2008年 05月 31日
「間男」を生んだワケ
【5月30日 AFP】スイス北部バーゼル(Basel)の動物園で29日、最近生まれた赤ちゃんゴリラの父子鑑定テストを行ったところ、父親とみられていた雄ゴリラが実は少年ゴリラに「間男されていた」ことが明らかになった。
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(c)AFP
これは、飼育下だからこそ起こった出来事だと思う。
だいたい、野生ゴリラの場合、
群れは性的に成熟したオス1匹に複数のメスとその子どもたち、という、
ライオンのプライドのような構成になる。
自然界のゴリラの仲間の中で、
性的に成熟したオスが複数いる群れがあったという例は、
少なくともこれまでは、そうした報告はなかったと思う。
(チンパンジーの場合は、逆にオスもメスも複数いるのが自然な群れとなる。
同じく類人猿のオランウータンに至っては、群れすら作らない、
完全に個別の生活習慣だ)
その意味では、この記事の文面だけで判断するのはちょっとアレだが、
飼育動物園が「少年ゴリラ」を群れに置きっ放しにしたこと、
それがたぶん致命的なミスになったのだと考えられる。
もっとも、オスゴリラで9歳とは相当早熟だったこと、さらには飼育者の側も
9歳で性的に成熟しているとは思っていなかった、という可能性も高いので、
一概に動物園の手腕だけを責めるのは酷だとは思うが。
(あと1年くらいは母親と一緒に置いておいて=子ども扱いして、大丈夫と
見ていた、というような、そんな感じだったのかな~と推測)
それと、記事の、恐らく取材者の文章がそうなんだろうけれども、
以下んところはだいぶヘン。
>ゴリラの社会では通常、12歳以上の雄ゴリラだけが群れの中の雌ゴリラと交尾をする権利を持つとされており、今回Viatuはゴリラの社会のルールを完全に破ったことになるからだ
これは、記者がだいぶ誤解していると思う。
12歳以上のオスだけが云々、とあるが、
本来のゴリラの群れの形態は性的に成熟したオスは1匹だけなのだから、
権利を持つ持たないというような言い回しにはそぐわない。
強いて、権利を獲得する、に近い行動を言うとしたら、
その群れから元の大人オスを追い出すのが「ゴリラ社会のルール」となる、
といったような表現になるだろう。
この点、この描写に関しては、少なくとも
記者が単純に誤解しているのか、はたまたチンパンジーと混同しているのか、
そんなことがあるような感じに読み取れるのだが。
だから、
この飼育動物園が、子離れのタイミングを見誤っただけなのか、
それとも
ゴリラの群れの形態を、本来のゴリラのそれによらず
ニンゲン的な思い込みで
(男女はだいたい同数が群れを作ると思い込んで)
飼育していたがために起こったミスなのか、
正直、これだけの情報で読み取るのは難しい。
動物園側の、検査まで行う精密さからすると、
恐らく前者なんじゃないかなーと踏んでいるのだが。
さて。
.
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登録日:2008年 05月 31日 23:53:19
森のねだん
「アマゾン全体は500億ドルで購入可能」、英首相アドバイザーの発言がブラジルで物議
【5月27日 AFP】スポーツ用品メーカーHeadの経営者で、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相の森林破壊についてのアドバイザーでもあるスウェーデン生まれの富豪ヨハン・エリアシュ(Johan Eliasch)氏(46)が、ブラジルのアマゾン全体は500億ドル(約5兆2000億円)で購入可能だと発言しブラジルで物議をかもしている。
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(c)AFP
この金額の根拠がよくわからない。
言い値? っぽい感じなんだが、どうだろうか。
この件、一度ニュースクリップ ブログの方で簡単に紹介しているので
カメでも読める のてのて環境ニュースクリップ
AFPブログの方ではスルーしようと思っていたが。
ちょっとだけ触れたくなったので、以下少し取り上げてみる。
◆ ◆ ◆
記事のトーンがちと微妙というか誘導的なので
注意深く見ていきたいのだが。
>報道によると、エリアシュ氏は、熱帯雨林の保護のために自身が共同創設した自然保護組織クール・アース(Cool Earth)の責任者の地位を利用して、土地売買を促していたという。
これは、いわゆるナショナル・トラスト運動的な、
私有地にすることで開発から環境を守る、という手段での買い取りなのか、
それともそれ以外の目的による売買だったのだろうか。
続く、
>グロボに掲載されたブラジルの情報機関ABINの報告書によると、エリアシュ氏は「2006-2007年にかけて実業家らと会合をもち、その際にアマゾンの土地を購入するよう提案した。さらに、『わずか』500億ドルもあればアマゾン全体を買い取れるだろうと発言」したという。
からするに、どうもマネーゲームの素材として見ている、というのが
ブラジルの情報機関の分析のようだが。
◆ ◆ ◆
んでもって。
ここには、微妙な心理的な影響もありそうだ。
>これはブラジルにとって微妙な問題だ。以前にも、英国の政治家らが、アマゾンは人類にとって非常に重要なのでブラジル政府のみに管理を任せるべきではないとの声明を発表し、ブラジルが強く反発したことがある。
VS
>クール・アースは、英国や米国では一般的に評価が高い組織だが、一部では「グリーン・コロニアリズム(環境植民地主義)」とも呼ばれ、アマゾンの先住民にさまざまな問題を引き起こしていると批判されている。
環境保護の現場にいると、
この手のパターナリズム的なことを平気で行う欧米の活動家は
やはり目に付く。
それを考えると、たぶん
この批判は、それほど的外れではないものと思われる。
もちろん、
ブラジルが開発によってアマゾンの森林を切り売りしていることは
批判すべきだが、
同じことは
その森林を買っている(買っていた)ニホンやアメリカ合州国、欧米諸国の
各ユーザーに対しても、
同じだけの強さ、もしくはそれ以上の強い力で言っていく必要が
あると思う。
だいたい、需要がなければ供給も止まるのだし。
んでもって、そこには
貧乏な途上国につけこんで安い金で買い占めている、という構造も
あるわけだし
(そこで賄賂なんかで儲ける途上国のニンゲンがいることも
忘れてはならないが。コトは、強者と弱者というような
単純な二項対立の問題ではない)
◆ ◆ ◆
ところで。
05月31日 朝日新聞
森の多様性壊れると500兆円損失も 国際会議報告
http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY200805310075.html
森林の多様性、という言い方からもわかるように、
これはアマゾンだけに限定された数字ではないが、でも
そこでの「値段」の思考法の参考になるだろう。
確かに、
森林を買い取って、そこの森林を全部お金に換えてしまったら、
確かに一時的な儲けにはなるかもしれないし、
支払っただけのお金はすぐに回収できるだろう。
けれども、そこの森林が永続的に続いていたことで収穫できていた
さまざまな林産物(籐だとか香木だとか)の補償も発生する。
あるいは、
そこの希少種から難病に抗する薬を開発できたかもしれない可能性等を
金銭に換算してみた場合、
それは果たして金額がつけられるのだろうか。
ましてや、そこに暮らしている生物種を絶滅させてしまったら、
その償いはどうやってすればいいものか。
金銭に置き換えられないとしても、とりあえず(ムリムリでも)置き換えて、
絶滅から回復させるための研究費用を試算した場合、
どのくらい巨額の資金がいるのかは、想像できない。
さらに言えば、
温暖化問題の話題をするのが大好きなニホンで
多くのヒトがすぐに思いつくと思うのが、
森林の持つ、二酸化炭素の吸収源及びそのストックとしての価値だろう。
そうしたものを金銭に換算したらどうなるのか、そしてさらに
森林の出す酸素については、どうやって試算するのだろうか。
逆に、
二酸化炭素の排出による環境被害の補償も加えたら、
どうなることやら、という話だろう。
アマゾンの価値を考えた場合、
少なくともそういった金額を想定していけば、
とてもではないが大赤字になることは間違いないと思う。
その意味では、元からお金を求めない
ナショナル・トラスト的な、
保護区として維持していよーん、
という発想のもとにあるのであれば、まだわかるのだが。
ともあれ。
この発言者の言い分が、どこにあるのか、
AFPBBの記事のトーンがバイアスが強すぎてどうもわからないのだけれども、
少なくともこのくらい、と言い値をあっさり言うような行動は
すげー頭が悪いよなあ、とだけは言えると思う。
※:朝日の記事は<続きを読む>に収納。
.
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登録日:2008年 05月 31日 22:59:57
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- 山猫通信社 篠宮
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◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
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