40年の孤独
40年前から一人ぼっちのゾウガメ、「ロンサム・ジョージ」 - エクアドル
【サンタクルス島/エクアドル 28日 AFP】ガラパゴス諸島(Galapagos Archipelago)のサンタクルス島(Santa Cruz Island)では、最後の一頭となったオスのゾウガメ「ロンサム・ジョージ(Solitario George)」が種の保護のために飼育されている。ジョージにメスを見つけた人には報奨金1万ドル(約116万円)が40年前から提示されている。写真は24日に撮影されたゾウガメ「ロンサム・ジョージ」。(c)AFP/Rodrigo BUENDIA
現時点のところは40年。
でも、このままだと
百年、あるいは永遠の孤独に突入するかもしれない。
写真のガラパゴス諸島は、
島ごとに微妙に生態系が異なることでも有名だ。
ダーウィンでおなじみのフィンチという鳥や
このゾウガメなど、
島ごとに種が微妙に違う生きものも多い。
本当に近くの島なのに、本当に近縁の種なのに、
島が違うと種も変わる(亜種と呼ばれる区別がついてくる)。
これは、自然のままであれば、
それらが種として同じものに収斂されることはありえない。
そのまま別の種として進化し続けるのが、
地球の本来のあり方だ。
似ているから、いいや、
とばかりに別の島から連れてきて交配でもさせようものなら、
その種の遺伝的な貴重さが失われる。
永遠に。
このゾウガメ、ロンサム・ジョージが孤独なのも、
そういった理由からだ。
.
.
◆ ◆ ◆
ニホンでもようやく、「外来種」や「移入種」ということばが
日常会話レベルで知られるようになってきた。
最近ニュースで騒がれているカミツキガメなど、
本来ニホンに住むはずのない生きものが
ペットや産業用として輸入されたり、
あるいは偶然荷物などにまぎれこんで移入し、
野生化した、というものが、
この「外来種」や「移入種」といわれる生物である。
数年前には、セアカゴケグモなども騒がれた。
この概念は、ヒトが直接被害を受けそうな生物だけを
言うのではない。
アメリカザリガニやブラックバスなど、
食用や産業用が移入の発端だったもで、
ニホンの生態系には問題を及ぼすものの
直接ニンゲンに害を及ぼしたり影響を与えない外来種も
多くある。
有名どころでいえば、セイヨウタンポポもある。
ほとんどの人がご存じの通り、タンポポにはセイヨウタンポポと
ニホンタンポポがある。
ちなみにこのニホンタンポポにも
カンサイタンポポやカントウタンポポなど、
国内の種だけで20種類ほどある。
植物を例にすれば、ほかにセイタカアワダチソウなど、
望んだり望まなかったりでニホンに根付いてしまった外来種は多い。(※1)
とはいえ、
沖縄のマングースや農業被害を及ぼすアライグマ、
上記のカミツキガメなどのように、基本的には駆除が
好ましい。
駆除、というが、実際にやることは生命を殺すことであるため、
(生殖器官を排除・不妊化して飼う、という手法もあるが
多くは経費的面から難しいと言われがち)
その点で難色を示す市民も多い。
持ち込むときは、ことの重大さもわからずにやっておいて、
「殺すのはいや」というのも
逆の意味で勝手すぎるような気もするが。
まあ、そういった観念論はさておき。
◆ ◆ ◆
また、間違いやすい点は、
国内か国外かという分け方だけではない、ということ。
今回の写真の件でもあるように、
島ひとつ違えば、同じゾウガメでも違う種になる。
それと全く同じことは、このニホンでもいくらでもある。
童謡にも歌われたメダカの生息数が減少し、
希少種扱いになってしまった、
という事実は驚きをもって言われたが、
このメダカも、
それこそ川ごとに遺伝的性質が違う場合の方が多い
ということは、あまり知られていない。
メダカならなんでもいい、とばかりに別の川のメダカを連れてきてしまうと、
ここで雑交が起こる可能性はきわめて高い。
いわゆる、遺伝子汚染だ。
雑交とは、言い換えれば、遺伝子の汚染であり、
種の絶滅への後押しでもある。
生きていればいい、近ければいい、
というのは、あまりにも浅はかな考え。
混ざってしまったものを後になって排除することは、
ほとんど不可能に近い。
つまりそれは、後戻りできない道を推し進めていることに
ほかならないのである。
先のセイヨウタンポポと在来のニホンタンポポが、
雑交しているという問題も、数年前から指摘されている
(『日本のタンポポとセイヨウタンポポ』(小川潔 どうぶつ社2001年)
また、紀伊半島で在来のニホンザルと外来種のタイワンザルが
雑交している問題も
今後深刻になっていくことは間違いない。
類似の例は、ニホン国内にもごまんとある。
◆ ◆ ◆
今月も、そうした悪い事例のニュースが報道されている。
沖縄で、天然記念物のリュウキュウヤマガメと外来種の
ミナミイシガメの交雑種が発見された、という。
移入種・外来種の問題はまずは初めが肝心、なことが多い。
他国や他地域の珍しい種類の植物や昆虫、動物を
飼おうと思ったり、
それで商売をしようと思うこと。
そしてそれを、実際に行動に移すこと。
全ての事例がそうとは限らないが、
多くの場合はそうした行動がこの事態の引き金になっている。
これは、視点を変えて考えてみれば、
これはヒトが起こしさえしなければ、防ぐことのできる
災厄であるとも言える。
何をしなければならないのか、ということと同時に、
何を、どんな行為を回避しないといけないのか、ということも
きわめて重要なのだ。
※1:この件について、昔、本家ページで小さな原稿を書いたので
リンクを貼っておく。
参考&オススメ本
『野生動物問題』(羽山伸一著・地人書館 2001年)
『日本のタンポポとセイヨウタンポポ』(小川潔 どうぶつ社2001年)
『外来種ハンドブック』(日本生態学会 編集 地人書館)
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登録日:2006年 06月 29日 23:38:11
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