2008年 02月 24日
木さえ植えれば何でもエコか?
【2月21日 AFP】スロバキアの首都ブラチスラバ(Bratislava)で20日、湖を泳ぐハクチョウの姿が見られた。(c)AFP
写真はぜんぜんお題とは無関係のハクチョウのアップ。
まるでpya! さんの写真のようにオモロイ。
さて。
今日取り上げたいのは、先月の報道にあったこの件について。
1月25日 日経エコロミー
偽装したパルプ分を植林――環境省、古紙対策で検討
http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=2008012802813n2
まあ、内容はだいたい見出しの通りなんだけれども、こんなこと言ってる。
>偽装を行った製紙メーカーに対し、古紙と偽って配合した新しいパルプの量に相当する植林を求めるなどの対応策について検討を始めた。(以下略)
(※:記事本文は<続きを読む>に収納)
例の古紙配合率の偽装問題、
その落とし前を、「植林」で埋め合わせさせよう、というアイデア。
なのだが。
当ブログとしての問題提起は、お題にも上げたとおり。
と、いうか、まあこれまでも何度か話題にしてきているが。
それにしても、
ニホンジンって、植林というか、「園芸」が好き過ぎ。
エコ対策としてすぐに植林をしたがるという発想の、その根っこのどっかには、
この園芸好きの発想が入り込んでいるような気がしてならない。
木さえ植えれば環境配慮になる、というのもまた非常に乱暴な話で、
この環境省の言う「植林」がどこの土地で、どのような樹種を植林し、
それを誰が管理するのかというところまで具体的に考えていかなないと、
木を植えた、しかし森は死んだ、
ということが起こらないとも限らない。
たとえば今ニホンの国土の67.4%が森林であり、
そのうちの4割が人工林なのだが、
その4割を占める人工林の多くには満足な人手が入っていない。 ※1
つまり植えっぱなしで面倒をみていないことから、
ニホンの山林は荒れている、死んだ森が累々と広がっている、
というふうにさえ言われている。
自分のところの森の面倒も満足に見られないような国のニンゲンが、
さらに何を植林しようというのだろう。
多くの場合、
人工林というものは、最初に人為によって植えた以上、
その後もある程度はきちんと面倒をみないと
その地の環境を悪化させる危険性の方がずっと高い。
(もちろん植林の仕方、森の作り方にもよるが、
基本は「木の畑」のようなもんと考えた方がまだ間違う可能性が少ない)
ちなみに、ニホンの人工林は製紙原料には向かない樹種がメインだから、
この問題(製紙会社の偽装問題)に対する贖罪行動の対象としては
不向きであることは指摘しておく。
(ニホンの人工林問題は紙の問題と分けて考えるべきこと、という意味)
で、ハナシを元に戻すと、
製紙会社の偽装の贖罪としての植林って、
いったいどういう植林を考えているんだろうか。
別に、世界中すべての植林が悪いというような極端な話をする気はさらさらないが、
中には産業植林をいかにも環境配慮のものだといい含めている例が
あるのも事実。
製紙原料ではないが、ヤシ油を採るためのアブラヤシプランテーションなどは、
その分かりやすい例だ。
(とりあえず過去記事のこの例なんかを参考に;
オランウータンが絶滅しても、わたしは二酸化炭素の排出量を減らしたいんです)
製紙会社がかかわってきた場合、
さらに製紙原料になる樹種を、というような選択になる可能性を
どこまで無視できるのか。
たとえばインドネシアなどでは、上記のアブラヤシのほかに
そうした製紙原料向けの樹種の植林のハナシも聞くし、
あとはタスマニア(オーストラリア)での移入種・外来種となるユーカリの植林なども
報告されている。
まあ、環境省が上手く手綱を操ってくれるのであれば
ここまで露骨な産業植林とはならないだろう、とは思うのだが、
贖罪行動の前に、どのような原因でこのような事態(=偽装)が起こったのか、
という部分の解明すらまだおぼつかない状態であるということを
忘れてもらっちゃー困る。
2月22日 毎日
再生紙偽装:「調査は不十分」環境相が批判
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080222k0000e040032000c.html
贖罪行動の前に、再発防止と適正な流通(含む適正な生産)の回復、
責任者の処罰といったものの方が先だろう。
もともとの発端が、
古紙の高騰と品薄による入手の難しさだとか、技術面での課題だとか、
そういう部分に因るものが大きかったと考えられている以上は。
てか、やっぱり結論が
「ニホンジンは園芸が好きなんだよな」というオチでいいのか、これ。
(↑たぶんちがう)
※1:森林問題の基礎知識の参考になるサイト。実はこの原稿、自分の仕事(照。
http://www.nou-taiken.net/atoz/agriculture/index.htm
ちなみに元となるデータ類はすべて『森林白書』ほか、ニホン政府の正式な統計データから起こしている。
.
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登録日:2008年 02月 24日 23:56:57
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◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
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