他人を責めるのは楽なのだ~森林問題について
インドネシア、森林伐採が一因で世界第3位の二酸化炭素排出国に
【12月28日 AFP】インドネシアの広大な森林地帯は長い間、政府や企業によって膨大な利益を生む資源と見なされ、乱伐されてきた。
森林伐採は広範囲に広がり、その結果、同国は世界第3位の二酸化炭素排出国となるに至り、スマトラ(Sumatra)やボルネオ(Borneo)などの島々では毎年のように森林火災が発生するようになった。(c)AFP/Ahmad ZAMRONI
海外の森林破壊の情報に接した場合、
よく、その土地のヒトタチだけを責めている場合が見受けられるんだけれども、
ことインドネシアやマレーシア、はたまたパプアニューギニアやソロモン、
また古くはフィリピンなどに関しては、
わたし・たちニホンジンも同じ穴の何とやら、だ。
と、言うよりも、ニホンはそれ以上に悪質なクライアントであったりする。
◆ ◆ ◆
このインドネシア、写真はスマトラ島のリアウ州とのことであるが、
そこで伐られた木の多くがニホンにやってきている。
ソースはこちら。
熱帯林行動ネットワーク、当該情報のページ
http://www.jatan.org/ipp/index.html
ウェブ上のデータはやや古いものの、
熱帯林行動ネットワークではだいたい毎年1、2回は現地に行っている。
今年もこの件についての学習会が行われるなど、
(そのときは2007年3月訪問の最新データに基づいて報告された)
状況的にはあまり好ましい変化は見られない模様。
一部の企業が
インドネシア材パルプのコピー用紙の取り扱いを止めていたり、
具体的な代替品にはどういうものがあるかなど
(再生紙100%コピー用紙の紹介や
「環境負荷の少ない製品」であることを第三者が認証したマーク
のついた製品を買うことを提案するなど)
の情報がわかるので、
インドネシアの森林について、嘆いている暇があったら
これらの情報を入手して、
「ニホンにいてもできること」をさっさと開始したほうがいい。
◆ ◆ ◆
インドネシアの原生林は、何も紙になっているだけではない。
それ以外の「モノ」としても、
ニホンにたくさんたくさんやってきている。
写真説明にも出ていたボルネオ島は、
北3分の1がマレーシア領、南の広い方がインドネシア領だが、
この島からも原生林が伐られ、ニホンに木材として輸出されている。
その昔、1980年代はむしろマレーシア側からの輸出(伐採)が盛んだったが、
その頃の最大の得意先は、我がニホン国。
しかも、質の良い原生林(木材)が枯渇してきてから、
伐採の比重はインドネシアにシフトしていった。
と、いっても、今でもマレーシア側もまだ伐採は続いているし、
それに伴う環境破壊は続いている。
で、それらは紙の原料というよりも、
建築用の用途が一番の目的。
80年代から90年代のニホンの様相といえば、
知っているヒトは知っているとおり、バブル時代の真っ盛り。
コンクリート打ちっぱなしのオシャレなビルが
どんどんと建てられていた時代だ。
そのコンクリートを流し込んで固める「型枠」、コンクリートパネル(コンパネ)、※
その原料の出所を辿っていくと、
実はマレーシア、インドネシアの原生林だった、というわけだ。
ちなみに、このコンパネ用材をニホンの森林で代替すると、
コンパネの値段がとんでもなく跳ね上がるので、
なかなかシフトは変わっていかない。
一部、がんばっている例もあるけれども、
全体の流れとしてはごく一部に留まっている。
けれども、もしもニホンの材であれば、
それらはほとんどが植林木からの調達になると考えられる。
植林木を適度に使うことによって逆にニホンの人工林の健康度が保てる、
より環境配慮型の森林経営がなされる、という循環も生み出せる。
でも。
海外から、やってくる材の方が、
安 い ん だ よ ね ぇ
と、いうことだ。
インドネシアやマレーシアの森林は、このコンパネのほか、
建築の内装材や床材、また家具などにも結構使われている。
家具などは、直接ニホンに輸出するのではなく、
一度中国などに材として出荷され、そこで組み立てられ、
さらにニホンにやってくる、といった例も多い。
◆ ◆ ◆
現地の森林がなくなることで、
たとえばオランウータンやスマトラサイやアジアゾウの亜種が
絶滅の危機に追いやられていることや、
沈香などの林産物の品質が落ちて
今後手に入れられなくなるのではないかという不安が高まったりという、
生物多様性やその他諸々の課題は
このブログでも時折エントリとしてあげてきた。
ので、今回はそれらの背景は端折ることにする。
(参照は左の「森林」「種の多様性」「絶滅危惧種」等のタグで)
また、このブログではこれまであまりフォローできていなかったけれども、
こうした森林伐採や「開発」というものが、
現地の人びとに対してどのように作用してきたのかと言えば、
あまり好ましくない変化がたくさん起こった、ということが挙げられる。
普通、こういう環境vs経済発展、という図式で見ると、
現地人は儲けている、という目線になりがちだが、
なんてことはない、
儲けが落ちるのは現地の一部の有力者や政府関係者たちだけで、
多くの庶民、特に先住民族など政治的に周辺に追いやられている人ほど
割を食っている。
自分が80年代後半~90年代にかけて
こうした情報を知ることができたのも、
現地で暮らす先住民族が
「森林伐採によって原生林が破壊され、
自分たちの生活が営めなくなった、
それどころか健康被害や死亡事例すらある」
ということを、必死の思いで世界に情報発信をして、
それをマスコミがある程度きちんと取り上げてくれたから、でもある。
今、報道はパッタリと止んでいるけれども、
こうした状況は別になくなったわけではなく、
マスコミが飽きたから報道されなくなっただけのこと。
この写真記事のタイトルもそうだが、
今は「温暖化」がらみでないとマスコミはなかなか取り上げることをしない。
それはさておき。
◆ ◆ ◆
と、これ以外にも
70年代にはフィリピンの森林を同じようにして丸裸にして
ニホンは高度経済成長の仕上げをしていたとか、
マレーシアやインドネシアでは木材の商業伐採が入ることによって
今度は跡地をアブラヤシプランテーションとして開発して
環境破壊の悪循環をつくりだしていたりとか、
いろいろなハナシがあるんだけれども。
まあ、年末にあまり暗いハナシを続けてもしゃーないから、
とりあえず
他人を責める前に、その根本の原因がどこにあるのか、
需要と供給の構造を見ないで一方だけに原因を押し付けていないか、
といったことをもっときちんと見ることのできる目を養ったらどうじゃろか?
とだけ提案をしておく。
見る目を養う、だなんて、新年の抱負にもちょっと使えそうな言い回しだし。
※:現在では、このコンパネの一部には中国やロシアといった材が使われていて、これまた現地の森林破壊を招いている可能性が高いということで問題になっている。
(今回時間に余裕がないので、当ブログの過去エントリや他社報道記事リンクの整備は、おいおい暇を見てやっていく、予定……すまん)
.
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登録日:2007年 12月 28日 23:06:16
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