いいかげん、「倫理」や「正義」で口論してても、本質には辿りつけない。そんな気がする。

欧州委員会、類人猿使った動物実験を禁止する法案を提出

【11月7日 AFP】欧州連合(EU)の欧州委員会(European Commission)は5日、加盟国で行われる科学実験での類人猿の使用禁止と、研究およびテストでの動物使用の制限を求める法案を提出した。
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(c)AFP

AFPBB News


「EU域内では過去9年間、類人猿を使った実験は行われていない」
ということを、果たしてどれだけのニッポンのヒトビトが知っていたのやら。

この件について、昔、本家サイト(最近手入れできていない;;滝汗)のオマケのページ
長々と取り上げているが、
 →2003年10月 「動物実験に切り結ぶメディアの不在について」
たぶんニホンだとその当時とあまり状況が変わっていないと思うので、
できれば今回、併せて読んでいただきたい、
ということでリンクをペタリ、と。


◆ ◆ ◆

さて。
ニホンで動物実験が話題になるときは、
「倫理」「アニマルライト」など、情緒的な文脈で話されることが多い。
また、反対側よりも賛成側(やむなし派 含む)の方が
こうした論に目を向けがちな(というよか「しか」見ていない)ように見えるのは、
偏見だろうか。
そりゃ、その方が単純に理解でき(たつもりになっ)て、
自分の中での結論も出しやすいだろうけれども。 ※1


この写真記事の場合、
確かに欧州もといキリスト教圏独特の、
哺乳類(特にニンゲンに近い種)への過剰な思い入れ、同情、
アニマルライト的なものをよしとする価値観、
等によって判断がなされている面も大きいとは思う。

しかし、欧州で、
少なくとも類人猿を使った動物実験が9年間も絶えていたという事実が、
そうした情緒的な理由だけで続くとは、ちょっと考えにくい。


◆ ◆ ◆

もう少し広く網を投げて考えてみる。

たとえば最近の技術革新の進み具合を考えれば、
動物実験以外の手法で充分カバーできるものも
かなり増えているはずだ。
人工皮膚などによる代替方法の話題が出たのは、
もうずいぶんと前のことだし。

それとは逆のベクトルとして、
動物実験では
 ニンゲンとの遺伝上の違いから正確なデータが得られない実験例
も確実に存在する。
これは冷徹な、科学的事実だ。


◆ ◆ ◆

そして、もうひとつ。

これらに加えて、
多くの類人猿がこの地球上において「絶滅危惧種」となってしまった、
という端的な事実が挙げられる。

そうした、希少な生物を使って実験すること、
絶滅の危機をさらに悪化させることについては、
「環境配慮」の面からも欧州市民の共感は到底得られまい。
これは先の「倫理」等の情緒的なものとは別の感情として
理解したほうがいい点だ。
(逆にPETAなんかはたぶんこうした考え方はほとんどしていない、と推測)

そしてこの、類人猿たちの絶滅の危機という事態を、
情緒を差し挟まずに単なる事実として捉えれば、
そうした地球上の残り少ない資源を使って実験を行うことなんぞ、
経営的・コスト的にも割に合わない行動だろう。
確実に。

てか、ひょっとするとこれが一番大きな停止の動機ではないのか、とすら
思えるほどだ。


◆ ◆ ◆

この件における個人的な考え(のひとつ)を提示すると、
ジンルイの「地球環境面における安全保障」として、
絶滅危惧種が増えたり
そうした危惧種が絶滅してしまうこと、そのケースが増加することは、
絶対に避けなければならない。
だから、そうした絶滅の危機に加担する、類人猿での動物実験は
停止されて然るべきだ、
という歓迎の姿勢が、自分の立ち位置になる。※2

だいたい、有名どころのザ・ボディショップをはじめ、
いくつかの企業は、そうした動物実験をしないでも商業活動を成立させている。
そうした事例を複数知れば、
この方向性は決して困難な道ではないことが、理論的に理解できるはずなのだが。
さて。


参考図書:『なぜサルを殺すのか』(デボラ・ブラム/アメリカ/2001)
 あと、余力がある方は『限りなく人類に近い隣人が教えてくれたこと』(ロジャー・ファウツ/アメリカ/すまんが絶版、悲しい)あたりが、とてもオススメ。
 山猫屋の読書記録はこちら→空の栞・もくじ

※1:だいたい、科学教のヒトタチも、どうして過去の技術となりつつある動物実験にこうも拘泥し続けるのやら。ただ単に慣れ親しんだ習慣を手放したくないだけか、他の方法論や発想を取り入れたり考えたりするのが面倒くさいからなのか、あるいは変化をすることが何となく不安なのか。こうした、「情緒的」な心理は、動物実験反対派の言いそうな、「哺乳類かわいそう」「倫理的に扱わないとおかしい」という情緒的な言い回しと、とてもよく似ている、というかコインの裏表のようだ。むしろ、そういう共通の土台(情緒でしか反応できない)があるから、そういうふうに楽しくいがみ合っていられるのかもしれねーな、と。

※2:いつもこのブログで言っていることだが、そのための動機は問わないということも、例によって付け加えておく。かわいそうであろうとなかろうと、お金がもったいないからであろうとなかろうと、ジンルイが生き延びるためであろうろなかろうと、結果的に生物種の絶滅の危機が回避されるのであれば、それだけで意味があり、価値がある。

.

カテゴリー[ 絶滅危惧種 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2008年 11月 07日 23:55:00

コメント

なるほど、勉強になるお話です。

コト @ 2009年 11月 19日 16:40:32

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◆07年3月、ブログタイトルを一部変更。今後も、カメだけでなく、ワニやラクダやトカゲからも いろいろと学べるもんだろうと思いつつ、のてのてと更新中。
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