2008年 05月
目的に共感ができても、その手段が……
【4月28日 AFP】デング熱の感染が拡大しているマレーシアで、デング・ウイルスを媒介する「ネッタイシマカ」の対策として遺伝子組み換え(GM)を施した蚊(カ)、数百万匹を試験的に放つ計画が進められている。
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(c)AFP
新たな災いを生まなければいいのだが。
以下、遺伝子組み換え(GM)技術に対する
不信感丸出しのエントリとなるが。
研究室のような閉鎖空間での、1対1(オスとメス)だけでの実験結果と、
自然界において天敵やその他
複数の生物種とのかかわりを持ちながらの結果とでは、
とてもではないが同じものとはならないと思う。
このGM蚊を食った天敵はどうなったか
(しかも捕食者は何も1種の生物だけではない)、
その(GM蚊を捕食した)天敵たちの子孫に遺伝的な影響は無いか、
また近種との交雑の不安はないか、などなど、不安は尽きない。
現に、
たとえば食品関係でいえば、
GMナタネが非GMナタネと交雑をして次世代が育ってしまった、
というような事例もある。 ※1
また、対象が昆虫の場合、生命のサイクルが短いがため、
植物以上にこうした「雑種」が確立されやすいのでは、という心配もある。
そいつがデング熱を媒介するものだった場合、
あるいはもっとたちの悪い病気を発生させるものとなった場合、
そこに対しての対処は実際問題可能なのか、否か、
その点は、どこまで検討しているのだろうか。
基本的には、
この手のものは放ったが最後、
やべぇ、失敗した! と判明したところで、
後になって回収する・自然環境の状況を元に戻す、といったことが
不可能な場合がほとんどだ。
これはGM技術だけではなく
外来種(移入種・侵入種)問題でも一緒だけれども、
自然界というのは、そういう
ニンゲンのコントロールのきかない空間
であるという認識は、科学者であるなしにかかわらず
持っておくべきことだと思う。
やってみなけりゃ わからない
けど、
やり直しがきかない
ような事例の場合は、あえて「やらない勇気」(研究室だけにとどめておく)
てなことも必要だと思う。※2
お題にもあげたとおり、
デング熱の感染者を将来的にはゼロにしていくという目的は
まず否定できないとしても、
そのために取った手段が穴だらけで、
デング熱こそ遠ざけることができたけれども、
それ以外の災いを新たに呼び込んだ、なんてことは
誰も望んではいないと思う。※3
※1:04月21日 日経BPネット(写真アリ)
美しい菜の花畑に潜む遺伝子組み換え品種 交雑で2代目も出現
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/z/28/
本文は<続きを読む>に収納。
※2:それとこの場合、生物種の絶滅を願うような手法が好ましいのかどうか、という視点は持ち得ないのだろうか。これが美しい哺乳類の希少種であれば検討課題にすら上らないだろうと言うことを考えると、昆虫思いっきり差別されてまんがな、という話に聞こえなくもない。(まあ、この程度で絶滅するような蚊ではないとも思うが)
※3:これはGM蚊の開発をしている科学者たちだってそうだろう。
.
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登録日:2008年 05月 03日 23:43:55
事務連絡(猫のヒゲ関係)
【4月27日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic Committee、IOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長(65)は欧米諸国に対し、北京五輪を控える中国への人権問題を振りかざした非難を中止するよう呼びかけた。
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(c)AFP
環境以外のテーマになるので、この写真記事に関して、
はてなでちまちまやっている非環境系ブログ(このメモは猫のヒゲ)の方で取り上げました、
というお知らせを。
→04月29日
このものごっつい上から目線に怒りを抱かないのか、中華民族は
ご興味ありましたら、ぜひともご訪問のほどを。お待ちしております。
※:実は、29日の夕方から1日半ほどActiblogへのアクセスが(なぜか)できなかった(画面の様子から、Acti側の回線容量の問題かと推測)。そのため、お知らせも2日遅れに。お知らせ遅くなったこと、お詫びしつつ。
.
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登録日:2008年 05月 02日 00:02:28
不純な動機
【4月29日 AFP】多数の動植物を絶滅から救えず「生物多様性」が失われることになった場合、新世代の抗生物質の開発が行き詰まり感染症やガンの治療の未来が閉ざされることになるとの専門家の報告が、23日に発表された。
≫続きを読む…
(c)AFP/Martin Abbugao
これは以前にも、どこかで見かけた訴えだな、と思いつつ。
1980年代の後半から90年代初頭にかけて、
世界の原生林に対して行われている商業伐採の問題が
盛んに取り上げられていた頃も、
このようなことは(それほど大きくはないけれども)もちろん言われていた。
当時 言われていたことは、
地球表面の数パーセントの面積を占めるに過ぎない熱帯林において、
全生物種の約半数を数えることができること、
また抗生物質の、これもまた約半数が熱帯の生物由来のもので、
工業製品でもなんでもないこと、
(よく勘違いしているヒトがいるけれども、薬の多くは自然物由来である)
という指摘。
これはもちろん科学的にも動かしがたい事実。
で、
それだけ豊かな生態系を育んでいる熱帯林が失われてしまえば、
将来薬になるかもしれない植物やその他林産物や動物といった希少生物を、
発見の前に失ってしまうのではないか
……ということは、もう20年以上前
(自分が知っている限りにおいてだから、
さらにそのもっと前から言われていたかもしれない)
から明らかなことであった。
まあ、このテーマだけに絞った本が出るというのは
恐らくほとんど無かったと思うので、
その意味ではいい問題提起になるものとは思う。
医療の専門家が噛んでいるのであれば、尚のこと。
◆ ◆ ◆
たぶん小学校か、せいぜい中学で習うと思うのだが、
生態系ピラミッドという、食物連鎖をわかりやすく図にしたものがある。
どのような生物種であっても、
ものを食べることで生きている存在である以上、
この生態系ピラミッドの中に含まれる。
そこから外れる存在はない。
命あるものはかならず、
ある存在からは食べられ(または分解され)、
あるいは他の命あるものを食らわなければ、
この地球上で生きながらえることはできない。
それは、ニンゲンも同じこと。
理科や生物の授業などで習う生態系ピラミッドの図に
ニンゲンが入っている図というものは
滅多にみかけないのだが、
(見たことのあるヒトは情報宜しくです) ※1
実はニンゲンだってちゃんとそこに含まれている。
生きものではない食べものだけを食べること
で生き続けることのできるニンゲンなんて
一人もいないのだ。
◆ ◆ ◆
ある種が絶滅してしまうということは、
食う・食われるというこの生態系ピラミッドのピースの一欠片が
永遠に失われるということである。
欠片の喪失が少なければまだ多少は持ち堪えたとしても、
失われるものが増えると
やがてはピラミッドそのものが崩壊する。
もちろん、この生態系ピラミッドは
全ての生物種が関わっているものであるから、
どこか遠くの、
ジンルイにほとんど知られていない何らかの種が絶滅したとしても、
それが巡り巡ってジンルイにまで影響を及ぼす、
ということもまた起こりうる。
この写真記事が取り上げているのは薬品・医療関係に絞った問題提起だが、
食べものだけではなく、
薬のような命の危機や体調管理に関するセーフティー・アイテムについても、
同じことが言える。
(薬草を使うのは何もニンゲンだけではない。
他の生物も食糧以外の用途で他生物を利用することある)
また、別の角度からの影響もある。
森林伐採が進んだことでマラリア蚊が人里にまで広まった、という例も
(絶滅かどうかは別として)あるように、
そこに他の生物種が存在してくれていたおかげで食い止められていた
災害や疫病のようなマイナスの要素が増大する、
ということも起きてくる。
そう考えた場合、
自分の、あるいはジンルイの安全保障という面からも、
種の多様性(生物多様性)の保全や環境破壊問題への取り組みというのは、
意味があるのだ。
◆ ◆ ◆
もちろん、森林にしてもまたそこに生きる野生生物にしても、
存在していること、そのものは価値があるのだと思う。
けれども、そうした価値観を抜きにしても、
「自分が生き延びるために」
野生生物保護に取り組んでみたり、
原生林保護活動に参加してみたり、というのは
家の頭金作りのために残業して働くのと、ある意味地続きでもあるのだ。
ものすごく判りづらいし見えづらいかもしれないけれども。
ここで動機の純・不純を問うという行為は、
今まさに絶滅に瀕している動植物の当事者にしてみたら、
ほとんど意味のないことだと思う。
その動植物を保護したいという動機が、
・その対象物が好きだから(美しいから・可愛いから・価値があるからetc.)
というような精神論だけではなく、
・その対象物を保護・保全することで経済的な価値を生むから
・その対象物を保護・保全することで
ニンゲンの生存に関する安全保障が高まるから
であっても、
絶滅の淵から生還できるのであれば、
こんなに意味のあることはない。
むしろ、動植物の保全活動なるものは、
「オランウータンがかわいそう」「ガラパゴスゾウガメはかっこいい」
というような視野が狭窄した動物ヲタク(自分のことだ)や、
「希少種はそれだけで存在する意義が高い」
「命あるものは命があるということに意味がある」
というような哲学的な観点からものを語れる人びとだけが
やるもんでもなかろう。
誰もがめぐり巡って関係しているのが、生物界というものなのだから。
もっと、利己的でもいい。
もちろん、利己的とはいえ、
地球は別にニンゲンのものでもなんでもないのだし、
ましてや他の生物種を所有しているわけでもないので、
そこんところさえ勘違いしなければ、
という点を踏まえてのことだが。 ※2
※:ニンゲンの入っている生態系ピラミッドを滅多に見かけない理由は、きっと「ジンルイが多すぎるから」だと思う。それは、生態系ピラミッドの頂点に近い生物種は数が多すぎると生態系のバランスを崩す、という生態系ピラミッドの根本を突く提起になってしまうというのもあるし、あとはただ単純に美的なデザインに収められないから、ということもあると思う。
※2:同時に、その「利己的」の中身を問い続けていくこともまた必要かもしれない。
※3:2年前にも同じようなエントリを上げていた。
→絶滅の「何が」問題か http://www.actiblog.com/yamaneko/3990
.
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登録日:2008年 05月 01日 23:28:27
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- 山猫通信社 篠宮
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- ◆環境カウンセラー兼フリーランスのライター・編集業の「山猫通信社」については、上のHPをぽちっとどうぞ。ブログをみてのご連絡は、sorano_ki@yahoo.co.jpへ。
◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
◆トラックバック、どうも故障中の模様(早く直してくれAFP)。
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