施設の評価もしています。
以下は案内です。
「改革においては、古いものを壊すと同時に新しいものを育てる必要があります。本書の第I部は“壊す改革”としての行政改革の先端事例を紹介しています。具体的には、行政機関の資産の流動化(大阪市など),文化施設など公共施設の経営の見直し(横浜市、静岡県など)、外注管理、指定管理者制度(全国各地)などです。
後半の第II部は“創る改革”、つまり「民が担う公共」の紹介です。この10年で急成長したNPOの現状分析のほか、大企業のCSR(企業の社会的責任)、SRI(社会責任投資)、社会企業(ソーシャル・ベンチャー)、オルタナティブバンク(NPOバンク)などを紹介しています。そして終章ではこれからの公務員と市民の役割を論じています。
行政を解体することで民が担う公共が育つ、それを経て再び行政も再生できる──これが本書のモチーフです。 」
・序章 なぜ今「行政の解体と再生」なのか
・第I部  行政解体の時代
第1章  資産の流動化と公共施設の見直し
第2章  公立文化施設の経営刷新
第3章  民間への管理委託の先行事例―太田知事時代の大阪府の改革
第4章  指定管理者制度
第5章  行政機関の外注管理
・第II部 民が担う公共
第6章  企業と社会の新たな関係
第7章  社会企業とその出現の背景
第8章  社会企業としてのオルタナティブバンク
第9章  行政解体とNPO法人
終章  個人の公共性と職業としての公務員

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 07月 26日 20:31:20

●マスコミの常識、非常識

以下はサンケイに掲載の同僚、阿川氏のコメント。わたしも同感。
 ≪午前1時半の電話≫
幼時から世話になった児童文学者の石井桃子さんが、4月2日亡くなった。
 逝去から程なく4月3日午前1時半、我が家に電話がかかった。家内が起きて受話器を取る。某新聞文化部の記者であった。「石井さんが亡くなられたかどうか確認したい。知らなければ知っている人を教えてほしい」。家内が「お教えしたらその方へ、今電話をかけるのですか」と訊いたら、ごく自然に「はい」と答えたそうだ。
 すっかり目の覚めた私が電話に出て、「総理大臣に何か異変があって秘書官にかけるならともかく、101歳の児童文学者が亡くなったかどうか午前1時半に電話で確認せねばならない理由は何ですか」と尋ねた。記者はうまく答えられなかった。
 ほぼ同時に今度は携帯電話が鳴る。出ると某官営放送の記者である。同じ質問に同じことを言って切った。そもそも私は石井さんの逝去を、その時まだ知らなかった。
 3日の夜、石井さんの「かつら文庫」を引き継いだ「東京子ども図書館」の関係者から事情をきいた。石井さんは自分の死を1カ月間公表しないでくれ。そう固く言い残して亡くなったそうだ。関係者一同しっかり遺言を守るつもりでいたのに、情報が漏れ取材が殺到した。同日午前3時まで、電話の応対を余儀なくされた人もいたという。私への電話はその余波だった。
 すぐれた児童文学者の死が、こうしてひどく騒がしいものになった。自分の生涯を静かに終わらせたい。石井さんの望みが、マスコミの乱暴な取材でかなわなかった。
≪特ダネばかりに目が≫
一体マスコミの常識とは何か。ニュースを正確に速く伝える。そのためにできるだけのことをする。記者として立派な常識である。しかしそれ自体が目的ではあるまい。
 速く伝えなくても、価値の減じない情報もある。相手かまわず夜中にたたき起こし取材して、一刻も早く伝えねばならない情報がどれだけあるのか。速報性を言うなら、新聞はネットやテレビに負ける。それでも人が新聞を買って読むのは、より正確で深い分析を求めるからだろう。
 本来マスコミの役割は、世の中の常識に照らして疑問を覚えるような事象につき、正確な情報を伝え読者や視聴者の判断に資することにある。社会保険庁、国交省、チベットやイラクで、本当は何が起きているのか、背景は何か。当事者が書かれたくない不都合な事実を報じるからこそマスコミは恐れられ尊敬される。本欄にも「正論」などという、私が思うに気恥ずかしい題がつく。
 ところがマスコミは、特ダネ、視聴率、締切といったことばかりにエネルギーを注ぎがちだ。その結果文化部の記者まで、夜中に突然電話してくる。こんなマスコミの常識を世間では非常識という。
 マスコミの常識には他にも怪しいのがたくさんある。不祥事の疑いがあるだけで、会社や役所の責任者に記者会見で居丈高な物言いをする。テレビのワイドショーやニュースで、無責任かつ根拠のないコメントをする。誤報を流しても簡単な訂正で済ませる。

 ≪基本知識にも欠ける≫

 ただ新聞は文章が残る分、ずいぶん細かく神経を使っている。テレビは垂れ流しだから、安易な正義感や陳腐なことばで息苦しいほどだ。政府や企業に「猛省」を促し、役人や企業人の堕落を「慨嘆」する報道ステーションの某など、基本的知識の欠如、大仰な言葉や身振りばかり目立ち、見るに堪えない。横に座るジャーナリストは恥ずかしくないだろうか。
 それでもお粗末なワイドショーやニュース番組が跋扈(ばっこ)するのは、視聴率さえ高ければスポンサーが大金を払うからだ。内容など気にせず、広告の効果のみを基準に番組を提供する企業の責任は重い。
 むろん非常識は政官産学、どこの世界にもある。私が奉職する大学だって非常識がうようよしている。ただ、マスコミはそうした非常識を衝くのを商売にしていながら、自らの非常識を問われることが少ない。よく書かれたい報道されたいと願う企業や官庁が、マスコミ批判をじっと我慢しているのに気づかない。
 私が在米日本大使館で広報担当の公使を務めたとき、「阿川は困ったものだ。我々がなにか言うと、書いちゃうから」と文句を言う特派員がいたそうだ。そう、マスコミで大っぴらに批判を受けるのは、だれしもつらい。
 もちろん物書きとして、私も同様の責任を負っている。自分の書いたものが思わず人を傷つけたことが何度かある。だから一層、言論活動に携わる者は自分の常識を疑ってかからねばいけない。そう自戒する。心ある多くのジャーナリストにも気をつけてほしい。(あがわ なおゆき=慶応大学教授)

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 06月 08日 22:06:14

●自治体改革を離陸させるコツ--「革命」に学ぶ

 多くの自治体が改革に取り組む。なかでも選挙によるトップの交代や不祥事を機
に始まった改革には勢いがある。だが改革には失敗も多い。特に持久戦で抵抗勢力に敗れることが多い。筆者は官民さまざまな組織の改革に軍師として関わってきた。そこから得た教訓は「改革の本質は権力闘争であり、内実は革命である」ということである。改革では前例を打破し、既得権益を剥がし、仕事や事業のパラダイムを変える。この作業には数年を要する。だが最初の離陸過程での“仕込み”がその成否を決める。“仕込み”とは第1に守旧派の権力基盤の破壊、第2に課題の発掘と情報公開、第3に外からの評価の獲得である。
■制度改革で守旧派の権力基盤を破壊する
 当初は改革者は弱小で守旧派は強大である。改革者は権力を得たらすぐに守旧派の権力基盤の破壊を図る。自治体改革の場合は、制度改革をやる。例えば(1)情報公開条例の内容強化、(2)補助金審査プロセスの公開、(3)各種団体との交渉のオープン化、(4)行政オンブズマンと公益通報制度、(5)議員の口利き禁止条例の制定、(6)首長の多選禁止条例の制定、(7)各種支援制度のサンセット化(終了期限を定めておくこと)などである。
 これらの制度は行政の透明性を高め権力の腐敗を防ぐ。誰にも反論できない制度なので導入しやすい。制度化しておけば守旧派が再び権力を得ても逆戻りさせにくい。例えば情報公開制度〔上記の(1)~(3)〕が強化されると、守旧派、つまり既得権益勢力は新たな権益が得られない。こうしておいてさらに過去の不正を炙り出す。特に(4)の行政オンブズマンと公益通報制度が強力だ。職員や市民が行政の窓口を通さず直接に外部の専門家に違法または不適正な事例を通報する。誰が通報したか特定できない制度にしておけば威力を発揮する。筆者が今春まで市政改革推進会議の委員長として関与した大阪市役所の改革でもこの制度をいち早く導入した。
■課題の発掘と全面情報公開
 不正や権益の抑止で勢いを得たら次は日常業務の改革である。行政機関の仕事は複雑多岐にわたる。個々に問題を指摘するときりがない。また予算編成や条例改正には時間がかかる。システマチックに課題を発掘して問題提起するとよい。具体的には各事業の体系的な分析と評価を行いその報告書を公表する。例えば大阪市役所ではバス、水道、消防、病院など主要67事業の「経営分析」を行った。各事業について現状(予算、組織など)、費用対効果、他都市や民間との比較、過去からの推移などを整理した。経営課題も報告書に文章で書き込んだ。膨大な分析資料のすべてを情報公開し、横浜市の2倍の過剰人員、市民満足度も低い」といった記述が明らかにされた。ここまでやっておけば仮に守旧派が勢力を盛り返しても過去への回帰は許されなくなる。
《参考》事業分析:主要67事業ユニット(大阪市)
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/kaikaku/
kaiken/shiryo/
bunseki/unit.html
なお以上の課題発掘は行政改革の担当部門や部門の枠を超えたタスクフォースが行う。だが課題解決は縦割りの各部局に取り組んでもらう。すでに課題は広く情報公開された。それを放置すると部局長の減点対象になると通告する。そして期限を設定し、「何が重点課題か」「いつまでにどう解決するか」を提案してもらう。出てき
た提案は幹部会や外部の委員が集まる席で批評する。踏み込んだ提案は誉め、腰が引けたものは批判する。やがて部局長の間に競争意識が芽生え、高い目標設定が出てくる。

■外部からの評価の獲得
改革を持続させるためには早い段階から域外、全国からの評価を得る必要がある。一般に地元の有力者はマスコミも含めて改革に冷淡である。どちらかといえば彼らは既得権益勢力だからである。一般市民には知識が足りない。最初は盛り上がっても地元はすぐに半信半疑になる。だが全国紙やテレビが誉め、視察団がどんどんくると空気が変わる。また自治体は横並び、前例踏襲主義である。どこかで新しいやり方が世論の支持を得ると全国に広がる。三重県発の事務事業評価、武蔵野市発のコミュニティバスが典型だ。自治体改革は内容が斬新であればあるほど全国を相手とする情報戦にもなる。中身は他の自治体に波及し、国の制度にも影響を与える。さらに先進自治体同士は競争をする。それが新たな刺激を生む。改革の勢いを維持するには全国の注目と支持が必要だ。
以上、改革を持続させる条件を述べたが本質はシンプルだ。革命と同じく最初に前政権の悪事を暴き、権威を失墜させる。「情報公開」と「公益通報制度」で外堀を埋め彼らの自然崩壊を待つ。同時に政府軍(各部局)に忠誠を誓わせ人事権を行使しながら徐々に実権を掌握する。やがて新機軸を打ち出し、外部(全国)の評価を獲得して権威を確立する。かくして改革は巡航飛行に入るのである。

カテゴリー[ 改革術 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 04月 10日 20:59:24

1   |   2   |   3      »      

プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
お気に入りリンク
行政経営フォーラム
検索