森のねだん

「アマゾン全体は500億ドルで購入可能」、英首相アドバイザーの発言がブラジルで物議

【5月27日 AFP】スポーツ用品メーカーHeadの経営者で、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相の森林破壊についてのアドバイザーでもあるスウェーデン生まれの富豪ヨハン・エリアシュ(Johan Eliasch)氏(46)が、ブラジルのアマゾン全体は500億ドル(約5兆2000億円)で購入可能だと発言しブラジルで物議をかもしている。
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(c)AFP

AFPBB News


この金額の根拠がよくわからない。
言い値? っぽい感じなんだが、どうだろうか。

この件、一度ニュースクリップ ブログの方で簡単に紹介しているので
 カメでも読める のてのて環境ニュースクリップ
AFPブログの方ではスルーしようと思っていたが。
ちょっとだけ触れたくなったので、以下少し取り上げてみる。


◆ ◆ ◆

記事のトーンがちと微妙というか誘導的なので
注意深く見ていきたいのだが。

>報道によると、エリアシュ氏は、熱帯雨林の保護のために自身が共同創設した自然保護組織クール・アース(Cool Earth)の責任者の地位を利用して、土地売買を促していたという。

これは、いわゆるナショナル・トラスト運動的な、
私有地にすることで開発から環境を守る、という手段での買い取りなのか、
それともそれ以外の目的による売買だったのだろうか。

続く、

>グロボに掲載されたブラジルの情報機関ABINの報告書によると、エリアシュ氏は「2006-2007年にかけて実業家らと会合をもち、その際にアマゾンの土地を購入するよう提案した。さらに、『わずか』500億ドルもあればアマゾン全体を買い取れるだろうと発言」したという。

からするに、どうもマネーゲームの素材として見ている、というのが
ブラジルの情報機関の分析のようだが。


◆ ◆ ◆ 

んでもって。
ここには、微妙な心理的な影響もありそうだ。

>これはブラジルにとって微妙な問題だ。以前にも、英国の政治家らが、アマゾンは人類にとって非常に重要なのでブラジル政府のみに管理を任せるべきではないとの声明を発表し、ブラジルが強く反発したことがある。

VS

>クール・アースは、英国や米国では一般的に評価が高い組織だが、一部では「グリーン・コロニアリズム(環境植民地主義)」とも呼ばれ、アマゾンの先住民にさまざまな問題を引き起こしていると批判されている。

環境保護の現場にいると、
この手のパターナリズム的なことを平気で行う欧米の活動家は
やはり目に付く。
それを考えると、たぶん
この批判は、それほど的外れではないものと思われる。

もちろん、
ブラジルが開発によってアマゾンの森林を切り売りしていることは
批判すべきだが、
同じことは
その森林を買っている(買っていた)ニホンやアメリカ合州国、欧米諸国の
各ユーザーに対しても、
同じだけの強さ、もしくはそれ以上の強い力で言っていく必要が
あると思う。

だいたい、需要がなければ供給も止まるのだし。

んでもって、そこには
貧乏な途上国につけこんで安い金で買い占めている、という構造も
あるわけだし
(そこで賄賂なんかで儲ける途上国のニンゲンがいることも
忘れてはならないが。コトは、強者と弱者というような
単純な二項対立の問題ではない)


◆ ◆ ◆

ところで。

05月31日 朝日新聞
森の多様性壊れると500兆円損失も 国際会議報告
 http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY200805310075.html

森林の多様性、という言い方からもわかるように、
これはアマゾンだけに限定された数字ではないが、でも
そこでの「値段」の思考法の参考になるだろう。

確かに、
森林を買い取って、そこの森林を全部お金に換えてしまったら、
確かに一時的な儲けにはなるかもしれないし、
支払っただけのお金はすぐに回収できるだろう。
けれども、そこの森林が永続的に続いていたことで収穫できていた
さまざまな林産物(籐だとか香木だとか)の補償も発生する。

あるいは、
そこの希少種から難病に抗する薬を開発できたかもしれない可能性等を
金銭に換算してみた場合、
それは果たして金額がつけられるのだろうか。
ましてや、そこに暮らしている生物種を絶滅させてしまったら、
その償いはどうやってすればいいものか。
金銭に置き換えられないとしても、とりあえず(ムリムリでも)置き換えて、
絶滅から回復させるための研究費用を試算した場合、
どのくらい巨額の資金がいるのかは、想像できない。

さらに言えば、
温暖化問題の話題をするのが大好きなニホンで
多くのヒトがすぐに思いつくと思うのが、
森林の持つ、二酸化炭素の吸収源及びそのストックとしての価値だろう。
そうしたものを金銭に換算したらどうなるのか、そしてさらに
森林の出す酸素については、どうやって試算するのだろうか。
逆に、
二酸化炭素の排出による環境被害の補償も加えたら、
どうなることやら、という話だろう。

アマゾンの価値を考えた場合、
少なくともそういった金額を想定していけば、
とてもではないが大赤字になることは間違いないと思う。

その意味では、元からお金を求めない
ナショナル・トラスト的な、
 保護区として維持していよーん、
という発想のもとにあるのであれば、まだわかるのだが。

ともあれ。
この発言者の言い分が、どこにあるのか、
AFPBBの記事のトーンがバイアスが強すぎてどうもわからないのだけれども、
少なくともこのくらい、と言い値をあっさり言うような行動は
すげー頭が悪いよなあ、とだけは言えると思う。


※:朝日の記事は<続きを読む>に収納。

.

<続きを読む>

05月31日 朝日新聞
森の多様性壊れると500兆円損失も 国際会議報告
 http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY200805310075.ht
【ボン(ドイツ西部)=石井徹】ドイツ・ボンで開かれた生物多様性条約締約国会議(COP9)で、報告書「生態系と生物多様性の経済学」が発表された。森林の多様性が失われると、2050年に世界で最大500兆円もの損失もあり得ることがわかった。

 報告書のまとめ作業は、ドイツ政府と欧州委員会が進めてきた。温暖化による経済的損失を検証した英国の2年前の「スターン報告」にちなんで、「生物多様性版スターン報告」と呼ばれる。

 報告書によると、このまま対策を取らないと50年までにいくつかの生態系は回復不能になると指摘。「近代的農業への転換、社会生産基盤の拡大、温暖化などで、自然地域のうち11%が失われる」「漁業や海洋汚染、温暖化による白化現象などで30年までにサンゴ礁の60%が失われる」などの可能性を挙げた。

 また「森林生態系の劣化による経済的損失は50年には1.35兆~3.1兆ユーロ(約221兆~508兆円)に上る」と指摘、世界の国内総生産(GDP)を6%押し下げる可能性があるとした。

 報告書をまとめた研究プロジェクトリーダーでドイツ銀行取締役のパバン・スクデブ氏は「生態系サービスの価値と喪失のコストを理解することで、新しい市場の創出につながる」と強調、温暖化問題における排出量取引のような仕組みの必要性を訴えた。

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登録日:2008年 05月 31日 22:59:57

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◆屋号の「山猫」は宮沢賢治から。大阪に長くいたので時々関西弁が混ざることあり。
◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
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