えげつないリストラを平気でやる会社

日本航空、3年で4300人のリストラを発表 - 東京

【東京 6日 AFP】日本航空(Japan Airlines)は6日、今後3年間で従業員4300人を削減すると発表した。
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(c)AFP/Yoshikazu TSUNO

AFPBB News


 JALは手厚い希望退職を募集するだけで、そのリストラ手法は非常に優しい。リストラのやり方については、会社によって大きく方針が異なる。日本企業だからやさしいというわけでもなく、いざというときなので、その本性を現すといってよい。JALとは正反対のえげつなさを見せる会社群を紹介する。

 終身雇用を信じ、浪花節的に会社に尽くしてきたのに、いざ経営が悪化するとあっけなく会社が期待を裏切り、えげつない手法でクビ切りに入る会社もある。

 現状でもここまでやるのだから、法的な解雇要件が緩和されたら平気で大量解雇を断行しそうだ。ここで述べる事実は、私が取材して驚いたことのひとつだ。マスコミは大企業がスポンサー(広告主)なのでネガティブな事実を報道できないということを、改めて実感した。

◇“ヤクザ研修”でリストラ 
 経営が悪化した三洋電機では、2005年3月ごろより、「営業力強化」の名のもとにリストラ含みの大規模な異動を開始した。表向き、営業を専門とするセクションが立ち上がり、JR塩屋駅近くの「三洋電機研修センター」(神戸市)に、それまで営業経験がまったくない人たちが、各部署から次々と送り込まれていった。

 同社最大の拠点である大東事業所(大阪府)に勤務する中堅社員が解説する。「ウチの部からは、40代、50代で管理職になっていない年配社員が数人、行きました。個別に呼び出され、辞令が出て、すぐに異動でした。『来月から、新しい営業の仕事をします』といった内容の挨拶メールが流れました」。各部署に人員数の数値目標が課され、技術系など全く営業とは関係ないキャリアを歩んできた人たちが、部署ごと全員、送り込まれたケースもあったという。

 研修の内容は、いわゆる「ヤクザ研修」。些細なミスに怒号を浴びせ、無茶な販売目標を課して、達成できなければ罵倒する。「辞めさせるのが目的であることは明らかです。研修を請け負う外部のコンサルティング会社は、辞めた社員の数で成功報酬が支払われるのです」(同)。コンサル会社は儲かるが、自主退職扱いとなる社員に、割り増しの退職金は一切なかった。

 東の拠点、東京製作所(群馬県)の要員も、はるばる塩屋まで越させる。土日に帰りたければ自腹で、出張手当もつかないから、生活環境面からも退職に追い込まれていく。こうした営業研修への配置転換は約1,200人が対象となり、指名された人のほとんどが退職に追い込まれた職場もあったという。

 同社は、2002年に日本の大手製造業では初めてワークシェアリングを制度化し、労働時間の短縮に応じて基本給を最高20%までカットできるようにするなど、「仕事を分かち合ってでも雇用を守る」という方針を貫いてきた。しかし、2004年からの急激な業績悪化で経営側の態度は180度、豹変。いきなり強引なリストラを裏でやり始めたのである。

 「指名された人のうち大多数は、帰る場所のない異動だと分かっているが、平穏を装って異動していく。『研修終了後は、医療機器の販売を行います』といった挨拶メールを読んでいると悲しくなり、明日はわが身だと思わざるを得ません」(40代社員)。終身雇用を信じて入社した社員には酷なやり方である。

◇タコ部屋方式によるリストラ
 営業強化というのは、リストラ含みの配置転換を行う際、よく使われる名目だ。そもそもキャリアパスが異なるので、中年以上の営業経験のない社員に突然、営業をやらせること自体、無理があるが、割り増し退職金など追加コストを払いたくない経営側にとっては、自主的に退職に追い込むのがもっとも都合が良いのである。

 富士通は、2003年3月期まで2期連続で最終赤字となり、工場勤務の社員を中心に、次々とリストラし始めた。その手段として利用されたのが、神奈川県厚木市にある「人材教育研修センター」だ。ここには、いわゆるタコ部屋(=蛸壺の中のタコのように抜け出られない)が設置され、中高年を中心とした余剰社員が送り込まれ、いったんプールされた。

 そして、入社二十数年目のベテラン社員が、名刺の受け渡しの訓練や履歴書の書き方といった講習を受講し、EQ(人格的知性)調査まで受ける。必要な人材のリストがグループ企業などから来て、それにマッチすれば引っ張られていくが、そこで仕事が出来なければ、また戻される。多くの社員はストレスが溜まり、結局、会社のねらい通り、辞めざるを得なくなった。

 このタコ部屋方式によるやり口は、私のクライアント企業の幹部も、「ウチも富士通方式でやるしかないか」「あれは悪い見本で、一箇所に集めると石のように硬くなるだけだ」などと会議の席で噂にするほど、有名だった。

◇いつ人身売買されるか分からない時代に
 リストラは、仕事がデキないとみなされた社員が対象となるのが一般的だが、個別社員の仕事の成果とは関係なく雇用が脅かされるのが、最近流行りのM&Aのケースだ。IBMが、PC事業をグローバル規模で中国企業に売却したのは、象徴的だった。2005年4月設立のレノボ・ジャパン(聯想集団が株式100%所有)には、前月まで日本IBMに在籍していた約600人が、有無を言わさず移籍させられていた。

 「知っている同期では、1人行きました」(新卒入社3年目・営業系SE)、「直接の知人は1人。住宅補助が不安だと言っていました。同期は2~3人でしょう」(30代・間接部門)というように、若手や中堅も、かなり移籍した。

 従来の「売却」の場合、売られるのは事業だけなので、社員の移籍には本人の同意が必要とされるなど身分が守られたが、2001年4月の商法改正で創設された会社分割制度と、同時に施行された「労働契約承継法」が利用される場合、「主従判定」が行われ、その事業に主に従事している社員は、事業と一緒に分割され、本人の同意は必要とされない。つまり、「事業と社員のセット移籍」が原則で、社員に選択の余地はない。

 納得できないし、労働条件も悪くなると思うが、表立った反対まではしないし、弁護士にも相談しない労組がPC事業に従事する社員向けに実施したアンケートでは、そんな「あきらめ」の結果が出ている。労働条件については、実に88%の人が「いずれレノボのほうが悪くなる」と回答。確かに、月額7万円を超える住宅補助など手厚い福利厚生が継続されるとは、考えにくい。

 退職金や年金、年次有給休暇などは引き継がれるが、極端にいえば、保証されるのは引き継がれた最初の1日だけで、分割先の企業の経営方針次第で、その後は、どうとでも条件は変更される。個人業績の良し悪しとは関係なく、会社側のM&A戦略によって、社員がどこに売られてしまうか分らない時代になったのだ。

 既に、グローバル規模の競争が激しいメーカーを中心に、事業の「選択と集中」を行わない限り、生き残れない時代になっている。NECと東芝も、両社の宇宙事業を統合し、2001年4月に、社員数1200人の合弁会社を設立した。NECの40代社員が解説する。「自分の同期も含め、数百人が転籍しました。30代も半ばを過ぎると転職できないので、あきらめの気持ちが強いです」

 「昭和の時代には対抗していた労組も、今では静かになりました。昔は毎日、ビラ配りがあったし、ストをちらつかせて戦ったものです。今の人は、エイエイオーッてやらないでしょ?あきらめムードなんです。自分は一番危険な立場ですよ、もう組合員でさえないですから…」(同)。

■雇用が安定している会社、えげつないリストラを平気でやる会社

http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=590

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登録日:2007年 02月 25日 13:41:25

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プロフィール
渡邉 正裕
渡邉 正裕
(男)
1972年05月26日
MyNewsJapan
(株)MyNewsJapan代表取締役、編集長、ジャーナリスト。慶應義塾大学総合政策学部にて政治学、政策過程論を専攻。卒業後、日本経済新聞社にて1,000本超の記事を日経各媒体に執筆。外資系コンサルティング会社を経て2004年、起業。2006年、有料会員1千人超となり、採算ベースに乗せる。著書に『これが働きたい会社だ』『企業ミシュラン』『これが本当のマスコミだ』。
*URL:http://www.mynewsjapan.com/
*連絡先:info@mynewsjapan.com
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