記事にドラマを求めるな

「家庭的な父親」か「冷酷な殺人者」か、イラクで混在する2つの現実

【1月28日 AFP】イラク・バグダッド(Baghdad)南西部のシーア(Shiite)派居住区、Al-Aamelで21日朝、駐留米軍の兵士が一軒の民家に突入、この家に住むJawad Kadom al-Raizi(52)を射殺した。
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(c)AFP/Herve Bar

AFPBB News


殺された人間の属性どうこう、以前の問題かと。
被疑者が「家庭的な父親」だったのか、
それとも「冷酷な殺人者」だったのか、
あるいは家庭的云々は世を忍ぶ仮の姿だったのか、
はたまたまったくの濡れ衣、冤罪で射殺されたのか。
死んでしまえば、そんなこと証明のしようもない。たぶん。

AFPの記事は
その両方を持ち合わせたニンゲンの二面性という
三文小説のような見出しと結びでミスリードしているが、
要はこれは「殺人事件の容疑者」を
逮捕も裁判もなく軍人が問答無用で射殺したという、
野蛮な戦争犯罪を示しているに過ぎない、ということだよな。

殺された人間の属性を分析するよりも、
殺したニンゲンどもの立場や考え方をもっと掘り下げた方がよくないか、これは。


逆に、
イラク国内の惨状を考えるにつけ、
「家庭的な父親」が家族を守らんとして殺人を犯したのかも、というふうに
空想を膨らませて想像してみると、
その人が妙に人間的な人に思えてくる。
もちろんこれは、あくまでも自分の空想の中で完結していることで、
殺されてしまったJawad Kadom al-Raiziさんがどのようなパーソナリティの人だった
のかまではわからない。


まさに、死人に口無し。
本人には弁解することすら、できやしない。

それどころか、米軍の冤罪のひとつとして疑ったほうが無難かもしれない
ケースのようにも思える。

百歩譲ってそれはあまりにもイラクに寄り過ぎの見方かもしれないとしても、

>米兵たちがドアを破って家に押し入ってきた。やつらはまっすぐ両親の部屋に向かっていった。父は、母が着替え終わるまで部屋に入ってこようとする米兵を食い止めようとしていたが、卑劣な連中は父の頭を3回撃った

と、殺人の被疑者を(おそらく)何ら問い糺すこともなく殺しているわけだから、
普通に戦争犯罪だよな。
これを読む限りでは、人違いで殺していてもおかしくないシチュエーション
とも思える。


フランスの通信社としてはずいぶんと米軍寄りの記事の出し方で、
少々首を傾げてしまった。
てか、ドラマチックな二面性云々を言いたいという記事のつくり
(>家庭的な父親と武装グループのメンバー、食い違う2つの人物像を持つという状況は、以前からイラクで典型的なケースとなっている。)
のあざとさが鼻について、
ちとげんなり。
さすがにこの結論を記事にしたいからと
適当に事件を見繕った、わけではないだろうけれども。

ともあれいいかげん、ただの報道にドラマや盛り上がりを求める癖は
止めたほうがいいと思う。

コレは別に、AFPに限ったことではないが。

.

カテゴリー[ 戦争と平和 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 01月 29日 15:07:56

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