助かっても、なおも険しい道のりが
オランウータンを自然に帰す 密輸に対する小さな反撃 - タイ
【ラチャブリ/タイ 23日 AFP】タイに密輸入されたオランウータン50頭以上がバンコク(Bangkok)の動物園から回収されジャングルに戻された。野生動物の密輸に対する小さな勝利ともいえる。密輸から2年間、見物客が写真撮影をしたり面白そうに笑ったりする間、オランウータンは見世物として互いに殴りあうショーをさせられていた。写真は21日、バンコク西部のラチャブリ(Ratchaburi)にあるKhao Pratap Chang野生生物保護区域の檻の中で抱き合う、密輸されたオランウータンのカップル。(c)AFP/PORNCHAI KITTIWONGSAKUL
まずは、写真キャプションの勘違いの訂正から。
カップル、とあるが、写真のオランは恐らく子ども。
夫婦・つがいなど性的なつながりの一組ではない。
し、オランウータンは、ニンゲンのようなつがい概念のない
生殖を行う。
暮らし方そのものも、群れを作らない。
雌雄別々、単独行動が基本のオランウータン。
カップリングが行われるのは交尾時だけ。
では、どうしてこの二匹が抱き合っているのか。
それは、オランウータンの体の構造、及び
暮らし方に基づいている。
オランウータンは、完全な樹上生活者である。
暮らしも、体も、そのように進化してきた。
かつて、ボルネオ島の森林が豊かであった頃、島の端から端まで、
オランウータンは一度も木を降りることなく
行き来することができた、
と言われている。
つまり、手も足も、木の枝を摑まえたり樹上を移動するような
体になっているのだ。
オランウータンが地上に降り立つときというのは、
本当の非常事態に限られる。
本来は。
さらに、オランウータンの母子密着の時期は非常に長い。
離乳が3年くらいといわれている。
(さらに、離乳後も6、7年くらいまでは母子で一緒に暮らす)
特に小さいうちなどは、
母親にしっかり摑まって移動するのが常。
(これは、他のサルたちにも多く見られる特徴だったりする)
つまり、写真の子どものオランウータンは、
母親に摑まることができないからこそ、
こうやって同類の子どもと一緒にくっついているしかない、
わけだ。
しかもよく見ると、左の子どもは、
鼻が潰されている。
どれだけの虐待を受けたのだろう。
キャプションでは「殴り合いをさせた」とあるが、
想像すると、胸が潰れる。
(今回はやや長いエントリなので、以下は追記にて)
.
.
◆
さて、オランウータンという名前だが、
これはご存じの人も多いかもしれないが、
マレー語(マレーシア国の公用語)で「森の人」を意味する。
オランが「人」で、ウータンが「森」だ。
自分が大阪時代から関わってきた
環境NGO「ウータン・森と生活を考える会」も
この「ウータン」から会の名前を頂いている。
(ちなみに大阪のウータンは、
オランウータンの保護というよりも、
その生息環境である森林保全を主たる活動の目的としている。
オランの棲む熱帯林を中心に、世界の原生林が対象)
◆
最初にこの写真をみたとき、
てっきりペットとしての販売目的の密輸かと思ったら、
関わっていたのが動物園だと聞き、更に怒りが!
本来ならば野生生物の保護・保全の第一線で活躍しても
おかしくはない専門家集団である動物園たるものが、
率先して絶滅危惧種であるオランウータンの数減らしに
加担するとは。
大バカモノたちの集団だ。
◆
オランウータン(以下オランと略)は希少種でもあるから、
その一切の狩猟は禁止されている。
(狩猟されたとすれば、それは当然全て密猟となる)
ちなみに、そうやって狩られた1頭のオランの背後には、
生き延びられなかった……狩猟の最中に殺された……オランが
数頭いるものと推測されている。
オランの赤ん坊はかわいい。実に、かわいい。
だから、オリエンタルなペットとして需要はある(らしい)。
密猟者も、基本的に赤ん坊狙いで狩りをする。
その際、母オランは殺してしまう。
たぶん、売り物にならない、ということで。
だもんで、まずここで2頭のうち1頭が殺される。
さらに。
母から引き離された子どもが、そのまま生き延びられるか
というと、それも難しい。
狩猟時に受けた何らかの傷や、
さらに母を失ったという心的外傷と推測される理由から
(異種への過度の擬人化は注意が必要だが、
現時点ではこの推測はそう的外れではないとされている)、
狩猟時には無事であっても、売られる前の輸送の段階で
命を落とす子どもも多いという。
このように、ここで保護された密猟オラン50頭の背景には、
望まずに命を絶たれたオランたちがその3、4倍はいるものと
考えるべき。
希少種だというのに。
全く、何てこった。
◆
さて。無事に救出されたこのオランたちも、
自然に帰るのはものすごく大変だ。
オランのような高等類人猿ともなると、
一度ニンゲンに飼われた経験が邪魔をして、
自然に戻ることが非常に困難となる。
幼いうちに母親から引き離され、
野生で暮らす術を教わるべき時期に、
四角いコンクリートの檻の中に押し込められたり
あるいは高級ペットとしてニンゲンの子どものような
扱いを受けたりした
オランの子どもたち。
元の森に戻されたところで、
何が餌になるのか、
何が危ない生きもの(毒草やら蛇やら虫やら)なのか、
毎日の寝床の作り方はどうしたらいいのか、
さらに
木の登り方はどうしたらいいのか。
何も分かるはずが無い。
それらを、ヒトが訓練して教えていかなければいけないのだ。
オランウータンの孤児院・リハビリセンターなるものも
マレーシア、インドネシアに幾つか存在している。
そこで回帰プログラムに携わる人びとは
それを大変な努力でもって行っているが、
努力は報われるときもそうでないときもある。
何年もかけて、徐々にゆっくりと
森へ帰ることのできたオランもいれば、
何年かかっても帰ってゆくことが難しいオランもまた多くいる。
◆
かわいいオランウータンが虐待されるのはかわいそう、
という理由でもいいし、
生態系の安定を保つためを考えても種は多い方がいい、
という理由でもいい。
オランのためにできることを、何かしらやった方がいい。
・オランウータン友の会さん;
http://home.m08.itscom.net/oran/
・ボルネオ・オランウータン・サバイバル・ファウンデーションさん;
http://www.bos-japan.jp/
など。
あと、例によって
地球動物会議・アライブさん;
http://www.alive-net.net/index.html
の
http://www.alive-net.net/wildlife/orangutan/top.html
の頁は参考になる。
また、当ブログとしても、更に詳しい情報を求めてみる。
(ので、情報よろしくです)
と、いうことで、オランのために何ができるのかを
順不同にまとめてみると。
1)そもそも動物園での飼育が相応しくない動物は
「飼育しない方がええんでねーの」と動物園に提案してみる。
礼儀正しい手紙や申し入れなどで(私憤を晴らすのではなく)。
2)同様に、TVドラマやCMなどで擬人化された、
ペットのような扱いのオランたちを「見たくない」と
手紙やメールでマスコミにアピールしてみる。
ちりも積もれば、ではないが、そうすることで、
オランウータンをペットにしたいと思うような考えが、
「かっこわる~・プ」という意識が
社会の「アタリマエ」になっていく、はず。
3)オランウータンの自然回帰プログラムを行っている
NGOや研究者を支援する。
お金でもいいし、労力でもい。
上記の会のほか、
自分が信頼できそうな会をみつけてみるのもいい。
労力を、と考えるのであれば、
まずはオランについての勉強も必要。
無闇にボランティアに赴いても足手まといか、
下手すれば頑張るオランたちの邪魔をすることにもなりかねない。
4)オランが帰るべき森林・原生林の減少も深刻。
オランウータンの棲む森(現在はスマトラ島とボルネオ島のみ。
昔はもっと広範囲に棲んでいた)
そのものの回復プログラムや
原生林の減少を食い止めるような活動への支援をしていく。
(大阪のウータン・森と生活を考える会;活動は活発だが
サイトは休止中;や、
・熱帯林行動ネットワーク・JATAN;http://www.jatan.org/
・FoEJapan;http://www.foejapan.org/
のような森林保全に役立つ活動を長年続けているNGOはニホンに幾つもある)
千里の道も一里から、みたいな話だが。
〔参考というかおすすめの本〕
『森へおかえりオランウータン』モニカ・ボルドー(早川文庫)
どうやら絶版?らしい。良書なのに。古本屋、図書館などで。
『熱帯雨林の動物たち』安間繁樹(築地書館)
オランの記載は少ないが、動物好きには共感が持てる。
『オランウータンと共に』ビルーテ・ガルディカス(新曜社)
有名だが、オランそのものはあまり詳しい記載はない。
ほかに、『ナショナル・ジオグラフィック』のバックナンバーなども。
(おちついたら、小見出し含めて微調整します~~
~~更新について;また一週間ほど間があきます)
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登録日:2006年 04月 24日 23:09:04
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