イギリス、原発再開?
【ホイットスタブル/英国 13日 AFP】エネルギー政策の見直しが長年の懸案となっている英国で11日、政府は原子力を再生可能エネルギー源と併用すればエネルギー需要に大きく貢献できると述べた。一方環境団体は、再生可能エネルギーへの投資額を増やしたり、電力消費を減らすべきだと主張している。写真は同日、南西部ケント(Kent)州ホイットスタブル(Whitstable)近くの風力発電地帯を訪れたトニー・ブレア(Tony Blair)首相。(c)AFP/David Bebber
いろいろと報道で騒がれているが、
簡単に論理矛盾を指摘するに留める。
.
.
◆ ◆ ◆
まず、各種の報道を見ると、
ブレア氏は温暖化対策の一環として
原子力への依存を高めたいと考えている
(もしくは対外的にはそう説明している)ようだが、
これがまずは大きな勘違いを呼び込んでいる。
温暖化の原因と目されている温室効果ガスの発生だが、
その主な要因である石油・石炭等の化石燃料に対して
原子力が代替できる部分は発電くらいなもの。
(兵器を除けば、って兵器はエネルギーではないが)
また、化石燃料のうち石油エネルギーは
別に発電だけに使っているわけではなく、
車を動かすなど他にも多くの使用目的がある。
英国のデータは手元にないのだが、
少なくともニホンに関しては、
どんなに省エネして、節電しても、
車でちょっと贅沢をすればたちまちその分の温室効果ガスを
排出する。つまり、抑制した分も元通りになってしまう。
もちろん、それを理由に、
つまりは車の使用抑制をしているからということで
電気を浪費していいことにはならないのだが。
◆ ◆ ◆
だいたい、原子力で電力を起こすことを考えた場合、
加圧して300度ほどの高温にし蒸気を起こしてタービンを回し、
その回転によって発電するのだが、
そこで起こした熱エネルギーはほとんど利用できていない。
それならば、コ・ジェネレーションのように
地域で発電してその廃熱も同時に利用する仕組みの方が、
熱エネルギーも確実に利用ができるので
エネルギー効率的にも無駄が少なくて済む。
なので、温暖化対策を主要な目的として据えるのであれば、
わざわざ原子力を引っ張り出さなくても
省エネの推進に加えて
コ・ジェネの導入をもっと真剣に考えた方がよい。
わざわざ原発を増やす(または廃炉を延長利用する)ことに拘泥する必要はない。
そのあたり、ブレア氏の言い出し方は
先に原発ありき、という意識がちらついている。
◆ ◆ ◆
それに原子力を使う場合、そのハード面の設備投資として
コンクリートなどたくさんのエネルギーが必要になる。
原発建設のためのさまざまなエネルギー消費、
さらには廃炉になった後の放射性廃棄物の封じ込めに必要となる
エネルギー消費を考えると、
原子力を電気エネルギーの原料として使うことが
果たして温暖化防止につながるのか、大いに疑わしい。
ことに、廃炉後の長期間の封じ込めは
技術的にも確立されているわけではないことを
忘れてはいけないだろう。
◆ ◆ ◆
もう一点忘れてはならないのが、
原子力と化石燃料は条件が似ている、ということだ。
原発の燃料であるウランなどもまた、
地球の一部地域に偏った地下資源であり、
その分量も限られている。
エネルギー源の枯渇という問題から考えると、
石油と同じ結論が待っている物質だ。
(地域的な偏りがある点も、石油と同じ)
これは、原子力が、いわゆるつなぎのエネルギー源としてしか使えない、と言われている所以でもある。
◆ ◆ ◆
これらの点を考えると、繰り返してきたとおり、
風力やバイオマスといった
自然エネルギー(再生可能エネルギー)の方が
実質的かつ現実的な路線だとも言える。
そこに先ほどのコ・ジェネを組み込んでいけば、
エネルギーを無駄にしない仕組みをつくりだしていけるはずだ。
ここでブレア氏が原子力の推進を言い出したのも、
温暖化対策という話はやはり、耳にヤサシイ理由づけで、
実は産業界への人気取り、ということが絡んでいるのではないのか、
などと邪推してしまうのは……
まあ、どの国にでもあることなんだろうな、きっと。
(その他、この関連ニュースのリンクはこちら)
朝日・7月12日 これも同一内容
毎日・7月12日
共同・7月12日
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登録日:2006年 07月 15日 23:59:16
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