耐震設計偽装事件により浮彫りになったこと(その3)

招く不安の連鎖 耐震データ偽装事件 - 川崎

【川崎/日本 4日 AFP】写真は神奈川県川崎市のマンション、グランドステージ川崎大師、3日撮影。この高級マンションをはじめ、多くの建物が建築士によるコスト削減を目的とした耐震性データの改ざんという今回の一大スキャンダルに巻き込まれている。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA

AFPBB News


書いて行く尻から新しい事件が発覚してはいるものの、とりあえず今回でこのシリーズは終了することにしよう。
そろそろ書いているほうも嫌になってきたし...。

<瑕疵担保責任と保険>

 今回の報道において、初期段階で混乱を来していたのは、誰が悪くて誰が責任をとるんだということであったような気がする。これは真っ先に構造設計者の不正が報道されたからだろう。発覚した順序としては正しいのだが、「欠陥マンションが販売されていた」→「不正な構造設計が原因」→「コスト削減等の圧力のせい」という風にニュースが伝われば、いろいろと理解するにスムーズだったのかもしれない。まぁ、しかし構造計算書が偽造されたというショッキングかつ前代未聞の事件であればいたし方ないことだろう。

 話しを戻すと、分譲マンションのことで言えば「住民(マンション購入者)」に対してまず「マンション販売元」が責任を負い、「マンション販売元」は瑕疵のある設計や施工をした「設計者」や「施工者」に責任を追求するという図式になる。しかし今回の事件は、あまりにも瑕疵の金額が大きすぎてどこにも責任がとれないという状況に対して、公的支援などの特別な策が必要になったということだ。

 このような瑕疵担保責任が履行されるためには、売り主や工事請負者には瑕疵担保責任保険というものがあり、設計者にも設計者向けの賠償保険があるが、加入の義務はない。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」には売り主や請負者には、住宅の基本構造部分の瑕疵については10年間の瑕疵担保責任を負うことが既に定められていることからも、国では今回の事件をきっかけとして、保険加入の促進の対策を考えているようだ。

<指定確認検査機関>

 これは平成10年の法改正で従来は行政によって行われていた建築確認申請等の審査・検査を民間に開放したときに出来たものである。指定確認検査機関は審査期間が短いということがひとつの売りであり、この影響で従来通り行政にて審査を受ける場合でもかなり審査期間は短縮されるようになった。まぁここまでなら良かったということになるのであるが、このような審査を審査件数を増加させなければならないという競争原理の働く民間機関にやらせるようになったのは果たして本当に良かったのかと感じさせられる出来事であった。とは言ってもすでに行政だけの審査では限界に達していたわけなので、国にとって審査方法と合わせて審査機関のあり方は今後の大きな課題のひとつと言える。

<最後に>

この事件によって大きく揺さぶられている建築界ではあるが、現在 国土交通省では、その後の対応を 「社会資本整備審議会建築分科会 基本制度部会」にて検討しているとのことだ。またパブリックコメントも募集しているので、詳しくは以下のURLをのぞいてみてほしい。

http://www.mlit.go.jp/pubcom/06/pubcomt4_.html

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登録日:2006年 02月 16日 13:03:46

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斉藤 友紀雄
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