米国は住宅バブルなのか?

1月の住宅着工件数14.5%増 - 米国

【米国 17日 AFP】米商務省は16日、1月の住宅着工件数が14.5%増加し、年率換算で227万6000戸のペースになったと発表した。
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(c)AFP/Paul J

AFPBB News


 詳しい分析は経済アナリストにまかせるとして、少し自分なりに情報を整理してみた。昨年あたりから米国では住宅市場がバブルじゃないかと懸念されているようだが、まだフロス(泡立ち)程度だから大丈夫だという意見もあるようだ。少々前のこの記事は、米国の1月の新設住宅の着工件数が予想に反して、かなりの高水準になったということを言っているが、これ以前はやや停滞気味で、またこの後はまたずっと下落し2005年の水準を割り込んでいる。ちなみに2006年5月は少し持ち直しているもものの年率換算で195万7000戸である。今回は、米国の住宅事情を日本との違いなども合わせて見て行きたい。

日本の住宅市場

 まず、日本の住宅市場を少し俯瞰してみよう。日本の新設住宅の着工件数は、このところの景気回復とともに微増しており、平成17年度は124万8000戸と前年比4.7%の増加であった。バブル期(1987年〜1990年)には160〜170万戸という高水準を記録したこともあるが、人口減少・少子高齢化という日本においては今後は120万戸あたりで推移できればましなレベルではないかと思う。最近の微増の要因は、団塊ジュニア層の住宅取得、既存住宅の老朽化による更新時期、景気回復による購買力アップ、金利先高感によるやや駆込み的な需要といったものが主であり、長期的に着工件数が増加する要素はない。むしろ、人口はすでに減少期に入り、世帯数も今後10年程度で減少期を迎えることから徐々に新設の住宅市場は縮小していくものと考えるのが妥当であろう。

米国の住宅市場
 現在米国の新設住宅の着工件数はこのところ大体年間200万戸前後を推移している。過去数十年の平均が150万戸強程度ということなので、かなりの高水準に達してしまったようだ。とはいえ、米国の人口は、約3億弱で日本の約2.3倍であり、新設住宅の着工件数においては約1.6倍程度なので、人口からみるとそれほど過剰な数字ではないようにも思える。おそらく日本に比べて中古市場が活発なため、この程度の着工件数になり、それはある意味では健全なことなのかもしれない。
 また、米国は移民を受け入れているため人口は毎年約1%(約300万人)程度増加しており、世帯数も140万世帯程度増加してしており、投機的な住宅需要も旺盛なため破綻はきたしていないようだが、住宅の在庫が徐々に増えているという話もあるので、今後は実需に見合う、やや縮小気配気味の着工件数に収束していくのでないかと思われる。

米国の景気をささえる住宅市場の特殊な事情
 日本がバブル崩壊で長期的な不景気に喘いでいた時期から現在まで米国は好景気を維持している。しかし、衆知の通り米国は究極の格差社会であるがためか、平均的な市民の給与所得はこの好景気のなかでもそれほど上昇していないと聞く。では、この景気を支えているお金はどこから出てくるのだろうか。
 日本ではバブル崩壊とともにほぼ死語となってしまった「右肩上がり」の神話が米国では大恐慌以来連綿を続いており、住宅の価値は必ず上昇することを今のところ誰も疑っていないらしい。例えば「ホーム・エクティ・ローン」という金融制度がある。これは、住宅を取得し、その住宅の価値があがった分とローンを返済した分を新たに金融機関から借入可能になることである。給与所得ではないこのようなマネーが消費に廻り景気を支えているという。またインタレスト・オンリー・ローンなどの「非伝統型ローン」の存在も大きい。これは住宅ローンを組んで、5年とか10年とかのある年数は金利のみを支払い元本は、住宅を売却時に一括で返す。審査が厳しくなく、過去にクレジットカードの利用に問題を起こしていなければ低所得者でも利用が可能だという。そして、いつも「右肩上がり」だから売却時には大きな売却益を得て、消費に廻しながら、次の住宅をも取得する。まさに典型的にバブリーなのだが...。
 このような「右肩上がり」を前提にした仕組みは、バブル崩壊を体験した日本から見れば実に危険なことに思うが、この仕組みを長期的に維持し続けている米国の強さも感じるところではある。しかし実際、さすがに住宅の値段が高騰しすぎている感もあり、一挙に市場が崩壊し日本のように底なし資産デフレに落ち入るのか、あるいは当局による何らかの措置によりソフトランディングするのか、世界経済にとって影響の大きい米国経済を支える住宅市場の動向にはしばらく目が離せない状況のようである。

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登録日:2006年 07月 12日 18:55:35

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