2008年 04月 16日
問題は、「バイオ」よりも「グローバリズム」
【4月16日 AFP】英国ロンドン(London)の運輸省前で15日、同日実施された再生可能燃料導入義務制度(Renewable Transport Fuel Obligation、RTFO)に反対する活動家らが抗議デモを行った。
RTFOは温室効果ガスを削減するため燃料販売事業者に自動車用燃料販売量の2.5%をバイオ燃料とすることを義務づける措置だが、活動家は食糧を燃料にすることなどを問題視している。(c)AFP
写真のねーちゃんがかわいい。
んなことはどーでもいいんだが、このねーちゃんの持っているプラカードは、
「パームオイル」、つまり「ヤシ油」に注視せよ、ということ。
(ヤシ油の二酸化炭素の排出は化石燃料よりも悪いぞ、というこっちゃな)
緑を身にまとっていることから想像するに、恐らくは
ヤシ油をつくるための大規模な開発・プランテーション化に対する抗議のアピールかと。
プランテーションを造成するには、
とにかくものごっつい面積の森林を伐採して裸地にして植林せなあかん、
という工程が必ず必要だから。最初に。
ヤシ油は、食料にもなっているけれども、それ以外にもいろいろと使われている
(たとえば洗剤だとか口紅だとか)
ため、ここでアピールされていることは、
単純に「食べものを燃やすな」ということではない、
というか、そういう単純化された話だけではない、ということは
知っておいた方がいいと思う。
今日は別のニュースも出ていたようだけれども、
(04月16日 バイオ燃料生産は「人道に対する罪」、国連報告官)
食料を燃料にすること云々の言い分の方が、比較的スムーズに訴えやすいし、
理解もしやすい。
と、同時に、簡単なことを見落としてしまったりもする。
けれども、この問題の本質をきちんと理解したいと思うのであれば、
トウモロコシやダイズといった食品から燃料(エタノール)を作る愚、
という側面だけではなく、
それらが産業としてどういう方向性を持っているのか、という視点が必要だ。
たとえば、ヤシ油(アブラヤシから作る油)の環境破壊性への理解は、
食料問題(人権問題と言い換えてもいいが)という視点だけでは抜け落ちる。
厳密には、プランテーションの開発によって先住民族をはじめとする地元民への
人権侵害は起こっているので、
狭義の人権問題という視点を持つことは可能ではある。
逆にバイオ(生物由来)燃料全部をひとくくりにしてダメだと切って捨てることは
廃油利用や木質バイオマス(その多くが廃材や間伐材などの廃物利用)といった
他の角度から見ても環境負荷が低くて、実際に二酸化炭素の排出量も抑えられる、
(もちろん食料とは競合しない)
という素材に対して、無駄な逆風ともなりかねない。
この手の話はこのブログで何度も取り上げてきているので、
過去記事にお目通しを頂きたいのだが、
(左の「資源・エネルギー」のタグなど。最近の記事なんかだとこれとか)
今、食料問題を引き起こすと言われていたり、
二酸化炭素の排出量以外の環境負荷がいわれていたり、
あるいは計算上その二酸化炭素すら化石燃料以上に必要だったり、
というものに共通しているのは、
「どこか遠くで」
「(原料を)大量につくって」
「(製品も)大量生産で(そうしないとコスト的に割が合わないから)」
「(原料か製品のどちらかまたは両方が)長距離の輸送をしないと手元に届かない」
といった、グローバリズムに則った方針を持っているものだったりする。
この点、石油や原子力のような地下資源と、全部が全部ではないけれども
とてもよく似ている。
最後の長距離輸送に至っては、
フードマイレージならぬオイルマイレージを考慮しないといけない。
が、それを考えることで、むしろ
その物質の環境負荷がかなり明確に意識できると思う。
逆に同じバイオマスエネルギーと言われるものでも、
地元で採れる農業廃棄物(麦わらなど)を燃料に加工して地元で消費する、
というようなモデルであれば、
上記のグローバリズムの構造からは大きく外れるけれども、
環境負荷は恐らく相当小さいものと予想できる。
とまあ、ここで問われていることは何か、
問題は「食料問題」なのか(あるいは「食料VS燃料」なのか)、
「二酸化炭素排出削減(=とにかく化石燃料を減らせ)」なのか、
それらを含めた広義の環境負荷全般なのか、
まずはそこんところをきちんと頭の中に整理整頓していかないと、
なーんも問題は解決しないと思うんだがな。
また、この件に関していくつか関係しそうな最近の報道のコピペを
<続きを読む>に残しておくので、
ご興味がある方はぜひご一読を。
.
... 続きを読む
カテゴリー[ 資源・エネルギー ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 04月 16日 23:07:09
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◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
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