2008年 01月 29日

実行するのは「誰」なのか

「温暖化防止にライフスタイルの変革を」、IPCC議長

【1月22日 AFP】肉を食べない、自転車を利用する、余計なものは買わない-。
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(c)AFP

AFPBB News


まあ、パチャウリ議長が言っていることは正論だとは思う。

けど。


>1キロの肉を生産するには36.4キロのCO2が排出されることが分かっている。さらに、同量の肉の輸送には100ワットの電球を3週間近く点灯するのに相当するエネルギーが必要だという。

よく言われるのが、牛肉1キロを生産するには穀物10キロが必要だとか、
そういう対比。
二酸化炭素で換算すると言うのは、新鮮。
というか、すんげー今風だな。

>そのほかに役立つライフスタイルの変更として、「手に入るからという理由だけで」ものを買わずに、本当に必要なものだけを買うことを挙げた。

たぶん、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という単語に相応に反応したり、
パチャウリ議長の発言を気にかけたりするくらいの人びとであれば、
もうとっくに実行済みかと。

というか、こういう場合、どうして
結局は「個人の努力で頑張りましょう」
てなところにすぐ着地点を持って行きたがるのかな、と。

国家や地方自治体や企業や団体が努力していないとは言わないけれども、
過剰に個人に責任を押し付けるのも
 あれこれ文句が出ないで済むからか、
などと穿った見方をついしてしまうんだが。


たとえば、
 肉を売らない、
 自動車を作らない、
 余計な買い物をしないよう物欲を刺激する広告を自粛する
といった提案だとしたら、実際にどうだろうか。

アメリカ合州国が兵器産業でしのいでいる国だとしたら、
ニホン国は車を売りまくることを生業としていた国、だと言っても
そう的外れではないだろう。

そういう国々でこういうことを言っても、
誰も実行してくれないだろうなあ、と。
その意味では、確かにモノは言いよう、という面があるのかもしれない。

でも。


◆ ◆ ◆

何も全部企業が(あるいは行政が、等々)悪い、と
他者のせいにするつもりは毛頭ないが、
社会の仕組みとして、
 「消費」(そしてできれば「浪費」も)がないと回っていかないよ、この世界は、
という価値観を前提にしているのだから、
(そういう価値観だから、エコノミーとエコロジーは対立する、などという
言い回しもよく言われるわけで;;そこでよく使われるのが、
エコを実行すると失業者増えるよ、というような脅しが入ったり、などなど)
そうした部分から目を背けて
 個人で頑張り通しましょう 云々と言うてばかりでは
いつまで経っても事の本質にはたどり着けないだろう。


個人が頑張って自転車に乗っていても、
行政が、道路を造って自動車ますます便利だね、てなインフラやっていたり、
(どうせ整備するなら自転車道造れよ)
液晶画面の向こう側で、
自動車が売れて儲かるヒトが増えるのが正しいという価値観が
湯水のように広告として流れ、幅を利かせてる、
そんな世の中が続いていくのならば、
おそらくなーんも変わらない、と思う。


税金のかけ方を変えるとか法律をいじるとか予算配分を変化させるとか、
そういった面も含めての「個人も頑張れ」であれば、充分納得がいくんだけれども。
法律を変えるのだって、まずは個々人が発案をしていかないと
転がっていかないものだし。


ともあれ。
どうかこれが、
結局、ものを言いやすい方にだけ言っている、といったことにならないよう、※
そしてまるでアリバイのようにそういうことに使われないように、と
ふと思いながら。 

※:また、過去エントリで言ったことを思い出すんだが。

.

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登録日:2008年 01月 29日 23:58:22

記事にドラマを求めるな

「家庭的な父親」か「冷酷な殺人者」か、イラクで混在する2つの現実

【1月28日 AFP】イラク・バグダッド(Baghdad)南西部のシーア(Shiite)派居住区、Al-Aamelで21日朝、駐留米軍の兵士が一軒の民家に突入、この家に住むJawad Kadom al-Raizi(52)を射殺した。
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(c)AFP/Herve Bar

AFPBB News


殺された人間の属性どうこう、以前の問題かと。
被疑者が「家庭的な父親」だったのか、
それとも「冷酷な殺人者」だったのか、
あるいは家庭的云々は世を忍ぶ仮の姿だったのか、
はたまたまったくの濡れ衣、冤罪で射殺されたのか。
死んでしまえば、そんなこと証明のしようもない。たぶん。

AFPの記事は
その両方を持ち合わせたニンゲンの二面性という
三文小説のような見出しと結びでミスリードしているが、
要はこれは「殺人事件の容疑者」を
逮捕も裁判もなく軍人が問答無用で射殺したという、
野蛮な戦争犯罪を示しているに過ぎない、ということだよな。

殺された人間の属性を分析するよりも、
殺したニンゲンどもの立場や考え方をもっと掘り下げた方がよくないか、これは。


逆に、
イラク国内の惨状を考えるにつけ、
「家庭的な父親」が家族を守らんとして殺人を犯したのかも、というふうに
空想を膨らませて想像してみると、
その人が妙に人間的な人に思えてくる。
もちろんこれは、あくまでも自分の空想の中で完結していることで、
殺されてしまったJawad Kadom al-Raiziさんがどのようなパーソナリティの人だった
のかまではわからない。


まさに、死人に口無し。
本人には弁解することすら、できやしない。

それどころか、米軍の冤罪のひとつとして疑ったほうが無難かもしれない
ケースのようにも思える。

百歩譲ってそれはあまりにもイラクに寄り過ぎの見方かもしれないとしても、

>米兵たちがドアを破って家に押し入ってきた。やつらはまっすぐ両親の部屋に向かっていった。父は、母が着替え終わるまで部屋に入ってこようとする米兵を食い止めようとしていたが、卑劣な連中は父の頭を3回撃った

と、殺人の被疑者を(おそらく)何ら問い糺すこともなく殺しているわけだから、
普通に戦争犯罪だよな。
これを読む限りでは、人違いで殺していてもおかしくないシチュエーション
とも思える。


フランスの通信社としてはずいぶんと米軍寄りの記事の出し方で、
少々首を傾げてしまった。
てか、ドラマチックな二面性云々を言いたいという記事のつくり
(>家庭的な父親と武装グループのメンバー、食い違う2つの人物像を持つという状況は、以前からイラクで典型的なケースとなっている。)
のあざとさが鼻について、
ちとげんなり。
さすがにこの結論を記事にしたいからと
適当に事件を見繕った、わけではないだろうけれども。

ともあれいいかげん、ただの報道にドラマや盛り上がりを求める癖は
止めたほうがいいと思う。

コレは別に、AFPに限ったことではないが。

.

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登録日:2008年 01月 29日 15:07:56

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◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
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