木を植えればそれでいいのか

国際女性の日 国連食糧農業機関に抗議 - ブラジル

【ポルト・アレグレ/ブラジル 10日 AFP】農民の道(Via Campesina)運動に参加する女性たちおよそ200人が国際女性の日(International Women's Day)の活動の一環として、ユーカリと松の木の単一栽培が砂漠化を招いているとして、ユーカリの種子の遺伝子組み換え研究施設を占拠、破壊した。
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(c)AFP/JEFFERSON BERNARDES

AFPBB News


ここまでストレートに「植林の悪」を押し出している話は
なかなかなくって、素直に感心。

と、いうことで、
今回はこの写真に述べられているような、
人びとに貧困をもたらすような植林システムについて、
少し触れてみる。
.
.

◆環境復元の植林ではなく「木の畑」づくりの可能性◆

まず、写真の説明に、
そもそも元の生態系がどういったものなのか、
といった指摘がないのが残念だが、
地元の人がこれだけ真剣に反対している場合、
元の生態系とは全く縁のない樹種が植えられてしまっていることが
推測できる。

というのも、
ユーカリの単一植林など、
植林という名の「プランテーション化」の問題は、
1990年代から世界各地で言われてきているからだ。

たとえば、
タイの山奥などでは、
元々ある貴重な原生林を全て伐り払い、
わざわざユーカリを植える、というようなことをやっている。
(ちなみに収穫後はニホンに輸出するのでは、と言われている)


どうしてこれらの問題が生じているのか。
それは、やっていることが環境緑化などではなく、
林業生産物の生産という利益追求型の事業だから。(※1)
ユーカリを植えて伐って売る、儲ける。
元の自然なんか知ったこっちゃない。
こういう構造だ。


◆本来そこにあるべき生態系はどうなのか、の視点◆

またこのブラジルの例に限らないが、
その地の森林が失われてしまった場合、
元の環境を修復するという視点に立てば、
何が何でも緑色のもんなら構わない、という発想は
出て来ないはずだ。普通。

その森林で失われてしまったのは、
そこに立っていた樹木だけではない。
その樹木にまつわるコケや虫やトカゲや鳥や、
それらを糧とする動物たちもまた、
居場所を失ったわけだ。

何でもいいから樹を植えたところで、
元いたコケや虫やトカゲや鳥やらが戻ってくるとは限らない。

それに、元々希少な樹種だった場合、
植林してもすんなりと育つかどうか。
失われた樹種の種を探すところから始まり、
実験して、失敗も経験して。
その樹が改めて根付いたかどうかの確認は、
何年後かのことになる。
それが森に育つまでは、さらに何十年か後になる。


伐ったらその分植えればいい、というのは
ニホンの里山の事例のように、二次林にならば言えるが、
原生林については環境破壊の恐れが高すぎる。


◆思考停止が破壊を招く◆

とりわけ1997年の地球温暖化問題のブーム化以降、
植林の善といったイメージの浸透ぶりは、不思議なほど大きい。

そのイメージに便乗するかのような、
「木を植えればいい、二酸化炭素を吸収してくれるわけだから」
とでも言うような単純な発想で、
じゃあ、どうせなら金になる木を植えよう、となるのが、
近年の植林への熱意を支えている(部分もある。もちろん全てが、
ではない)。


ちなみに
ゴムの木にせよ、製紙原料のユーカリにせよ、
ヤシの実洗剤になるアブラヤシの植林にせよ、
(前のエントリ参照:http://www.actiblog.com/yamaneko/4125)
その土地に植えて事業としてやっていくには、
土地の大量の収奪と、
その土地本来の生態系の一掃が前提となる。
そうでなければ、儲からない。

本当に、畑を作るのと全く一緒なのだ。
カタチがでかくて木なだけで。


全ての植林が悪い、と言うつもりは毛頭ないが、
植林だから何でもいい、という思考停止をやめないことには、
新たな破壊に手を染めることにもなりかねない。


そしてまた、
そういった環境破壊型の林産物から出来ている製品、
紙にせよ家にせよ食べものにせよ、を
購入することは、
そうした環境破壊型の産業構造を支えることに
つながっていく。

緑だけではない。
ここで植林をするなと闘っている女性たちを
さらに窮地に追い詰めることにもなっていく。


知ること。調べること。きちんと選ぶこと。
そういった商品は買わないと売り手やメーカーに適切な提案をすること。
たった一人でも、ただの消費者でも、
できることは、結構あるはずなのだ。


◆参考;おすすめの読みもの◆

尚、少し昔の記事だが、
京大ユニセフクラブ
http://www.jca.apc.org/unicefclub/

http://www.jca.apc.org/unicefclub/research/2000_oda/oda_7.htm
の記事は簡潔でわかりやすい。


※1:全ての林業生産が悪いとも、利益追求があかんとも言う気はない。あくまでも、環境破壊を前提にしないと成り立たない産業構造についての話。林業であるなし、ではなく。

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登録日:2006年 03月 23日 16:56:08

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