ペンギンとトウモロコシ
【1月19日 AFP】オーストラリアはこのほど、南極圏のケーシー(Casey)基地近くに、ウィルキンス(Wilkins)滑走路を建設した。航空路線を確保したことで、豪科学者は地球温暖化に伴う影響の研究体制を拡大するという。
同滑走路は氷の上に建設され、毎年夏には同国タスマニア島ホバート(Hobart)から20-30便が就航する。(c)AFP
南極→温暖化の影響がでかい地域→温暖化対策としてバイオマスはどう? てな
連想ゲームをしながら。
写真は、南極の氷の上にいる、小さな小さなペンギンたち。
写真を拡大しないと、ペンギンがいることなんてわからない。
んでもってこの氷の造形が、とても気になる。
まるで、波が盛り上がってから落ちる、その瞬間のような形に見えるので。
さて、取り上げたいのは写真のハナシではなく、
こちらの報道。
1月22日 WIRED NEWS
「トウモロコシは最悪」26種のバイオ燃料のエコ効果を分析
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/life/science/2008news1-15396.html
(本文は<続きを読む>にも収納)
この間、読売の記事だったか、
バイオマスエネルギーのバイオを「植物性」だと勘違いしている
記事をみかけたが、
バイオエタノールやバイオディーゼルの「バイオ」とは、別に植物に限らず、
「生物由来の」というのが本来の趣旨。
牛糞を煮炊きの火力として使うことなども、立派なバイオマスエネルギーだ。
この記事の見出しにあるとおり、バイオの検討対象が26種類もあることに
驚くヒトも多いかもしれないが、
かなりいろいろなものがエネルギーとして活用できる。
結論を言ってしまうと、
だから「バイオだから良い(あるいは悪い)」
と単純化してしまうことは
問題解決という観点からするとお門違いなことで、
こうした比較記事を参考にしながら、その地域にあった取り組みを
採用していくことが一番好ましい、というわけだ。
いつもこのブログで言っていることなんだけれども。
記事では、
>最も優れたバイオ燃料は、リサイクルされた食用油と、草および木由来のエタノールだった。(改行)逆に、最悪のバイオ燃料は、ブラジルの大豆、マレーシアのヤシ油、米国のトウモロコシから作られるもので、これらはすべて、それぞれの国でバイオ燃料プログラムの中心となっている。
これ、前者は地域密着のバイオマス、
後者はプランテーションなど大量生産して遠方から運んでくる
グローバリゼーションに則ったバイオマス、
と見るとわかりやすい。
前者の具体例は、
たとえば国産の間伐材(端材、間引いた木材)を薪にするとか、
そういうものがイメージできる。
近県のものなら、輸送のエネルギーも減らせるから尚いいだろう。
後者の、ヤシ油のプランテーションについては、
このブログでもさんざん言ってきたとおり。※
これらを一緒くたにして「いい」「悪い」と判断するわけにはいかない。
南極の氷の美しさを維持できるか、
ペンギンが種として生きながらえることができるかどうか、
ということも、
わたし・たちがどのようなエネルギーを選択するか、にかかっている。
だから、そのエネルギー源はどこから来ているのか、というところにまで
きちんと目を向けないとね、ということで。
※:一応、関連しそうな過去記事をざくっとリンク。
2006年11月12日 誰がオランを追いやったのか
2007年 2月13日 オランウータンが絶滅しても、わたしは二酸化炭素の排出量を減らしたいんです
2月26日 バイオといってもピンきりだ
9月17日 まさかと思うけど、アブラヤシとココヤシを取り違えていないよな?
12月5日 森を潰して油をつくる、というハナシ
.
<続きを読む>
1月22日 WIRED NEWS
「トウモロコシは最悪」26種のバイオ燃料のエコ効果を分析
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/life/science/2008news1-15396.html
Brandon Keim
バイオ燃料はどれも同じというわけではない。そして、主要なバイオ燃料生産国は、最悪のものを作り続けている。
スミソニアン熱帯研究所(STRI)の科学者Jorn Scharlemann氏とWilliam F. Laurance氏は、1月4日付けの科学雑誌『Science』誌に、スイス政府によって委託された研究の結果を掲載している。これは、26種のバイオ燃料用農産物を対象とした分析だ。
定義からすると、バイオ燃料は化石燃料の使用を削減することになっている。しかし、原料となる作物を栽培し燃料に加工する過程を考えると、バイオ燃料の種類によっては温室ガス削減効果が低いことが分かっている(日本語版記事)。
つまり、原料となる作物を育てる農地を確保するために森林を伐採することで、大気中の二酸化炭素量が増加する可能性がある。さらに、農産物が胃袋でなく燃料タンクへと流れるにつれ、食料価格も上昇しているのだ。
今回の調査では、温室効果ガスの排出量と環境への影響に基づき、それぞれの農産物のメリットを算出した。最も優れたバイオ燃料は、リサイクルされた食用油と、草および木由来のエタノールだった。
逆に、最悪のバイオ燃料は、ブラジルの大豆、マレーシアのヤシ油、米国のトウモロコシから作られるもので、これらはすべて、それぞれの国でバイオ燃料プログラムの中心となっている。
ただし、Scharlemann氏とLaurence氏は、今回の調査の問題点も指摘している。この調査では、バイオ燃料が食物価格に与える影響を無視している(もし考慮した場合、ヤシ油とトウモロコシの評価はさらに低くなるだろう)。また、いわゆる第2世代のバイオ燃料(ガス化やフィッシャー・トロプシュ法などの熱化学的変換によって生成される)を見過ごしているという。それでもなお、この調査は信頼できるもので、取り上げる価値が十分にある。
各国政府は、補助金や税制優遇策を通じてどのバイオ燃料用の農産物を支援するのかについて、もっと慎重に選ぶべきだ。たとえば、米国のトウモロコシ生産に対する数百億ドルの補助金は、費用対効果の点から見ると非合理的で、奨励とは逆の効果になっていると思われる。
トウモロコシ業界に優しいBarack Obama上院議員(民主党、イリノイ州選出)が大統領選挙に勝利したら、この話を彼に伝えてほしいものだ。
Science誌の記事「バイオ燃料は環境にどのくらい優しいのか?」(pdfファイル)と、『EurekAlert!』の「スミソニアン研究所の科学者がバイオ燃料による環境への影響を浮き彫りに」(プレスリリース)を参考にした。
WIRED NEWS 原文(English)
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登録日:2008年 01月 23日 23:12:59
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