薪・炭・エネルギー
【ナイロビ/ケニア 12日 AFP】世界銀行(World Bank)はナイロビ市内のスラム街キベラ(Kibera)において、炭廃棄物から作った豆炭を燃料として使うよう勧めている。
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(c)AFP/TONY KARUMBA
ここで触れられているタイプの豆炭についての資料が
なかなかないものの、
大枠ではこの路線は環境配慮性が高いものと判断したい。
ということで、
今日はこの写真を取り上げつつ、
「バイオマス」ということばをキーワードに、
エネルギー問題の初歩についてサクッと情報を共有したいと思う。
.
.
◆生物が由来のバイオマス・エネルギー◆
ニホンにいると実感しづらいことだが、
世界にはまだまだ、
木の枝や薪や炭、家畜の糞といった
生物由来のエネルギーの原料を主な燃料にして暮らしている地域も
たくさん存在している。
この生物由来のエネルギーの原料のことを「バイオマス」というのだが、
煮炊きする、暖を取る、明り取りなど、用途は幅広い。
というか、石油・石炭・天然ガス等とほとんど変わることなく
使うことができる。
木や家畜の糞などには炭素や水素が含まれているのだが、
それをエネルギーとして活用しているわけだ。
実際、ニホンでも
ほんの数十年前、高度経済成長で都市化が始まるまでは、
薪や炭がごく日常的に使われていた。
現在のニホン的な環境で暮らすとどうも
「石油がないと一瞬たりとも生きていけない」という
危機感を抱きがちだが、
現実的には、暖取りや煮炊きであれば
薪や炭のようなバイオマス・エネルギーは
大いに有効な手段となりうる。
説明にもあるように、炭の方が火が長持ちするので、
薪よりもさらにおすすめだ。
◆ローテクの長所は案外多い◆
さて、ここで出てきた豆炭は、いわゆる炭の一種。
説明中の原料、「炭廃棄物」がなかなか判断しづらいのだが、
廃棄物の中身に石油などの化学製品の混在の恐れがなければ、
有毒ガス等の発生の心配はないだろう。
(とはいえ、ケニアのナイロビといえば、アフリカきっての大都会。
その原料に半端な処理のされた化学製品が混入しないかどうか、
実は少々心配なのだが)
しかし世銀が、どうして
石油や天然ガスのような化石燃料の使用と
そのインフラ整備ではなく、
比較的ローテクともいえる豆炭をすすめているのだろうか。
それはずばり、ローテクだから、だろう。
石油やガスのようなものは、
何やかやで大掛かりなプラントやら加工やらが必須となる。
それには、ある程度まとまった資本も必要とし、
インフラも大掛かりなものとなる。
炭のようなバイオマスの場合、
それほど大規模な仕掛けは必要ない。
発電所のような大きな箱物もいらない。
◆バイオマスと化石燃料の最大の違い◆
もうひとつの利点は、環境汚染の度合いの低さだ。
化石燃料の場合、加工のしやすさなどは確かに効率がいいのだが、
二酸化炭素のほかに硫黄酸化物、窒素酸化物等、
諸々のガスの発生が大気汚染を引き起こす。
地球温暖化にも、拍車をかける。
バイオマスの場合、
確かに二酸化炭素は排出される。
そこで。
たとえば木質バイオマスの場合、
使った炭の分だけ二次林を植えてきちんと整備をすれば、
木々は二酸化炭素を吸収しながら成長していく。
つまり、循環が成立する、というわけだ。
二酸化炭素排出のプラスマイナスをトントンにすることも
(理論上は)可能だ。(※1)
事実、ニホンでも、高度経済成長の初期頃までは
「里山」を整備し、薪を取ったり炭を焼いたりしていた。
里山はきちんと人手が入り、
長くながく、循環して使えるようにしてきていた。(※2)
今ではそれも、難しくなってきているのだが。
さて、化石燃料の場合、
一度掘り出して燃やしてしまうと、
またそれを空気中から取り戻して土に還す、
ということは非常に難しい。
一方通行・ワンウェイ。
循環するような仕組みは、ここには存在しない。
これらの話は、目に見えないので
なかなか実感がしづらいかもしれない。
とはいえ、二酸化炭素の排出抑制という観点だけから見ても、
バイオマス利用はかなり将来性の高い技術の一つと見て然るべき。
ちなみに、
各地で燃料取りのための森林伐採による沙漠化、
という話があるのは、
過剰な燃料(木材)の採り過ぎと、
伐採後をほったらかしにすること、
何より人口過多といった点が重要な問題だ。
さらに、原生林と二次林といった点も
視野に入れて考える必要がある。
だから、
バイオマス・エネルギーそのものを必要以上に悪く考えることは
何もない。
一見、ローテクだったり過去の技術だったりするものは
環境負荷が大きいのでは、という先入観を抱きがちだが、
そうではない技術もまた多い。
新しいモノや最新の科学技術を、思考停止して有難がる前に、
先人の知恵をもう一度検証してみる習慣は
身につけておきたいもの。
◆いろいろあるぜよ、バイオマス◆
ニホンで暮らすわたしたちの場合、バイオマスということでいえば
バーベキューなどで使う炭や
薪ストーブあたりが一番イメージしやすいだろうか。
もっとも炭の場合、出所の森林が実は海外の貴重な原生林だった、
という逆の悪例も多いため、
どこの森林から来ている炭なのかの確認は必須だ。
こうした木質バイオマス以外にも、
集合住宅で生ごみ発電に取り組む例や、
個人でトイレの肥尿・メタンガスを集めて燃料に、
ということをやっている人もいる。
サトウキビからエタノールを取り出して車の燃料として使う
などの例もある。
これらはバイオマスというよりも、
廃棄物のエネルギー利用としての注目度の方が高いかもしれない。
ニホンの山林が荒れていることと関連づけて、
里山の整備という観点から炭焼きを行うボランティア活動も、
各地で増えてきている。
その炭にきちんとした需要が付けば、
エネルギー問題の改善に加えて里山の整備にもつながっていく。
エネルギー問題は温暖化やその他様々な課題と複雑に絡むため
何かと難しく思われがちだが、
バイオマス利用はひとつ大きな手法として考えていい技術だ。
※1:もちろん、温暖化の原因は二酸化炭素だけではないので、ここで植林だけを過剰に持ちあげる、という単純な期待の押し付けは避ける方が懸命。
※2:里山の整備により二次林と原生林のすみ分けができれば、原生林を伐る等の余計な森林破壊も起こらない、ということもついでに指摘しておく。
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登録日:2006年 03月 08日 22:21:56
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