2007年 03月 19日

見ているようで見えてない

英国人が見た“新世界”をテーマにした展示会が大英博物館で開幕 - 英国

【ロンドン/英国 16日 AFP】大英博物館(British Museum)が14日の内覧会で、英国が初めて見た米国の姿を、ジョン・ホワイト(John White)による16世紀水彩画作品を通して公開した。
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(c)AFP/The Trustees of British Museum

AFPBB News


と、タイトルはYellow Monkeyの「見てないようで見てる」を
もじりつつ。

煙のような黒い潮を吹く凶悪な顔のクジラに
妙に胸鰭が黒いイルカ。
16世紀のアートとしてみれば面白いというか、
当時の様式美が興味深い。

特に、この絵はすげー。
http://www.afpbb.com/article/1418446
(あんま不愉快なんで扉絵に使うのは却下。無理無理無理)
なんつーか、もう
見る側の偏見を、
これでもか、これでもか、と詰め込んで てんこ盛りにした、
というところが、もう笑うしかないというか。

北アメリカ大陸の先住民族を描いたという割には、
顔や体つきが思いっきり西洋人だったり
(黒髪やヒゲで誤魔化しても限界があるっつーの)、
ボディペイントかタトゥかは分からないが
全身青色だったり、
首狩りやってたり。
(首狩りの習慣は昔でいえば
アジア圏のごくごく一部の少数民族にはあったとされるが、
北アメリカの先住民族ではあんま聴かないハナシだなぁ。
どっか別の地域と混同してそうな感じだな、これ)

まあ、対象を見ながら描いたというよりも、
思い出したり伝え聞きを元に絵に起こしたんだろうけれども。

アートとしての見栄えを重視するあまり、
対象を見据えるという本質はおいてけぼり、というか。

写真の説明も、後半でその点は触れてはいるものの、
微妙というか、ツッコミが甘い。


◆ ◆ ◆

ここで少し、思い出した話を。
何で聞いた話なのかは思い出せないので
その点はとても申し訳ないのだが、
とあるワークショップでのこと。
ワークショップの参加者は、確か、小学校高学年の子どもたち。

このワークショップの内容は
自然物(確か「蟻」かなんか、身近な昆虫だったと思う)を
描くというもので、
まず最初に、対象物を見ることなくお題を伝えただけで描かせ、
次に、実際に対象物を見て写生をさせたそうだ。

ところが。
お題を聞いただけで描くと
どうしようもないものしか描けないのは当然だが、
実は、実際に対象物を見ながら描かせても、
結構いいかげんだった、そうな。
昆虫の足が4本しかなかったとか、その類のものが
続出したという。

このワークショップでは、2枚目を描かせた後、
昆虫の体の構造がどうなっているのか、ということを
科学的というか学術的にきちんとレクチャーした。
それから、現実の対象物を見ながら、三度目の絵を描かせると、
相応に対象物の特徴を捉えた絵を描くことができたのだという。


これは子どもを対象にしたワークショップのハナシだが、
子どもに限らず、
実物を見ていたところでそれをきちんと写実ができるかというと、
大の大人でもあまり変わりは無いのではないか、という、
そんな気がする。
これは、絵の上手い下手とは別の次元のこととして、だ。

ニンゲン、見たものをそのまま記憶するのではなく、
自分の好き勝手に情報を取捨選択して
記憶するもんなんだよな――と
いうことで、この話を思い出した。


◆ ◆ ◆

ともあれ、
自らの内に抱いていた「オリエンタリズム」を
思いっきり投影している
この写真の絵。
これは、16世紀当時の植民地の状況というよりも、
その頃の西洋人たちの内面を映し出す像として見る方が
適切なアイテムだろう。

と、同時に、この430年前の視線と、21世紀の今の視線と、
西洋人たち(というか欧米文化圏のヒトビト)は
どれだけ変わったのか。

んでもってこれは、
それらのヒトビトだけが問われるような、そういう
属性にかかわるような問題なんだろうか。

ニホンジン(含む自分)だって、
あるいはそれ以外の文化圏の人でも、
この手の視線は多かれ少なかれ確実に持ち合わせている。

見たものを、何らの価値判断も挟まずに認識し、
そのまま記憶に留め置くことは
案外難しい。

自分は昔の西洋人たちを嗤えるか、というと、
嗤った時点で同じ落とし穴に落ちている
のかもしれないワケで。
.
.

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登録日:2007年 03月 19日 12:02:28

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