「やさしい」のまやかし

庶民の足、自転車から「環境にやさしいスクーター」に - 中国

【上海/中国 18日 AFP】上海では多くの人々が伝統的な交通手段であった自転車を手放すにつれ、スクーターが人気を集めつつある。上海市政府は最近、環境保護の観点からガソリンを燃料とするスクーターを禁止した。街中では液化石油ガス(LPG)、もしくはバッテリーを燃料とするスクーターのみが走行可能である。写真はLPGを燃料とするスクーター。(c)AFP/Mark RALSTON

AFPBB News


確かにLPG車の方がガソリン車よりも環境負荷は少ない。

でも、自転車の方がもっと少ない。

まあ、ガソリン車が主流、
そして自転車道の整備の遅れているニホンより、
一面ではましなのかな、とも思いながら。


と、いうことで、この写真を導入部に、
(写真テーマへの批判ではなく)
「環境にやさしい」ということばの欺瞞性について、
力いっぱいうんざりしている、という話を軽く述べていく。
.
.

◆あくまでも良く出来たキャッチコピー、のレベル◆

'90年代に入り
ようやく環境問題なるものがニホンで広く認知され始めた頃には、
この「地球にやさしい」もしくは「環境にやさしい」
というキャッチコピーもそれなりにインパクトがあった。
なんせ、やさしさを振り向ける対象が
人や動物といった生きものではなく、
抽象概念である「環境」や具体的な生命体ではない
「地球」なんだからして。

だから、当時の、環境がブームになり始めの頃のコピーとしては、
これは新しいイメージがあった。

では、その「やさしさ」とは一体何なのか。

それを考える前に、まずは基本的な課題を洗い出してみよう。


環境問題、いや正確には環境破壊問題において
どのような対処が望まれるのだろうか。
抽象的な回答としては、
ニンゲンが環境破壊を止めること、であり
これまで破壊の行われた環境を回復させること、であり
さらに今後も環境破壊を行わないようにすること、である。
まあ、非常に大雑把にまとめれば。

では、
環境破壊を止めるなり、
破壊後の回復を図るなり、
今後の予防措置を取るなりということをするためには、
何が必要なのか。

これも簡単に挙げていくと、
それぞれの問題について、きちんと事実を把握すること。
科学的な観点から、その対処策を見つけること。
それも、複数の手段を考慮し、比較検討すること。
その際、疑似科学に惑わされないこと。
さらに、まだ環境破壊につながるかどうか判断のしかねる
ケースについては、
さしあたっては予防措置的な手段を優先すること。
どうしても破壊を伴わないと暮らしが成り立たない、といったような場合は、
「環境負荷」を最大限減らすよう努力すること。
更にこの点についても、
その「成り立たない」が本当かどうかの検討を
しっかりと行うこと。
そんなあたりだろうか。

これらそれぞれの課題について、
具体的な手法を一つずつ検討していかないといけない。

たとえばAという手法では
二酸化炭素の排出は削減できるがオゾン層を破壊する、
といったように、優先順位を迷うような対応策も
正直、いっぱいある。

それを、一つひとつ、丁寧に見ていかないといけない。
乃至は、そうしている団体や研究者を、きちんと支援して
支えていかないといけない。

つまり、
「環境配慮のための行動」や「環境破壊をしない暮らし方」を
冷静に考えた場合、
やさしいかどうかを気にするよりも、
「環境負荷が多いか少ないか」を判断基準に据える方が、
はるかに現実的、ということだ。


◆「やさしい」は簡単に買えるものか◆

さて。
かつて、「地球にやさしい」だか「環境にやさしい」という
コピーで売り出されたヤシ油を使った洗剤、があった。
きっと今も売られていると思う。

でも、その原料となるヤシ油を作るために、
非常に広い面積の熱帯の原生林が皆伐され、
その後に原料となるアブラヤシが植えられた。
植物性だから、それなりに害は少ないかもしれない。
(実際には、相当きつい農薬を撒くので、
現地の土壌汚染や農業者への農薬汚染、
製品に残る残留農薬問題など、そうも言い切れない)
けれども、その「やさしい」はずの洗剤は、
原生林の消滅やそこに棲む多くの生きものたちの死と引き換えに
成立している。

事実として、このような森林破壊がたくさんなされている。
マレーシアで、そしてインドネシアで。
(参照:サラワクキャンペーン委員会のサイト
http://www.kiwi-us.com/~scc/
のニュースのバックナンバーページや、
サラワクの森・街・ひと サイトの
http://wing.zero.ad.jp/~zav39473/index.html
こちらのページ
http://wing.zero.ad.jp/~zav39473/oilplam.htm
がオススメ。ヤシプランテーションの空撮の写真は貴重。
(こちらの管理人さんの環境ワークショップは見事! 大推薦)


ちなみにこの、東南アジアのアブラヤシから搾られたヤシ油は、
洗剤のほか、シャンプーにもチョコレートにも、
いろいろと使われている。
しかも問題は、それに替わる明快な代替品
(というか、代替原料ですな)が
なかなかないことだ。


なーんも知らないでいることは、
「地球に(環境にでもいいが)やさしい」の煽り文句に
踊らされて、
そのイメージを消費していくだけ、に終わる。
「地球に(もしくは環境に)やさしい」自分に満足しながら
結局は破壊の片棒を担ぐ、
といったブラックジョークを地でいく生活をすることにも
なりかねないわけで。


あるいは、オール電化の「やさしさ」も。

自然エネルギーのエントリで述べたように、
 http://www.actiblog.com/yamaneko/3673
オール電化を導入するよりも、
まずは節電が先だろう。いくらなんでも。(※1)


◆「やさしい」のイメージで満足し、思考停止していないか◆

ここで「やさしいか、やさしくないか」を決めるのは、
誰なのか。
洗剤を作っている会社なのか、宣伝している広告代理店なのか、
商品を選び、買う自分なのか。

古紙配合率○○%のような数字とは違い、
「やさしい」には明確な基準も統一見解もない。


それでも、「やさしい」や「やさしさ」はもてはやされる。

やっぱり、正義の自分をイメージできることは、
気持ちがいいからだろうなぁ。うん。
誰も、環境破壊の加害者たる自分、という暗黒イメージは、
嫌だろうし(含む自分)。

ああ、今日もつい面倒で電気消さなかった、節水しなかった、
と自己嫌悪に陥るよりも、
エコペーパーを買ってすっきり、という方が楽なことは確か。


でも。

「やさしい」自分に金を払っている暇があったら、
どうしたら環境負荷の少ない手法があるのか、
今買おうとしているその製品がどんな原料でつくられていて
どこからどういった流通で手元に来ているのか、
面倒でも知ろうと努力しよう、という気持ちも
必要なんじゃあなかろうか。
ほんの、ほんのもう少しだけ、自分に厳しくなって。


※1:そもそも電力消費を拡大する構造に加担する「オール電化」はどこが「やさしい」のかすら疑問。家で石油ヒーターを使うと出る排気ガスは嫌だが過疎地の発電所で排気ガスを出すことは別にいい、というような問題か? 

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登録日:2006年 03月 19日 23:08:12

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