2008年 01月 30日

その紙、原料は何ですか?

再生紙偽装、業界各社への批判相次ぐ

【1月20日 AFP】製紙大手各社による古紙配合率の偽装が相次いで発覚したことを受けて、メディア各社は19日、業界各社の態度を批判する記事を掲載した。
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(c)AFP

AFPBB News


きっかけとなった日本製紙株式会社については、以前別のエントリでも触れたが、
 2007年6月26日 大手マスコミはちゃんと取材をしとるんか
 http://www.actiblog.com/yamaneko/38239
それと内容がかぶっていそうだ。
特に、
>古紙100%配合でCO2は増加? 日本製紙が再生紙を見直し
 (日経の報道の見出しより)
とかいうけれども、日本製紙の言うこと(古紙100%だとCO2が増加)も
どこまで本当のことやら。
データの恣意的なチョイスとか、しとるんじゃなかろーか、などなど。

この件、報道がものすごく多いのだけれども、
とりあえず一番報道が薄そうな部分の情報をフォローするつもりで。


先週1月23日、この古紙の表記偽装問題について、
環境NGO5団体が共同で声明を発表した。

内容は、環境大臣に対して、
グリーン購入法の基準についての見直しを提案しているというもの。

そこで指摘されていることは、
古紙配合率の偽装だけではなく、
フレッシュパルプ(純パルプ)の出所についても偽装の可能性がある、
というもの。
提案した5団体は、
古紙問題市民行動ネットワーク/日本消費者連盟/ナマケモノ倶楽部/熱帯林行動ネットワーク/ レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部
の5つ。

以下に、その本文をすべて転載する。


◆ ◆ ◆

環境大臣にグリーン購入法・基準の見直し案の撤回を求めます。
エコ偽装の徹底的真相究明とその上での基準の抜本的・総合的検討が必要です
-古紙配合率のみならず、フレッシュ(バージン)パルプでも「エコ偽装」の疑惑が-


1月8日夜、TBS「NEWS23」で内部告発と実証実験による「日本製紙の古紙配合率40%の再生紙・年賀はがきが、実際の配合率はわずか1%」というスクープが、製紙業界全体の再生紙偽装が露呈する始まりでした。16日には、再生紙・年賀はがきの偽装を王子、大王、三菱、北越の4社も行っていたことが明らかになり、日本製紙は、印刷用紙や情報用紙等多種類にわたって高い古紙配合率を偽装していたことを報告、社長の引責辞任を発表しました。続き18日には、王子、三菱、大王、北越各社があいついで年賀はがき以外の紙製品でも古紙配合率偽装があった事実を発表し、製紙業界において古紙配合率偽装が常態化していたことが明らかになりました。
 日本製紙をはじめとした製紙業界の古紙配合率偽装は、製品から配合率を測定するすべがない私たち消費者やユーザーの信頼を完全に裏切る詐欺行為です。16日に発表された日本製紙の「弊社製品に関する社内調査結果について」を読んでも、継続的な契約違反、「グリーン購入法は努力目標だった」という法令無視、さらに違法状態を隠蔽したまま、グリーン購入法の基準を引き下げて合法化せんと主導した一連の動きは、企業として非常に悪質と言わねばなりません。今後、他社ともども偽装の事実をきちんと解明した上で、公的な処分を求めるものです。

また、日本製紙の「エコ偽装」は古紙配合率のみならず、フレッシュパルプでも疑惑が持たれています。日本製紙はホームページ上で「原生林保護」「原生林ではないチップによる紙」をうたっています。その根拠として一部顧客企業に「タスマニアにおいては保護価値の高い原生林は既に保護されておりチップの原料となることはあり得ません」と説明していましたが、当時の豪州政府担当大臣も、書簡で「オールドグロス林の伐採が年間2500ha行われている」ことを認め、「RANの調査レポート」(※1)で示された豪州政府及び業界関係資料でも、日本製紙が購入を継続しているタスマニアの天然林木材チップ(豪州林業規格:AFS認証材)には、オールドグロス林や原生林の木材チップが多数含まれていることが示されており、絶滅危惧種動物への重大な影響も指摘されています。ある日本製紙顧客企業の用紙調達方針の規定には、保護価値の高い森林(1.オールドグロス林、2.原生林、3.絶滅危惧種の生物が生息する自然林)の保護が定められていることから、こうした規定遵守違反にあたる可能性もあります。(※2)

グリーン購入法の改定案では、30%引下げの代替に「環境に配慮した原料」も利用可能としていますが、その基準が低水準であいまいなため、危うく、これらタスマニアの天然木材チップなどの環境破壊的に生産された原料すらも、合法的に利用可能になるところでした。

従って、私たちは以下のことを要求します。
(1)日本製紙や日本製紙連合会が昨年6月に提案した内容を踏まえて環境省が昨年11月に出した基準の改正案は、検討の延期ではなく、即時取り下げて白紙に戻してください。
(2)新聞報道によれば、環境省は「グリーン購入法に基づく古紙配合比率の検証手段や表示方法など、同法の問題点を洗い出すため月内に調達品目検討会を臨時開催し、作業を始める」とありますが、その検討委員会を公開とし、現検討委員だけでなく、NGOも含めた幅広い関係者も加えることを要望します。
(3)偽装の事実を徹底的に解明した後に、幅広い立場の関係者をそろえ、抜本的で総合的な視点からグリーン購入法の基準を見直すことを求めます。

※ 1.「RANの調査レポート」とは、国際的NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」の調査レポート『誰がタスマニアの森を切っているの?買っているの?タスマニア森林破壊と日本紙業界の隠された真実』のこと。
※ 2.タスマニアで伐採された木材の約9割(数量ベース)が木材チップ。豪州企業のガンズ社(Gunns Ltd.)が2006年に生産した木材チップ約350万トン(この内の約8割が日本向け輸出と想定され、天然林木材チップ供給業者として最大規模)に対して、日本製紙株式会社は140万トン購入(2006年計画値)する最大の購入企業。ガンズ社の木材チップ購入量の第二位は王子製紙で、日本製紙同様、ガンズ社の天然林木材チップを購入。他に天然林木材チップを購入しているのは中越パルプ工業。大王製紙、三菱製紙はガンズ社から植林木を購入している。北越製紙はタスマニアから木材チップは購入していない。

提出団体:
古紙問題市民行動ネットワーク
日本消費者連盟
ナマケモノ倶楽部
熱帯林行動ネットワーク
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部


◆ ◆ ◆

この件については、どうやって解決していいものか、
買い物の段階でかなり悩んでいる方も多いと思うのだが、
少なくとも代替案を取る場合に、
新たな環境負荷、環境破壊に加担しない、
という視点もぜひとも大事にしてもらいたいと思う。


それにしても、技術的に白色度が保てないとかなんとか、
業界の輩はいろいろ理由を言っているけれども、
これを機会に、
 そこまでの白さを紙に求めなくてもいいんじゃね?
とか
 環境破壊をしてまで紙に安さを求めなくてもいいんじゃね?
的な理解が世の中に広がってほしいと
思わずにはいられない。

100%再生紙をつくるにあたって古紙の確保が難しいのならば、
それ相応の対価をさらにきちんと払えばいい。
そうすれば中国に流れていっていた古紙を国内で使うことができる。
その分、製品の値段が上がるのだとしても、
今回の嘘つきさんたちの給与や弁償で埋め合わせしてもらえばよろしいし。
同時に、消費者・買い手の側も
それ相応の対価をきちんと支払うということを、
これを機会に理解すればいい。

そもそも、古紙0%の紙の方が安いとしたら、
その価格構造に何か問題がある可能性を疑ったほうがいい。

ちなみに古紙でない環境配慮紙もある。
たとえばFSC認証のように、原生林ではなく二次林(植林木)を使うことで
環境負荷を低減した(とされる)紙の場合は、
相応の高いお値段で取引されている。
(認証もピンきりなので注意がいることも忘れてはならないが)

純パルプなのに安い、という製品の場合、
どっかしらにしわ寄せが行っている可能性が高い。
(原生林を皆伐してほったらかしにしていたら
そりゃ原料安くて済むしな、というような場合、等)
なので、ここんところは逆に分かりやすいと思う。


同時に、強く思うのが、
そもそも紙の白さ・色目、厚さなど、クオリティを高めることに対して
 それが本当に必要なのかどうか
という点。
こここそ、をきちんと議論していかなければならない点だろう。

まあ、ここんとこ、
少なくとも自分に関してはそんなクオリティいらねぇ、と
割と結論がはっきりしているんだが。

んでもって、これは決して少数派ではないと思うのだが、
いかがだろうか。


※:この件、毎日の報道があった分は<続きを読む>に収納。
1月23日 毎日新聞
再生紙偽装:国にグリーン購入法の見直し要望 市民5団体
.
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登録日:2008年 01月 30日 23:13:29

知らないものは存在しない

反捕鯨団体、仲間割れ? グリーンピースがシー・シェパードへの協力拒む

【1月20日 AFP】南極海で日本の調査捕鯨の妨害を試みている米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society)」は20日、同じく国際環境保護団体のグリーンピース(Greenpeace)が日本の捕鯨船団の位置を知らせることを拒んだため、グリーンピースを「見掛け倒し」だと非難した。
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(c)AFP

AFPBB News


今日は、クジラの話ではなくメディアについての話を少し。

この写真記事のタイトルに「仲間割れ」とあるが、
そもそもこの2つの団体が本当に「仲間」なのかどうか、
特に調べたり疑問を持ったりしなかったんだろうか、
このテキストを書いた記者は。

あるいはデスクなどから、
 仲間ならどうして別々に活動しているんだろうね?
てなツッコミがなかったのか、などなど。

それぞれの成り立ちをちょっとでも調べれば、
 こういうことになるんだろーなー、
ということはすぐに分かりそうなもんだが。
特に、シー・シェパードのやり口なんかを見ていると。

まあ、要するにこのテキストを上げた記者の頭の中では、
環境NGOというものの理解というのはその程度だったんだろう。
環境団体で捕鯨反対、ということで十把一絡げで見ていたからこそ、
こういうかたちでの疑問がタイトルにつけられたんだろうな、とでもいうか。


◆ ◆ ◆

ニホンにもまた、国内にたくさんの環境団体(NGO・NPO)がある。
とはいうものの、それはそれぞれの得意分野が異なるために
いろいろな団体が別々に存在しているのであって、
別にグリーンピースとシー・シェパードのように
方針が食い違って(←ものは言いよう)袂を別ったわけではない。

また、自分の知っている範囲でのことだが、
そうした異なる取り組みをしている団体同士であっても、
共同で何かを行うということは(少なくともニホンでは)
比較的良くなされていると思う。

最近の例だと、以下のような報道などから理解できると思う。

1月23日 毎日新聞
再生紙偽装:国にグリーン購入法の見直し要望 市民5団体
とか、
1月23日 共同通信
古紙配合率、国がチェックを 再生紙偽装で保護団体要望

など。

一緒に調査や催しの開催などもごく普通に行われるし、
別に他団体だからといって仲が悪いわけでもない。
ただ、団体にとっての目標や取り組み対象がそれぞれ異なるため、
いろいろな団体があるにすぎない。
だから、同じ取り組み対象や共通の接点があると、このようなことが行われる。

余力のあるヒトはそれぞれの記事で名前の出ていた団体のサイトを
訪問してみることをオススメしたい。
それぞれの団体が、どこがどう違い、
にもかかわらずここで同じ取り組みをしているということの理由が
よくわかると思う。


◆ ◆ ◆

上はニホンの例だが、かように
世界中には多くの環境団体があって、
実にさまざまなテーマに対して
かなり多彩な取り組みをそれぞれが行っている。

けれども。

これはAFPだけではないのだが、
大手のマスコミに名前の出る団体、報道される機会のある団体は、
それほど多くはない。
ごく一握りの団体がいつものようにループして登場している(ように見える)。


その昔のエントリで、
2007年7月9日 選んだ理由
 http://www.actiblog.com/yamaneko/39168
上げた通り。
これはたまたまAFPを事例にしているけれども、
別に他の報道がそうではない、というわけではない。
どれも五十歩百歩だ。


報道する立場のヒトビトも、知らないものに関しては何も想像が及ばない、
どころか
知らないものはそのヒトの中には存在していない(というか存在できない)。

そしてその「知らない」は、報道の読み手であるわたし・たちにも
引き継がれていく。
つまり、報道されていない団体なんて「存在しない」というわけだ。

メディアリテラシーなどでよく言われる、
 報道を読むときには、
 そうした「何が欠けているか」「報道されていない部分」を
 意識する必要がある、
ということに注意を払ったとしても、
存在すら知らない団体のことに思いを馳せるだなんて、ちと無理だ。


◆ ◆ ◆

知らないものは、存在しない。
かといって、
 何もかも、すべてのことについて最低限その業界の常識を持っておこう
だなんてことは、物理的にも限界がある、というかあり得ない。
(もちろん、自分も、そうなんだが)


だから。
 少なくとも、世の中には常に「自分が知らないもの・こと」が存在している、
ということと
 それによって割を食ってる立場のヒトビト(なり団体なり)が必ずいる、
ということだけは、
絶えず意識していたい、と思う。

(なんだか弱々しい結びになっちまうんだが、ちと仕方が無いと言うかなんと言うか)


※:引用した国内報道は、次のエントリにて対応。

.

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登録日:2008年 01月 30日 21:24:05

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◆環境カウンセラー兼フリーランスのライター・編集業の「山猫通信社」については、上のHPをぽちっとどうぞ。ブログをみてのご連絡は、sorano_ki@yahoo.co.jpへ。
◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
◆トラックバック、どうも故障中の模様(早く直してくれAFP)。
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