誰がオランを追いやったのか

オランウータン、森林火災で森を追われる - インドネシア

【マンタンガイ/インドネシア 9日 AFP】カリマンタン島では農園開拓や焼き畑農法が原因で森林火災が発生し、オランウータンが生息地の密林を追われている。数十匹のオランウータンが地元住民に保護され、カリマンタン島マンタンガイ(Mantangi)の保護センター(Borneo Orangutan Survival Centre)に運ばれている。写真は5日撮影され、国際動物福祉基金(IFAW)から配布された、保護センターの職員に抱かれたオランウータンの赤ちゃん。(c)AFP/Michael Booth/IFAW

AFPBB News


ニュースソースは恐らくこちら。
http://www.ifaw.org/ifaw/general/default.aspx?oid=197591
IFAWのニュースリリース(11月7日)より。

単純な正義感を振りかざして、「オランウータンを救わねば」
みたいなエントリ立てて、ガス抜きするのは簡単だけど。

現地・インドネシア・カリマンタンの熱帯林で起こっている
森林破壊、その原因のひとつには、
ニホンにいるわたし・たちの暮らしも関わっている。

このことは、過去にも当ブログで何度か取り上げてきているが、
改めて解説してみると。
.
.

◆ ◆ ◆

インドネシアでは、どうして開拓のために火を入れているのか。
その後にできる農園で育てられる作物は、一体何なのか。

そうした農園、いわゆるプランテーションの作物には、
一体どんなものがあるのか。

古くはゴムがあり、
今ではアブラヤシや、紙の原料となる木が植えられている。
そして、更に新しくは
「温暖化対策になる」とされるバイオエタノールの「原料」として
見込まれる、幾つかの植物が植えられる可能性も
大いに高まっている。

そしてそれらのほとんどが、
ニホンや欧米といった国々へと輸出される。
インドネシア国内で消費をすることが主目的ではない。


◆ ◆ ◆

また、地元民が行う焼畑農業にしても。
焼畑農業は野蛮で、地元民こそが森林破壊の元凶だ、
などと言うのは、まるでお門違いな場合もある。

この点については、インドネシアの専門家である農学博士、
東京大学の井上真さんの著書に幾つか目を通されることを
オススメするが、
そうした情報からかいつまんで言うと。

インドネシアには、(今もあるのかは不明だが)かつて、
悪名高き強制移住政策が行われていた。
この政策によって、
それまで森林に暮らしたことの無い地域の人びとが
移住によって森林へと住まわされ、
その移り住んだ森林のことをよく知らないままに
焼畑農業を始めて、森を破壊していた。

ちなみに、元から熱帯林に暮らす先住民族の場合、
森の仕組みを知っている為、
無茶な焼畑はまずやらない、というのが井上さんの研究で
きちんと明らかになっている。


つまり、森林の破壊が進む根本には、政治・政策の失敗がある、
というハナシ。
ちなみにこの移住政策、ずいぶんと人権侵害もあったと聞く。

そうしたアホな政策を延々と行っていたインドネシアに
これまた延々と援助を送っていたのも、日本政府。
つまり、わたし・たちの税金が森林破壊に加担していた、という
そら寒いハナシ。


そしてまた、これは個人的な見解なのだが、
こうした地元民(もしくは移住民)による焼畑を
大きく取り上げることで、
他の破壊要因を相対的に小さく見せるといった印象操作の
可能性も、疑ってもいいかもしれない。
これは、以前の森林火災の際にも言われていた話なのだが。


◆ ◆ ◆

ともあれ。
オランのためにできることと言えば。
自分の税金の使い道について、
自分たちの政府にきちんと注文をつけたり、
自分が買う商品がどこから来て、何によってできているのかを
きちんと見極め、
場合によっては「そんな商品いらん」と客として
お店や会社に注文をつけること。

これって、よく考えると
「普通に暮らす」こととほとんどイコールなことでもある。
ちょっとだけ、ただちょっとだけ、調べたり意見を言うといった
手間がかかるだけで。
その手間を惜しむとどうなるか、というのが、
巡り巡って今の破壊を生んでいるのだ。

オランウータンを故郷の森から追いやらないためには、
本当の原因とそこから引き起こされるからくり・社会的な構造を
きちんと見極める目と、
それに対処する適切な行動が必要になってくるのだ。

あ、もちろん、IFAWや、その他
信頼できる(これもきちんと調べないといけないが)NGOに
参加したりカンパしたり、といったこともあるけれども。


この頁続く……かも。

カテゴリー[ 森林 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2006年 11月 12日 00:25:16

コメント

見出しの日本語がどうにもこなれていなかったので、タイトル変更しました。
夜更けにテンパっていると(つか、早く寝たくて思考力が低下していた模様)、良くないですね。反省。

管理人(山猫通信社) @ 2006年 11月 12日 21:12:44

少し補足させてください。インドネシアの二つの大きな島であるカリマンタン島とスマトラ島の森林破壊の要因は大きく4つあります。
(1) 商業伐採
(2) 農地への転用
(3) 石炭,金などの地下資源開発
(4) プランテーション開発

この二つの島の森林が破壊されると2つの問題が発生します。
(1) 貴重な生物種の保存箱である熱帯雨林が破壊される
(2) 植生,林床,泥炭地に蓄積された二酸化炭素が放出される

両島の森林は国立公園などの保護林を含め,合法,非合法の商業伐採により壊滅的な被害を受けている。森林はほとんど国有地なので,伐採は利権を生み,スハルト大統領とそのとりまきに巨額の利益をもたらした。もう二つの島には商業的価値のある大きな木はほとんど残っていない。

第二段階は伐採のためにできた道路によりアクセスが可能になった地域で新住民(スハあんかルト時代の政策により移住してきた人々)が慣れない熱帯雨林地域の農業に取り組み,その多くは失敗した。

第三段階はプランテーション開発である。天然ゴムの農園は小規模のものであるが,アブラヤシ農園はけたちがいに規模が巨大です。すでにインドネシアには800万haのアブラヤシ農園があり,さらに1000万haもの地域に開発の認可が出ています。この総計1800万haのアブラヤシ農園の大半はスマトラとカリマンタンに集中しているはずです。また,パルプの原料にする早生樹のプランテーションも計画されています。

新住民による農地開発とプランテーション開発においては森林の植生はじゃまものになります。そのため全てを伐採し乾季に火入れが行われます。これがいろんなところに飛び火して大規模な森林火災につながっています。森林への火入れや森林火災,泥炭地の火災によりインドネシアは世界で第三位の二酸化炭素排出国と推定されています。

内陸部の先住民であるダヤクの人々は1000年に渡り焼畑農業を営んできました。それはほとんど唯一の熱帯における持続可能な農業形態でした。その点については井上先生の研究で確認されています。ダヤクの人々は自分たちが拠って立つ環境を破壊しないようにするため,アダットという慣習法を定め遵守しています。

yuton @ 2009年 09月 24日 13:22:10

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