評価の納得性が高い会社
<初期雇用契約>次は「新雇用契約」の撤廃へ向けて - フランス
【パリ/フランス 18日 AFP】パリのイタリー広場(Place d’Italie)で18日、2005年に零細企業の社員を対象に導入された「新雇用契約」(CNE)に反対する抗議集会が行われ、数百人の学生が参加した。初期雇用契約(CPE)を撤廃に追い込むことに成功し、勢いを得た学生たちの次なる目標は、新雇用契約(CNE)を含めた雇用機会均等法の完全撤廃である。写真は新雇用契約(CNE)に反対する抗議集会に参加する学生たち。(c)AFP/JACK GUEZ
フランスの学生は、たいへん元気がいいが、日本では成果主義の導入が進み、格差が拡大しているが、非常に大人しい。個別企業でも、格差のつきかたにはさまざまなケースがある。
景気拡大が「いざなぎ景気」越えとなり、上場企業の2007年3月期決算は、4期連続で連結経常利益が過去最高を記録する見通し(日本経済新聞2006年11月18日)だが、多くの社員には、その実感がないという。私の社員に対する取材でも、似たような反応だ。実際、企業が収益のなかから社員の人件費に回す「労働分配率」は低下傾向にある。つまり、企業は儲かっても、社員には波及しないから、実感がなくて当たり前だ。
一方、法人税収は急回復し、株主への配当金も過去最高額を更新する見通し(同2006年12月6日)というように、企業が生み出した利益は、政府や株主には回っている。社員には回らない原因のひとつが、評価における成果主義の浸透だ。
成果主義は、社員個々の成果で報酬に差がつくため、これまで一律で基本給を上げる交渉をしていた労組の役割が減り、総人件費は上がりにくくなった。労組というのは、皆が同じ賃金だからこそ団結できるのだ (したがって成果主義が当たり前の外資系のほとんどに、労組はない)。
全体のパイが拡大しないなかで成果主義が進むと、「一部の勝ち組」と「多数の負け組」に、格差が開く。だから、商社など一部のボロ儲け業界を除き、大多数の社員は、景気がよくない。したがって、その評価の運用が、納得性の高いものかどうかは、働くうえで、極めて重要となる。
◇バブル入社組対策
なぜ成果主義になったのかを確認しておこう。終身雇用を前提とした従来の年功序列賃金では、一律で、若いうちは給与が安く、30代の後半以降に、実力以上の高給を受け取る仕組みだった。だがこれは、年寄り社員が稼がない分を、若年層が補てんする仕組みだったため、常に若い社員がたくさん入社し、組織が拡大することが前提だった。「ねずみ講」や年金財政と同じだ。
したがって、経済が右肩上がりだった頃は、多くの会社も右肩上がりで新卒採用も多かったため機能していたが、バブル期を最後に、多くの会社で維持できなくなった。市場も会社も拡大しないなかで、中高年社員に無駄なコストだけをかけていたら、競争に負けてしまうからだ。
そこで成果主義を導入し、仕事の成果に見合った分だけ、タイムラグなく支払おう、ということになった。だから、競争が甘い規制業種(マスコミ、鉄道、航空など)を除き、年功序列を維持できなくなった。実際、私がいた新聞社は、ぜんぜん、まったく、成果主義でないが、メーカーなどは、ほぼすべてで導入を進めざるを得なくなった。
なかでもここ5年ほどで一気に進んだ理由は、バブル入社組対策である。大企業の人口ピラミッドには、バブル入社組(現在、30代後半)のコブがあり、社員がやたらと多い。たとえば私の新卒入社時は、同期の記者は30人だったが、7年ほど前のバブル期は、同期が100人以上いたという。どうりで同じ部内にその頃の年代の社員が4人も5人もいたわけだ。
年功序列型企業でこの人たちを放っておくと、ほどなく40代に突入し、管理職クラスとなり、その働き以上に、一律で高い給与を支払わねばならない。そうかといって、日本では解雇が難しい。ただでさえボリュームゾーンなのに、これはまずい、人件費高で会社が潰れる、ということで、一部の勝ち組社員だけ昇格させる仕組みに変えたのが、この時期の成果主義導入だった。
人事評価における成果主義は、人類の民主化のようなもので、不可逆的な変化である。早いか遅いかはあっても、一定の方向に向かっている。日本が高度成長の年功序列型に戻ることはない。もはや逃れられないものなので、企業選びで、重要なファクターとなる。
◇チャンスの平等、結果の自己責任
それでは、どうやって見分ければよいのか。格差社会を論じる際に、常に落ち着くセオリーは、『チャンスが平等であれば、結果に差がつくことは容認せざるを得ない、ただしセーフティーネットは国が用意すべき』というものだ。これを否定してしまうと共産主義国になるので、多くの国民は納得せざるを得ない。現内閣の「再チャレンジ推進」政策も、「チャンスの平等」「結果の自己責任(=不平等)」を目指している。企業内の成果主義を論じる際も、その本質は同じである。
異なる点は、「企業は業績が悪化すれば従業員を解雇すればよいが、国は国民を解雇できない」(菅直人議員)というところだけ。企業は最悪の場合は解雇できるから、セーフティーネットを作るかどうかは自由だ。つまり企業にとって必要な条件は、「チャンスの平等」をどう運用するかと、「結果の不平等」をどう運用するか、という大きく2つのファクターに分けられることになる。両者は車の両輪で、いずれも欠かすことはできない。
トライするチャンスが平等で、かつ結果に応じて格差をつけるのが、本来の成果主義である。だが、経営者が、業績悪化の尻拭いをするため、単に総人件費の抑制を目的として“なんちゃって成果主義”を導入したため、「チャンスの平等」なきまま、いきなり「結果の格差」ばかりをつけた。それが成果主義失敗の代表的なパターンだ。したがって、評価の納得性を考える際は、この2点で判断するのがよい。ここで結果の格差が小さいとは、三十才の時点で、同年代でほとんど差がついていない場合と定義する。
■評価の納得性が高い会社、低い会社
http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=578
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登録日:2007年 01月 23日 01:19:17
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- プロフィール

- 渡邉 正裕
- (男)
- 1972年05月26日
- MyNewsJapan
- (株)MyNewsJapan代表取締役、編集長、ジャーナリスト。慶應義塾大学総合政策学部にて政治学、政策過程論を専攻。卒業後、日本経済新聞社にて1,000本超の記事を日経各媒体に執筆。外資系コンサルティング会社を経て2004年、起業。2006年、有料会員1千人超となり、採算ベースに乗せる。著書に『これが働きたい会社だ』『企業ミシュラン』『これが本当のマスコミだ』。
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